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唐揚げ専門店の「金賞」の旗、なぜどの店にも立っているのか。からあげグランプリの受賞店数を数えたら納得した

2026年8月13日 ・ トレンド「唐揚げ専門店 金賞 なぜ からあげグランプリ 仕組み」より

商店街を歩いていると、唐揚げ専門店の軒先でだいたい同じ色の旗がはためいている。赤地に「金賞受賞」。隣の駅の店にも立っている。少し離れたスーパーの惣菜コーナーにも「最高金賞」のポップが刺さっている。

その光景に素朴な疑問を投げたXの投稿が、9万いいねを超える反響を集めた。

言われてみると確かにおかしい。金賞というからには一番だと思うのに、一番の店が街に何軒もある。調べてみたら、ちゃんと理屈のある話だった。

旗の正体は「からあげグランプリ」

唐揚げ店が掲げている金賞のほとんどは、日本唐揚協会が主催する「からあげグランプリ」の受賞歴だ。第1回は2011年で、毎年開催されている。エントリー制で、店側が申し込んで参加し、一般のネット投票で受賞店が決まる。第18回の募集要項ではエントリー費用が税込22,000円と明記されている。

つまり、密室で選ばれる権威ある賞というより、「参加を申し込んで、常連さんに投票してもらう」タイプのイベントに近い。投票期間は半年近くあり、店側がSNSで呼びかけて票を集めるのも普通に行われている。

部門が細かい。だから金賞も多い

いちばんの答えはここにある。からあげグランプリの一般部門は、地域と味付けの組み合わせでかなり細かく割られている。第18回の区分でいえば、半身揚げ・手羽先部門、塩ダレ部門、東日本しょうゆダレ部門、中日本しょうゆダレ部門、西日本しょうゆダレ部門、東日本バラエティ部門、中日本バラエティ部門、西日本バラエティ部門の8つ。これに弁当部門が加わる。

部門ごとに最高金賞と金賞が出るので、1回の開催で生まれる受賞店は必然的にまとまった数になる。2026年4月に発表された第17回の結果はこうだ。

一般部門だけで61店。回によってはもっと多く、第15回は753店のエントリーから87店が最高金賞・金賞を受けている。スーパーの惣菜売り場で金賞のポップをよく見るのも当然で、そちらは1回で46社が受賞している。

受賞は「その回」のもの、だから街に溜まっていく

もうひとつ効いているのが時間だ。受賞歴はその回のものだが、旗やのぼりは受賞した年に外す義務があるわけではない。2011年から17回ぶんの受賞店が積み上がっているので、街を歩けば歩くほど金賞店に遭遇することになる。「◯年連続最高金賞」を掲げる店があるのも同じ理屈で、連覇を重ねた店ほど看板が賑やかになっていく。

「1位だと思ってた」という声が多かった

投稿への反応で目立ったのは、驚きよりも答え合わせの空気だった。「金賞=1位の認識が間違ってるのか、誰か教えてほしい」と真顔で聞く人、「もはや唐揚げ屋のデフォルト装備だろ」と笑う人、「近所に3軒あって全部旗を立てていた」と報告する人。ネット投票と聞いて、モンドセレクションを引き合いに出す声もそれなりにあった。

ただ、仕組みを知ったうえで見ると印象は少し変わる。ネット投票で決まるということは、あの旗は「その店に足を運んで、わざわざ投票までした客がいる」ことの記録でもある。審査員が選んだ絶対的な順位ではないけれど、地元に愛されている量はそれなりに映っている、くらいの読み方がちょうどいいのだと思う。

次に金賞の旗を見かけたら、下のほうに書いてある部門名まで読んでみてほしい。「西日本しょうゆダレ部門」なのか「塩ダレ部門」なのか、そこまで見るとその店がどんな味で勝負しているのかが分かる。看板の情報量が急に増えて、ちょっと楽しい。