ロマサガ3リメイク「私が町長です」、公式生放送の答えは今回も殴れないだった
『ロマンシング サガ3』のフルリメイク『ロマンシング サガ3 デスティニーユナイテッド』の発売が決まり、それを記念した公式生放送が9月11日に配信された。新システムの話も、物語を補完する追加イベントの話も出たのだが、事前にXで募集した質問コーナーに紛れていたのはそのどれでもない一問だった。「町長は殴れますか?」である。
31年前のスーパーファミコンのRPGに出てくる、町ひとつぶんのモブおじさん。その男を殴れるかどうかが、令和のリメイク発表会でいちばん知りたいことになっていた。
質問コーナーに「町長は殴れますか?」が集まった
配信の正式名称は「『ロマンシング サガ3 デスティニーユナイテッド』発売決定記念!公式生放送」で、SQUARE ENIX PRESENTSの告知ページにも出ていたやつだ。スクウェア・エニックス公式チャンネルで配信され、出演はMCのペンギンズ ノブオ、プロデューサーの田付信一、ユリアン役の榎木淳弥、カタリナ役の瀬戸麻沙美という4人だった。
電ファミニコゲーマーのレポートによると、田付は「コマンダーモード」の廃止や、サラを主人公に選んだときに特定の大事なイベントに参加できること、そして「町長」に関するとある仕掛けがあることにも触れたという。同メディアの公式Xは、質問コーナーで「町長は殴れますか?」がいちばん届いていた、と伝えている。配信を見ていた人がリアルタイムで書き残したメモ投稿でも、殴れはしないが仕掛けをひとつ用意している、という内容で記録されていた。
ここは取り違えないでほしいところで、仕掛けがある=殴れる、ではない。田付の回答は、殴れないけれど何かはある、という趣旨だった。31年ぶんの私怨を拳で晴らすルートは、今回も用意されていない。
1995年のキドラントで、町長が何をしたか
事情を知らない人のために説明しておくと、原作は1995年にスクウェアから発売された『ロマンシング サガ3』。問題の男は、序盤に立ち寄る町キドラントの町長だ。
ねとらぼの2017年の記事がこのイベントを丁寧にまとめている。同記事によれば、町長は主人公たちを洞窟「いけにえの穴」に閉じ込めたうえで「化物を倒してきたら開けてやるよ」と言い放つ。最初から自分たちを差し出すつもりだったのか、という叫びに対しては「何か言ったかい? よく聞こえんな〜。町のためだ。がんばってくれ」。同記事はこれを鬼畜生発言と書いている。
この洞窟から抜け出せたのは、たまたま前を通りかかった町の若い娘ニーナが助けてくれたからだった。ところが文句を言いに町長のところへ戻ると、返ってくるのは「かわいそうだがニーナにいけにえになってもらった」。恩人を次のいけにえに差し出していたわけだ。そこからニーナを助け出し、今度こそという気持ちで町長のところへ向かうと、返ってくるのは「私が町長です」の一言だけ。それでイベントは終わる。ねとらぼの表現をそのまま借りれば、以上、イベント終了、である。
2017年の発表で沸いたのに、2019年のリマスターでも殴れなかった
この「町長を殴りたい」という願いは、今回が初出ではない。
2017年3月28日、リメーク企画が発表されたときのねとらぼの記事は、見出しからしてこうだった。「『ついに町長しばけるのか!?』 “ロマサガ3”リメーク発表に原作プレイヤーたちの興味が思わぬ方向へ」。リメイクと聞いて真っ先に話題になったのがグラフィックでもボリュームでもなく町長だった、という記録が残っている。
そして2019年、実際にリマスター版が出たときには小さな変化があった。ニコニコ大百科の「私が町長です」の項によると、町長に「報酬をよこせ」と迫るか「一発なぐらせろ」と迫るかを選べるようになったという。ただし「一発なぐらせろ」を選ぶと町長は逃げてしまい、結局は殴れずに終わる。「報酬をよこせ」のほうを選ぶと所持金が上限の10000オーラムまで増えるかわりに、その後の町長のセリフが「私が町長です。フッ」に変わるそうだ。選択肢は増えたのに溜飲だけ下がらない。
発売前のファミ通のTGS2019のステージレポートも面白い。公式Twitterで募集した『ロマサガ3』の思い出の第1位が「私が町長です」で、ステージに登壇した河津秋敏から、リマスター版ではこれ以外の展開もあるかもしれない、という発言が出た、と伝えている。含みを持たせる言い方まで含めて、今回の、殴れないが仕掛けはある、という回答とよく似ている。
リメイク版で足されるもの、外れるもの
肝心のリメイク本体の話もしておく。電ファミによると、『デスティニーユナイテッド』では「なぜ四魔貴族と戦っているのか?」や「死食とは?」「アビスゲートって何?」「主人公たちの動機付け」などを補完できるイベントが追加されているようだ。原作は説明を多く語らない作りだったので、そこを埋めにきた形になる。
コマンダーモードの廃止は、原作をやり込んだ人ほど反応が分かれそうな変更だ。それでも質問コーナーの主役を町長に持っていかれたあたり、このゲームの思い出され方はだいぶ独特だ。
31年ものの恨みが、まだ現役だった
今回いちばん面白いのは、町長イベントそのものよりも、31年経ってもこの質問が一番に来るという事実のほうだと思う。1995年に子どもだった人がもう40代になっていて、それでもリメイクと聞いた瞬間に思い出すのが四魔貴族でも死食でもなく、町のためだ、がんばってくれ、と言い放ったおっさんの顔なのだ。
しかも今回はNintendo Switch 2やPS5で出る予定なので、原作を知らない世代が初めてキドラントに立ち寄ることになる。何も知らずにあの洞窟へ入り、出てきて話しかけて、「私が町長です」を食らう人が2027年にまた出てくるわけだ。そのときに用意されているという仕掛けが何なのかは、まだ明かされていない。
ちなみに名作リメイクの並びでいうと、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のリメイクは11月5日発売、『妖怪ウォッチ2 覇道』もSwitch 2で制作決定、スクエニ本体からは『FF7リベレーション』が2027年4月8日と、この冬から来年にかけて往年のタイトルが一斉に戻ってくる。そのなかで「町長を殴れるか」で盛り上がっているタイトルは、たぶんロマサガ3だけだ。