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「回覧板を田中さんに届けろ」田舎のばあちゃんが主人公のGTA風ゲーム、正体はAIが作った8分の映像だった

2026年9月10日 ・ トレンド「AI 田舎 ばあちゃん ゲーム 回覧板を田中さんに届けろ Seedance 2.5 Pollo AI」より

左下にミニマップ、その上に体力と防具のゲージ、右下にはメニューのアイコン。画面の下には赤い文字で「回覧板を田中さんに届けろ」と現在のミッションが出ている。誰がどう見てもオープンワールドのゲーム画面なのだが、走っているのは腰の曲がったばあちゃんで、舞台は山あいのなんでもない集落だ。

この映像がXに切り抜きで流れて21万いいねを超え、「ガチで販売してくれねーかな、このゲーム」と探しに行った人が続いた。結論から言うとどこにも売っていない。ゲームですらなく、AIで作られた映像だ。作ったのはYouTubeチャンネルAI動画ラボコイコイで、9月9日の夜に公開された8分16秒の「AIが考えるおばあちゃんゲーム」がまるごと元になっている。

ミッションが全部「集落の用事」

よくできているのは、画面のUIではなくミッションの中身のほうだ。

最初の任務が「回覧板を田中さんに届けろ」。ばあちゃんは回覧板を持って走り出し、通りかかった自転車のおじさんを引きずり下ろして自転車を奪う。おじさんが道端にへたり込んでいる横を、ばあちゃんは涼しい顔で漕いでいく。画面の左上には「B 長押しで早漕ぎ。」という操作説明まで出る。GTAでいう車の強奪をそのまま自転車に置き換えたわけで、動きだけ見れば完全に強奪なのに、目的が回覧板なのでどうしても笑ってしまう。

田中さん宅に着いてからも話は進む。「田中さんを落ち着かせろ」という次のミッションが出て、さらに「新入りにケジメをつけに行け」まで続く。最近この集落に越してきた人が挨拶に来ない、という理由で軽トラが出動するくだりは、ヤクザ映画の構図に田舎の人間関係を流し込んだような絵になっている。手に入るアイテムが「こやし」なのも効いていた。

8分ぶんを1本で作れるモデルはまだ無い

画面の左上には「Pollo.ai × Seedance2.5」と入っている。Seedance 2.5はByteDance傘下のAI研究チーム「Seed」が作った動画生成モデルで、2026年7月31日に同社のDreaminaで使えるようになったばかりだ。セリフやBGM、環境音を映像と同時に生成してステレオで出力できるのが特徴で、この動画のばあちゃんの声や田舎の蝉の音もそこから出ている(日経クロステック)。

ただし1回の生成で出せるのは最長30秒。長尺モードで延長をかけても180秒までとされている。つまり8分16秒の本編は、短いカットを大量に作ってつないだものだ。ばあちゃんの服の柄、集落の家並み、赤いミッション表示の位置が最後まで揃っているのは、モデルが勝手に一貫させてくれたからではなく、参照素材を渡しながら1カットずつ揃えていった結果ということになる。

逆に、つなぎ目でごまかしきれない部分もそのまま残っている。まとめサイトのコメント欄では、ばあちゃんも新入りも軽トラの左側から乗り込んでいる点や、荷台と運転席の構造がどうなっているのか分からない点にツッコミが入っていた。細部を見ればAIだと分かるのに、パッと見のスクリーンショットではゲームにしか見えない、という距離感が今のところちょうど面白い。

「腹抱えて笑ってる」

Xで目立ったのは、真面目に田舎暮らしを体験するゲームだと思って見始めた人の落差だった。

「田舎のばあちゃんを体験するゲームなのかなって思った瞬間チャリ飛び蹴りしてて腹抱えて笑ってる」 「回覧板を田中さんに届けろで草。平和なミッションや。」

自転車を奪うシーンを名指しで挙げる人もいて、「回覧板を田中さんに届けろ!で自転車乗ってるやつ蹴飛ばしてひったくる動画ずるいだろゲームだしてくんないかな」という声もあった。ミッション名が平和であればあるほど、やっていることの物騒さが際立つ作りになっている。

集落の用事をこなすだけのゲームなら、たぶんここまで伸びていない。回覧板と自転車強奪という噛み合わせが全部で、そこにちゃんと気づいて笑った人がこれだけいた、ということでもある。本編は8分あって、記事で触れたミッションはまだ序盤だ。競馬で負けたばあちゃんが出てくる場面もあるので、続きは本編で見てほしい。

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