「カッパ捕獲許可証」が最速で取れる資格として話題に、220円で買える実在の許可証は中身がやたら本気だった
「いまから1ヶ月で資格10個取りたいってひと集合」という書き出しで、短時間で取れる検定を並べた投稿がXで3万いいねを超えた。ヨーグルト検定10分、化粧品検定3級20分、といった調子で並ぶリストの2個目に、聞き慣れないものが混ざっている。
カッパ捕獲許可証(購入型なので即時)。
この1行のせいで「カッパ捕獲許可証」がYahoo!リアルタイム検索の急上昇ワードに入り、「何それ」「ほしい」という反応が続いた。試験も勉強もいらないので資格と呼んでいいかは微妙だが、許可証そのものは実在する。
岩手県遠野市が2004年から発行している
発行元は一般社団法人 遠野市観光協会。遠野といえば『遠野物語』で知られる民話の里で、カッパが出るとされる「カッパ淵」が土淵町にある。その淵でカッパを捕まえるための許可証を、観光協会が2004年(平成16年)4月から売っている。
220円という値段は、観光地のキーホルダーよりだいぶ安い。それでいて現地では顔写真入りのバージョンも作れて、実際に取得した人が実物を公開している。
写真を見ると、許可番号、氏名、住所、交付月日、有効期限の欄がきちんと並び、右下には観光協会の角印まで押されている。顔写真の欄はカッパの被り物とキュウリで埋まっているが、書式そのものは免許証の作りだ。
裏面の「カッパ捕獲7ヶ条」がやたらと真面目
許可証の裏には守るべき条件が7つ書かれている。要約せずに並べると、こうなる。
- カッパは生捕りにし、傷をつけないで捕まえること
- 頭の皿を傷つけず、皿の中の水をこぼさないで捕まえること
- 捕獲場所は、カッパ淵に限ること
- 捕まえるカッパは、真っ赤な顔と大きな口であること
- 金具を使った道具でカッパを捕まえないこと
- 餌は新鮮な野菜を使って捕まえること
- 捕まえたときには、観光協会の承認を得ること
4条がなかなか厳しい。遠野のカッパは全国的なイメージの緑ではなく赤い顔だと伝えられていて、色が違うものを捕まえてきても対象外ということらしい。5条と6条はカッパを傷つけないための決まりで、動物の保護規定として読むと普通に筋が通っている。
捕まえたら1000万円、ただし所有権は移る
賞金の話もある。地元のケーブルテレビ局・遠野テレビが公式サイトで、カッパ淵に棲む河童を捕獲して連れてきた人に1000万円の謝礼を出すと告知している。ページにはこう書いてある。
「本物と確認された場合、1,000万円の謝礼を差し上げます。なお、河童は遠野テレビの帰属となります」
1000万円で買い取り、という言い方をしないところに味がある。さらに注意事項が続く。
捕獲後のケア方法まで書いてあるのが、この告知のいちばん面白いところだと思う。捕まえる側の手柄ではなく、カッパの体調を心配する順番で並んでいる。
更新するとキュウリが増える
顔写真入りの許可証には更新の欄があり、更新するたびにキュウリのスタンプが増えて許可証の色が変わる。5年更新まで続けると「ゴールド」になり、観光協会で割引が受けられるという特典つきだ。運転免許のゴールドと同じ発想を、カッパで真顔でやっている。
1ヶ月で資格を10個そろえたい人にとっては、たしかに最速で1枠を埋められる。ただ実際に手元に来るのは、7ヶ条と賞金と更新制度がセットになった、20年以上続いている観光の仕掛けのほうだ。遠野に行く用事ができたときの持ち物として、220円はかなり良い買い物だと思う。