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腕の影が「アニメ塗り」になった写真が11万いいね、色が2つに割れるのは光源が小さいときだけ

2026年8月13日 ・ トレンド「アニメ塗り 影 2色 セル塗り ハードライト 半影」より

自分の手をかざした写真に「アニメ塗りと全く同じ影できて感動してる。色が二つだ。」と添えた投稿が、Xで11万いいねを超えた。

写真を見ると、たしかに肌がグラデーションになっていない。手の甲の明るいところと、指の下の暗いところが、境目でスパッと切り替わっている。中間の色がほとんどない。イラストソフトで影レイヤーを1枚だけ乗せたときの見た目そのものだ。

これは肌の側の事情ではなく、当てている光の側の事情で決まる。

影の輪郭がぼやけるのは、光源に大きさがあるから

影の縁がふわっとぼけている部分を半影という。光源の一部だけが見えていて、残りが物体に隠れている領域のことだ。この半影が広いほど影の境目がなだらかになり、狭いほどくっきり割れる。

半影の広さを決めるのは、光源の見かけの大きさになる。空全体が光る曇りの日は、影がほとんど消えて全部が中間色になる。逆に、点に近い小さな光を1つだけ当てると半影がほぼゼロになり、当たっている面と当たっていない面の2つしか残らない。

投稿の写真は室内で、背景に扇風機と洗濯物が写っている。強い光が1方向から入り、そのほかの面から回り込む光がほとんどない状況だ。壁や天井の反射が少ない部屋ほど、この2値の影が出やすくなる。

アニメ側が2色なのは、絵の具で塗り分けていたから

もう片方の「アニメ塗り」も、そもそもなぜ2色なのかという話がある。理由はシンプルで、セル画の時代は透明なシートの裏側に絵の具を塗っていたからだ。筆で塗る以上、1つの面は1つの色になる。グラデーションを作ろうにも工程に乗らない。

そこで、キャラクターのパーツごとに使う色をあらかじめ決めておく色指定という作業が生まれた。基本になるノーマル色があり、そこに影1号、さらに奥まったところに使う濃い影2号、光が強く当たる場所にハイライト、という具合に段階で持たせる。デジタル制作が当たり前になった今も、この段の作り方は残っている。アニメ塗りが2色や3色で構成されるのは、表現としてそう選んだというより、工程の制約が様式になったものだ。

つまりこの写真で起きているのは、現実の光がたまたまアニメ側の制約と同じ条件になった状態ということになる。光源が小さくて1つ、回り込む光が少ない。その2つがそろうと、人間の腕でも段が2つしかない絵になる。

再現するなら夜の部屋がいちばん早い

やってみたい人向けに条件を整理すると、まず部屋の照明を全部消して、スマホのライトか小さめのデスクライトを1つだけ点ける。光源は手から少し離す。近づけすぎると、光源の見かけの大きさが相対的に大きくなって影が柔らかくなってしまう。白い壁のすぐ横だと反射が回り込むので、暗い側に何も無いほうがきれいに割れる。

屋外なら、真夏の日中に直射日光の下で手をかざすだけでもかなり近いものが出る。ただし空からの青い光がわずかに回り込むぶん、影側が完全な単色にはなりにくい。

自分の手が急にアニメの絵に見える瞬間は、光の条件がそろっただけの物理現象だ。それでも撮った本人が感動してしまう気持ちはよく分かる。夜に部屋の電気を消す用事ができたら、ついでに手をかざしてみてほしい。