← 一覧へ 暮らし

「降車ボタン押し放題」は実在する。長電バスの親子ツアーと、20年続く「禁断の押し放題」

2026年8月20日 ・ トレンド「降車ボタン 押し放題 長電バス 禁断の押し放題 つぎとまります バス 子ども」より

長野県の長電バスがやった「降車ボタン押し放題ツアー」の話がXで掘り起こされ、8月20日にかけて「降車ボタン」が急上昇ワードに入りました。走っている路線バスに乗って、子どもが好きなタイミングで何度でも降車ボタンを押せるという企画です。

これは実在します。しかも一度きりの話ではありません。

長電バスのツアーは親子30人限定、丸5時間

開催は2022年8月27日。信濃毎日新聞によると、親子計30人限定で、午前10時から午後3時までの丸5時間。長野駅東口を出発して、しなの鉄道北しなの線の三才駅前や長電バスの長野営業所などを回り、電車やバスの車両を見たり写真を撮ったりするコースでした。乗っている間はずっと押し放題です。

NBS長野放送の取材では、営業所で運転席に座って記念撮影をしたり、高速バスの運転手の仮眠スペースを見学したりもしています。子どもの感想が「1億回押しても、押し放題」。母親からは「こんな機会はもうないと思ってきました」という声が出ていました。

企画のきっかけは、催しでバス車両を展示すると降車ボタンを押したがる子どもがやたら多いことだったそうです。担当者は「実際にバスに乗ったことのあるお子さんが非常に少ない」とも話しています。長野県内の乗り合いバス利用者数はここ15年ほどで2割以上減っていて、遊びに見えて中身は真面目な利用促進策でした。

翌2023年3月24日には、長野ターミナル会館の5番プラットホームで「ターミナル横丁で押しボタン押し放題」も開催しています。こちらは小学生以下が対象で参加費1人100円、時間帯を4つに区切ってキッチンカーまで出す構えでした。

20年以上、全国を回っている「禁断の押し放題」

もうひとつ、大人が本気で押しに行っている展示があります。バスの降車ボタンを集めているコレクター「ばすくん」さんが各地のイベントに持ち込んでいる「禁断の押し放題」です。

先日の展示に足を運んだ人の写真がこちら。

壁一面のボタンが全部光っています。ざっと数えて100個超。上には「ワンマンバス 降車押ボタンの歴史」という札と、旧三陽製の「とまります」灯が実装されています。

この展示ボードは「つぎとまります」というサイトで作り方まで公開されていて、ボタンは1950年代から時系列に並べられ、各ボタンの上に使用年代、下にメーカーと形式が書かれています。ポイントは配線で、どのボタンを押してもブザーが鳴り、「とまります」灯も運転手知らせ灯もまとめて点灯する仕組み。ブザー・ベル・チャイムを5種類実装していて、手製のコントローラーで音色を切り替えられます。屋外で展示するときは乗用車用の12Vバッテリー2台を直列にして電源にする、という徹底ぶりです。

出展先は都営バスの「バスまつり」、西武バス飯能営業所の感謝祭、名古屋市交通局の地下鉄今池駅コンコース、銚子電鉄のぬれ煎餅駅、盛岡の「バスの日まつり」、瀬戸中央自動車道の鴻ノ池SAなど、20年かけて全国に広がっています。直近では2026年8月1日、横浜・日吉の商店街の納涼盆踊り大会の夜店に出ていました。上のツイートは、その翌日に「昨日行ってきた」と投稿されたものです。

「押し放題では違う」という意見も出ている

反応で多いのは、大人が行きたがっているものです。「東京近郊でもやってくれないかな。乗車時間30分で大人1000円とかでも余裕で乗りたい」「バスの降車ボタンにワクワクしなくなった時、幼年期が終わる」といった具合で、子ども向け企画のはずが完全に巻き込まれています。

一方で、押し放題では本質を外しているのでは、という声もありました。子どもが降車ボタンを押したいのは社会に関わりを持ちたい、大人の真似をしてみたいからであって、いつでも好きに押していいよと言われても違う。タイミングと責任感でドキドキしたいのだ、という指摘です。言われてみると、あの「今だ」と思って押す瞬間の緊張感こそが正体という気もします。

現役の運転手からは、実用面のお願いも出ていました。降車ボタンは早めに押してほしい、通過直前に押されると急ブレーキの原因になるし、止まれないと判断したら通過することもある、というものです。「お知らせがなければ通過します」の案内を聞いてから押すのでは遅い、とも。押し放題で遊んだあとは、路線バスでは早めに1回だけ押すのがよさそうです。

長電バスの押し放題ツアーは好評だったため2回目の開催も検討されていました。「禁断の押し放題」のほうは今も各地のイベントに出ているので、出展情報は公式サイトで確認できます。

広告