南太平洋の島国ナウルが「ナオエロ」に改名、実は“ナウル”のほうが外国人がつけた仮の名前だった
「国の名前を変えます」と聞くと大ごとに感じるけれど、今回のは少し毛色が違う。南太平洋のちいさな島国ナウルが、国名を現地語の「ナオエロ共和国」に変えた。しかも中身をよく読むと、まったく新しい名前をつけたわけじゃない。むしろ元に戻しただけ、という話だった。
新しい名前じゃなくて、元の名前
デービッド・アデアン大統領の説明がなかなか効いている。「ナウル」という呼び名は植民地時代の名残で、外国人が現地語の「ナオエロ(Naoero)」をうまく発音できなかったために、便宜的に「ナウル」と呼ばれるようになったものらしい。
つまり順番としては、最初にナオエロがあって、外の人が言いにくいからナウルになった。今回それを本来のナオエロに戻した、というわけだ。政府の声明も「ナオエロは国民の誇りであり、団結と愛国心の上に築かれた新たな章」と、かなり気合いが入っている。
面白いのがそのあとの話で、議会はいったん5月に「改称の是非を問う国民投票をやる」と決めていた。ところが審議を進めるうちに「これは新しい名前をつけるんじゃなくて、すでに国民に知られている伝統的な名前に戻すだけだよね」という整理になり、国民投票そのものを省くことにした。言われてみれば、自分の本名に戻すのに多数決はいらない。国名コードは「NRO」になった。
そもそもナウル(ナオエロ)ってどんな国
名前は知っていても場所や規模はピンと来ない人が多いはず。面積はおよそ21平方キロで、独立国としては世界で3番目に小さい。人口は約1万人。国の言語はナウル語(ドレリン・ナオエロ)で、まさに今回の名前の由来になっている。
この国、歴史がなかなか劇的でもある。かつては良質なリン鉱石が大量に採れて、一時は国民一人あたりの所得が世界有数と言われるほど豊かだった。ところが資源はやがて枯渇し、しかも長年の採掘で国土の大部分が荒れて、島の8割ほどが人の住めない状態になったとされる。豊かさの象徴だった資源が、そのまま重い課題として残った格好だ。
そんな国が、外から与えられた呼び名ではなく自分たちの言葉の名前を名乗り直す。ニュースの見出しだけ見ると地味だけど、背景を知ると妙にしみる決定だと思う。
日本語だと「ナウル」のまま…かもしれない
ちなみに、日本でおなじみの「ナウル共和国政府観光局(公式)」アカウントが、この話に補足を入れていた。曰く、変わるのは英語表記の「Naoero」で、日本語をどう書くかはまだ協議中。場合によっては日本語では「ナウル」のまま、という可能性もあるらしい。
理由がまた味わい深くて、そもそもこの発音が日本語にない。無理やり表記しようとすると「ネェォロォ共和国」みたいなことになってしまう、と本人たちが言っている。せっかく本来の名前に戻したのに、日本語だと逆に書きにくいという、ちょっとねじれた事情になっている。
SNSの反応
日本でもトレンド入りして、いろんな声が並んだ。「新しい名前かと思ったら元の名前に戻すだけって粋だな」「ナウルって呼んでたの、こっちの都合だったのか…」と、由来を知って見方が変わった人が多い。
「NROってコードかっこいい」「地図帳の表記いつ変わるんだろう」みたいな細かいところに反応する人もいれば、「国民投票いらないって判断もスマートでいい」と手続きの割り切りを褒める声も。国の改名という硬めのニュースなのに、反応はどこか温かかった。
近ごろは植民地時代の呼称を見直して現地語の名前に戻す動きが世界のあちこちで起きている。ナオエロもその流れの一つ。次に世界地図で「Naoero」の文字を見かけたら、あれは言い間違いから本名に戻った国なんだ、と思い出してもらえたら。