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「フィリピンに来なさい」とは?元ネタはVTuber柘榴シロ、「〇〇に来なさい」構文が全国に広がるまで

フィリピンに来なさい(ふぃりぴんにきなさい)(ふぃりぴんにきなさい) ・ 2026年8月23日 公開

2026年5月、Xに「フィリピンに来なさい」の一言だけを添えた44秒の動画が投稿された。上げたのはVTuberの柘榴シロさん。自分のルーツであるフィリピンを、とんでもない圧と早口で紹介しきる内容で、いいねは23万を超えた。そこから地名を入れ替えた 「〇〇に来なさい」 が広がっていく。

「フィリピンに来なさい」とは?

もとは動画に添えられたたった一言だったのが、今では型として使われている。やることは2つだけ。強い圧で「〇〇に来なさい」と呼びかけて、そのあとその土地の自慢も愚痴も順番を気にせず一息でまくし立てる。

観光PRの形をしているのに、褒めるところと文句を言うところが同じテンションで並ぶのが芯になっている。良いところだけを読み上げる案内と違って、住んでいる人が身内を呼びつけるときの喋り方に近い。命令形なのにまったく怖くなくて、むしろ距離が近く聞こえるのがこの型の妙なところ。

元ネタ・由来

発端は2026年5月3日の夜、柘榴シロさん(@Zakuro_Shiro)が44秒の動画を投稿したこと。本文は「フィリピンに来なさい」だけで、説明はいっさい付いていない。いいねは23万3000を超えている。

翌5月4日には、本人が自分のYouTubeチャンネルにも上げ直している。こちらは1229万回再生(2026年8月時点)。ショート動画のテンポと、途中でいっさい息継ぎが聞こえない詰め込み方が、そのまま耳に残るタイプの音になっている。

動画が伸びたあとの動きも記録に残っている。KAI-YOUの記事によると、柘榴シロさんは5月5日の配信で自分のルーツとフィリピンの文化について語り、途中でフィリピン出身の母親へ電話をかけている。動画が1000万再生を超えたことをどう思うか聞かれた母親の返事は「怖い」だった。所属はライバー事務所の321.incで、記事が出た5月6日時点のチャンネル登録者は14.1万人。44秒の動画1本が、そのまま自己紹介として働いてしまった形になる。

「〇〇に来なさい」構文の広がり

各地のVTuberが地名を差し替えた自分版を投稿しはじめたのは5月11日ごろから。5月14日から15日にかけて一気に数が増えて、北海道から九州まで一通り出そろった。函館版を投稿した地元企業のブログによると、5月15日のその投稿は3日で4.7万インプレッションまで伸びている。誰が第一号だったかは追い切れないが、少なくとも1週間かからずに全国へ散った。

5月14日には「〇〇に来なさいミームを見つけたらリプ欄に貼ってほしい」と呼びかける投稿が出て、そこへ集まったものが5月16日にTogetterのまとめになった。閲覧は5.1万を超えている。空白の県が埋まっていくのを眺める遊びにまでなった。

広がった理由はだいたい3つに集約できる。ひとつは語気で、一度聴くと抜けない。もうひとつは地名を差し替えるだけで誰でも作れること。お題に対して自分の答えを出す大喜利と同じ手軽さがある。最後のひとつが、自虐と愛が同居していること。地元をちょっと落とすところまで書けるので、観光パンフレットより本音に見える。

自治体そのものがネットのノリに乗る例も増えていて、茨城県が群馬の企画を「パクり」と公言したうえで観光パスポートを作った話あたりとは地続きの空気を感じる。かしこまったPRより、身内のテンションで喋ったほうが届くようになってきた。

使い方・例文

  • 「埼玉に来なさい。海はありません。それ以外は全部あります」
  • 「うちの大学に来なさい。駅から遠いです。学食は安いです」
  • 「バイト先に来なさい。時給はふつうです。まかないが出ます」

コツは、良いところだけを並べないこと。ひとつだけ残念な事実を混ぜたほうが効く。あとは言い切ること。「〜だと思います」を挟んだ瞬間に圧が消えて、ただの紹介文に戻ってしまう。

関連する言葉

型に自分の地名を入れて遊ぶという点では大喜利の親戚で、動画1本が一気に広がって型として残った流れはバズるからミームになる典型的な形をしている。

VTuberらしさが効いているのもポイントで、かわいいガワから出てくる声量と早口のギャップが、そのまま笑いどころになっている。ちなみにVTuberの名前は変換で出てこないものが多く、コミケでは約1万人ぶんを収録したVTuber変換辞書が頒布されて話題になった。「柘榴シロ」もそのままでは打ちにくい名前のひとつだ。