飲食店の「自分のスマホで注文」に賛否、QRコード式はタブレット式より初期費用が数十万円安かった
テーブルに置かれた紙のQRコードを読み込んで、自分のスマホでメニューを開いて注文する。ここ数年で一気に見かけるようになったこの方式について、8月23日のXでこんな投稿が伸びました。
いいねは1万を超え、リプ欄には賛成も反対も入り混じって並びました。引っかかりの中心は「端末を店が用意しないなら、せめてWi-Fiくらいは置いてほしい」という一点です。
不満の中身は通信費だけではなかった
リプ欄を読んでいくと、通信量そのものを問題にしている人は意外と少数派でした。挙がっていたのは、その周りにある事情です。
充電の話がまず多い。「夜まで働いた社畜にスマホの充電が残っていると思うなよ」「残量5%とかでやられたら許せない」と、電池の残りを心配する声が並びました。画面についても「スマホのメニューって見づらいし、注文にも時間かかる」という指摘があります。
もうひとつ目立ったのがLINEです。QRコードを読むと友だち追加を求められるタイプの店があり、「お前なんか友達では無い」「ブロックしなくても友だち登録だけ解除できる機能を入れてほしい」といった声が集まりました。LINEミニアプリを使った注文システムでは、この導線になっている店があります。
紙のメニューが卓上から消えている店への意見もありました。「客の通信費を使うんだったら、メニューぐらい別で用意しとけ」という書き込みです。
面白かったのは、周りの席を観察していた人の投稿でした。QRコード注文の店で、周囲のテーブルの客が次々に店員を呼んで「電波が悪くて使えない」と口頭で注文していたそうです。そんなに地下でもないのにおかしいなと思っていたけれど、あれはギガの節約だったのかもしれない、と書いていました。
「そんなに気にすることか」という側の言い分
一方で、気にしすぎだという反応も同じくらい伸びています。
「店員さんの手が空いてるか確認して呼んで注文して、よりは楽なのでスマホで注文でもいい」という実利派もいました。少し引いた見方をしていた人の「この手の不満、SNSではよく見るけどこういうお店が増えてく一方なのは、実際のところ世間では受け入れられてるからなんだろうな」という書き込みも印象に残ります。
店がQRコード式を選ぶ理由は、費用の差にある
では、なぜ店は卓上のタブレットではなく客のスマホを使うのか。ここは調べると数字がはっきり出てきます。
POSレジを手がけるダイニーが公開しているセルフオーダーシステムの費用相場の解説によると、50席規模の居酒屋を想定した初期費用は、QRコード型が0円から10万円程度なのに対し、卓上タブレット型は50万円から150万円程度になります。差の中身は端末代25台ぶんと設定費です。
そのうえ、元の投稿が求めていたWi-Fiは、店舗全体をカバーしようとすると整備費が5万円から10万円ほどかかり、月々の通信費も5,000円から1万円ほど上乗せされます。つまり客のスマホで注文してもらう方式は、端末代とWi-Fi代を両方まとめて外せるので、費用面ではいちばん軽い選択肢ということになります。
普及そのものも進んでいます。飲食店向けのモバイルオーダーシステムの比較記事は2026年時点の状況として、利用経験率が7割を超え、20代から40代を中心に広がったとまとめています。もう珍しい方式ではないぶん、当たり外れの差が目につきやすくなっている面もありそうです。
注文方法をめぐる好みは、実は前にも割れている
注文の仕組みが変わると客の反応が割れるのは、今回に限った話ではありません。サブウェイがワタミの傘下に入ったあとセルフレジを導入したところ、売上が大きく伸びたという話が広まったときにも、口頭で注文するのが苦手だった層がいたのではという見立てが出ていました。
自分のスマホを出すのが面倒だという人と、店員を呼ばずに済むほうが気楽だという人。どちらも実際にいるので、この話はしばらく平行線が続きそうです。あなたはどっち派だろうか。