← ミーム辞典トップへ ネットミーム

「Nah I'd win」とは?意味・元ネタ(呪術廻戦・五条悟の「勝つさ」)を解説

Nah I'd win(ナーアイドウィン)(なーあいどうぃん) ・ 2026年8月15日 公開

勝てるんですか、と聞かれて、迷いもせず「いや、勝つね」と返す。この短いやりとりが英語圏で 「Nah, I’d win」 という決まり文句になり、2023年の秋ごろからネットのあちこちで見かけるようになりました。出どころは『呪術廻戦』の五条悟です。

「Nah I’d win」とは?

直訳すると「いや、俺が勝つ」。勝てる見込みを問われた側が、可能性の話をすっ飛ばして勝利だけを言い切る返し方を指します。日本語では原作のセリフどおり「勝つさ」、あるいは「いや、勝つね」と書かれることが多いです。

使われ方は2通りに分かれています。ひとつは素直な自信の表明で、「AとB、どっちが強い?」という仮想対戦の話題に五条の画像を貼って「Nah, I’d win」と返すのが基本形。もうひとつが厄介で、こう言った本人がのちに負けてしまったため、「これを言うと負ける」という前振りとしても扱われます。同じ一言が強気の宣言にも敗北の合図にも読めるので、どちらの文脈でも撃てる便利な弾になりました。

お題のほうは「〇〇に勝てる?」の形で無限に作れます。格ゲーの対戦カードでも、スポーツの優勝予想でも、明日のテストでも、上司との交渉でも成立する。短くて口に乗せやすいことも含めて、ミームとしては扱いやすい部類です。

元ネタ・由来

セリフ自体はかなり初期に出ています。原作3話で、宿儺が指を全部取り戻したらどうなるのかという話の流れで、虎杖悠仁が「負けちゃう?」と聞く。五条が間を置かずに「勝つさ」と答える。ここが出発点です。

一方、ミームの絵として使われるのは、ずっと後の221話「得喪」のコマです。獄門疆に封印されていた五条が復活し、羂索の「勝つ気かい?」に対して、3話とまったく同じ「勝つさ」を返す場面。200話以上をまたいで同じ一言が戻ってくる構図が、読者に刺さりました。

火が付いたきっかけは翻訳のほうでした。VIZ Media の英語版は、この吹き出しを最初 “No” とだけ訳していました。それだと3話の答えとの呼応が伝わらないという指摘があり、のちに “Nah, I’d win” に差し替えられます。

そして半年後に、話がひっくり返ります。2023年9月25日発売の週刊少年ジャンプ43号に載った236話「南へ」で、五条は宿儺に敗れました。「勝つさ」と言い切った本人がこの結末を迎えたことで、あのコマは自信の象徴から皮肉の道具に化けます。ミームの二枚看板はここで出来上がりました。掲載回は『呪術廻戦』236話「南へ」(少年ジャンプ+)で確認できます。

広まった理由

数字で追うと、跳ねたのは2023年の秋以降です。10月6日には @Vihurah が同じ吹き出しを漏瑚に差し替えた色付きの描き直しを投稿し、1か月で950以上のいいねを集めました。11月8日にはTikTokの @tesorog が上げたスライドが1日で約512,700再生・97,700いいねに伸び、同じ日に @kuzi.__ が上げたミーム総集編の動画も1日で72,900以上のいいねを記録しています。ピークは2023年11月です。

伸びた理由ははっきりしています。文が短くて誰の口にも乗ること、対戦カードを差し替えるだけで無限に量産できること、そして言った本人が負けたという後日談で意味が反転したこと。最初の流行が落ち着いたあとに二度目の使い道が生まれたので、寿命が普通のセリフミームより長くなりました。英語圏での日付や投稿元はKnow Your Meme のエントリが細かくまとめています。

なお、この場面はまだアニメになっていません。第3期の前編は2026年3月26日の第59話「仙台結界」で完結しており、続きの放送時期は公式から発表されていない状況です。

日本で言われた「五条悟の呪い」

日本のネットには、もうひとつおまけの逸話があります。eスポーツには試合前にアニメキャラの画像を投稿する「アニメバフ」という遊びがあり、2024年の初めはこの「勝つさ(Nah, I’d win.)」のコマが定番でした。ところが投稿したチームが揃って勝ち上がれず、いつしか「五条悟の呪い」と呼ばれるようになります。

  • 100 Thieves … 2024年1月30日、VCT AMERICAS KICK-OFF でグループステージ敗退
  • T1(iZu選手)… 2024年2月24日、VCT PACIFIC 準決勝で Paper Rex に0-2
  • Paper Rex(something選手)… 2024年2月25日、決勝で Gen.G に1-3
  • FNATIC … 2024年2月19日に画像、26日にテキストで投稿し、準決勝で敗退

経緯はVALORANT4JP の記事にまとまっています。もちろんジンクスの類で、勝敗の理由になるものではありません。負けた側をからかう話というより、「あのコマを貼るのはやめておこう」とファン同士が言い合う楽しみ方として残りました。

こういう遊びを公式アカウントが率先してやるのが、いまのeスポーツの空気でもあります。日本でもZETA DIVISION がソニック・ザ・ヘッジホッグをCREATOR部門にひと夏限定で迎えたような発表が飛び出すくらいなので、ジンクスひとつでチームと視聴者が盛り上がるのは自然な流れでした。

使い方・例文

  • 「明日のテスト大丈夫?」「Nah, I’d win」
  • 「いや、勝つね(と言った30秒後に負けた)」
  • 「Nah I’d win 構文、だいたい負けフラグなんよ」
  • 「うちの推し、そのマッチアップなら Nah I’d win です」

英語のまま貼るときは「Nah, I’d win」とコンマを入れるのが原形ですが、実際にはコンマ抜きの「Nah I’d win」も同じくらい打たれています。画像に添える一言として使われるので、表記の揺れはあまり気にされていません。

関連する言葉

同じ『呪術廻戦』からは、アニメの一瞬の作画がそのまま名前をもらったドブカスラッシュや、迷セリフがツッコミの定型に化けた人の心とかないんか?が生まれています。1作品からミームが何本も出るのは、名場面の密度が高い作品ならではです。

中身よりも「強そうに見えるかどうか」で語られる点では、オーラファーミングとも地続きです。実際に勝ったかどうかは後から確認すればよくて、まずはキメ顔とセリフのセットが流通する。この順番の逆転こそが、キャラクターのコマがミームになるときの共通ルートになっています。