H3ロケット9号機、台風延期を乗り越えて打ち上げ成功 みちびき7号機でスマホの位置精度が1mに近づく
8月11日午前4時23分、種子島宇宙センターからH3ロケット9号機が打ち上げられた。搭載していたのは準天頂衛星「みちびき7号機」。打ち上げからおよそ30分後に衛星を分離し、予定していた軌道への投入を確認したとJAXAが発表した。
台風で2度延期されての明け方の打ち上げ
もともと8月7日に予定されていた打ち上げは、台風13号の接近で8月10日に延期。それでも天候条件が整わず、最終的に8月11日4時23分〜5時23分の枠に再設定されていた。台風待ちで日程がずれ込むのはロケット打ち上げでは珍しくないが、今回はそこに輪をかけて重い事情があった。
8号機の失敗を経ての、実用衛星としては再起の1機
9号機は本来もっと早く飛ぶ予定だった。だが2025年12月22日、前の8号機がみちびき5号機を予定軌道に投入できずに終わっている。原因は衛星を固定するアダプター内部の剥離で、フェアリング分離時の衝撃で製造時の不具合が広がったとみられている。JAXAはこの半年ほど、アダプターの接着方式を含めた対策の検証に費やしてきた。つまり今回の9号機は、対策を施したうえで実用衛星を積む最初の打ち上げという位置づけで、成功の一報には単なる定例ミッション以上の意味があった。
みちびき7号機は何をする衛星か
みちびきは日本版の衛星測位システムで、GPSを補強して位置情報の精度を上げる役割を持つ。7号機がそろうと日本上空に常時4機以上が滞在する「7機体制」が完成し、みちびき単独でも位置測位を続けられるようになる。将来すべての機体に高精度測位機能(ASNAV)が載ると、スマホなど一般的な受信機の測位精度は現状の5〜10mから1m程度まで縮む見込みだ。カーナビの誤差や、地図アプリで自分のいる場所が道路一本ズレるあの現象が、じわじわ解消されていくことになる。
7号機にはもうひとつ役目がある。地震や津波の際に防災機関が出す危機管理情報を、みちびき経由で配信するメッセージサービス用のアンテナだ。日本国内だけでなく、電波の届くアジア・オセアニア地域にも配信できるという。
打ち上げ後、JAXAのアカウントには「あたたかいご声援、誠にありがとうございました」と短い御礼が投稿された。延期が続いた分だけ、明け方の空に上がった炎を見届けた人の数も普段より多かったのかもしれない。