茨城県が観光「パスポート」を10月から無料交付、群馬の大ヒット企画を知事が公認でマネする作戦
パスポートというと海外旅行の必需品ですが、いま日本の県庁が同じ形のものを配って観光客を集めにかかっています。先に始めたのは群馬県。その大ヒットを見た茨城県が、2026年8月6日に「IBARAKI PASSPORT(茨城パスポート)」を10月から無料交付すると発表しました。しかも隠さずに「群馬のパクりです」と言い切るという、なかなか見ない発表の仕方でした。
表紙は「茨城県旅券」、あんこうを頭に乗せた公認VTuber付き
公開された表紙の画像が、ぱっと見は完全に本物の旅券です。濃紺の地に金色の箔押し風で「茨城県旅券」の文字が縦に並び、その下に県の形のシルエット、「IBARAKI PASSPORT」の英字。大きさも日本国旅券と同じサイズにそろえるとしています。
真ん中に描かれているのは、県公認VTuberの茨ひより。頭の上にちょこんと乗っている生き物は、県の名産のあんこうをかたどった彼女のおなじみの相棒です。金一色で刷ると、この珍妙なコンビがちゃんと国章っぽく見えてしまうのがずるい。
「群馬のパクり。狙ってます」と会見で言い切る
面白いのはここからです。大井川和彦知事は6日の会見で、この企画が群馬県の後追いであることをまったく隠しませんでした。報道によれば「群馬のパクり。狙ってます」と話し、さらに「群馬県の山本知事にも了解を頂いている」と、本家に仁義を切ってあることまで明かしています。
パクりを指摘される前に自分で言ってしまえば燃えようがない、という点でこれは相当うまい立ち回りです。実際、SNSでも批判より「潔い」「本家の許可取ってるのが偉い」という反応のほうが目立ちました。一方で「群馬はグンマー帝国というネタの文脈があるからパスポートが成立していた」と、文脈ごと持ってこられるのか疑問視する声もあります。
本家・群馬パスポートは8万件超の応募が殺到中
まねされる側のGUNMA PASSPORTがどれだけ当たっているかというと、数字がかなりおかしなことになっています。群馬県の報道資料によると、交付開始は2026年5月1日、仕様はB7サイズ・カラー44ページ・無料、県内35市町村に置かれたスタンプを集めて回る作り。初回の印刷は1万部でした。
ところがこれが配り始めた途端に品切れ。日本経済新聞の報道では6月に増刷したうえ、直近では2万部の募集に対して8万2340件の応募が集まり、県は年内めどにさらに6万部を増刷することを決めています。観光パンフレットの発行部数としては明らかに異常な引きです。
茨城版のスタンプ対象は44市町村と、群馬の35をさらに上回ります。全部集めた人は県庁で「コンプリートスタンプ」を押せる仕組みで、ここも本家に合わせてあるとのこと。県内の歴史や文化、食の情報を載せた冊子になる予定です。
発行部数と交付方法は9月に発表
交付は10月から、部数や受け取り方法は9月に改めて発表されます。群馬の様子を見るかぎり、余裕をもって刷らないと初日で溶けるパターンです。茨城は北から南まで移動距離もそこそこあるので、44個のスタンプを全部埋めるのは普通に旅の目標として重い。逆に言えば、埋め終わったときの達成感は本家以上かもしれません。
続く県が出てくるのかも気になるところです。TBS NEWS DIGの報道を見るかぎり茨城はかなり本気なので、「◯◯県旅券」が全国に増えて、県境をまたいで集めて回る人が出てくるところまでいったら、それはそれで見てみたい。まずは9月の続報を待ちましょう。