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「パレイドリア」とは?壁のパイプが人影に見える理由と心霊写真・火星の人面岩の正体

パレイドリア(ぱれいどりあ) ・ 2026年8月7日 公開

夜道でふと目に入った物影が、人の姿に見えて心臓が跳ねる。雲の形が動物の顔に見える。木の節目がこっちを見ている気がする。この手の見間違いには、実はちゃんとした名前がついている。「パレイドリア」だ。

「パレイドリア」とは?

パレイドリアは、視覚や聴覚から入ってきた曖昧な情報の中に、実際には存在しないパターン、たとえば顔や人の姿、意味のある音声を脳が勝手に読み取ってしまう心理現象のこと。壁のシミが顔に見える、ノイズ混じりの音の中に声が聞こえる気がする、そういった感覚はほぼこれで説明がつく。

語源はギリシャ語で、「〜に似る」「疑似の」を意味する「パラ(παρά)」と、「幻影」「形」を意味する「エイドロン(εἴδωλον)」を組み合わせた言葉とされる。「本物っぽい幻影」くらいの直訳で、そのまま現象の説明になっている。

元ネタ・由来

2026年8月4日、Xユーザーの幣束さん(@goshuinchou)が、夜道で壁に向かってうつむく人影に見えたものの正体は配管パイプだった、というツイートを投稿した。

写真のパイプは、街灯の逆光でシルエットになった瞬間、フードをかぶってうつむく人物にしか見えなくなる。頭の丸み、うなだれた首の角度、地面に伸びる脚のようなライン。このツイートは約12万5000いいねを集めるバズになり、ざわっとニュースでも記事にしている。夜道で誰もが経験しがちな見間違いに、実は名前がついていたと知った人も多く、それがこの語が改めて注目されるきっかけになった。

パレイドリアという言葉自体は目新しいものではなく、心理学や認知科学の分野で以前から使われてきた用語。雲や月の模様が動物や顔に見える現象、心霊写真の多くがこの現象で説明されることが代表例として挙げられる。

もっとも有名な事例のひとつが、NASAのバイキング1号が1976年7月25日に撮影した、いわゆる「火星の人面岩」。火星の地表に人間の顔のような地形が写り込み、当時は宇宙人の建造物ではないかと騒ぎになった。その後の高解像度撮影で正体はただの岩山だとわかっている。撮影時の太陽光の角度と影の付き方が、たまたま「顔」に見えるパターンを作っていただけだった、というのが現在の見方だ。

似た言葉に「シミュラクラ現象」がある。こちらは3つの点が三角形状に配置されているだけで顔に見えてしまう、という顔認識に特化した現象を指す。パレイドリアはもっと広い概念で、顔以外の物体の形や、音声のような聴覚刺激にも当てはまる。シミュラクラはパレイドリアの一種、くらいの位置づけで捉えておくとわかりやすい。両者を同じ意味で使うと混同されるので注意。

使い方・例文

  • 「またこのシミが顔に見えるってやつ?」「うん、パレイドリアだね」
  • 「あの雲、完全に犬の横顔じゃない?」「それパレイドリアってやつかも」
  • 「心霊写真の正体、大体パレイドリアで説明つくらしいよ」

学術寄りの用語ではあるが、ネット上では「見間違いあるある」を指すカジュアルな語としても使われ始めている。

関連する言葉

顔や人影を見間違える現象として、シミュラクラ現象という近い言葉もよく引き合いに出される。パレイドリアはその上位概念にあたり、顔だけでなく物の形全般、さらには音まで対象になる点が違う。夜道の見間違いネタが気になった人は、発端になった配管パイプの記事もあわせてどうぞ。