「Suicaのペンギン」が書店員に転職、丸善ジュンク堂のグッズは店舗限定だった
2026年9月10日の昼過ぎ、Xに1枚の写真が流れてきた。緑のエプロンを着た「Suicaのペンギン」が本を片手に棚からぶら下がっていて、胸には「JUNKUDO」の文字。投稿した @emi_22_24 さんが添えた一言が「ペンギンもう転職キメててえらい」で、これが翌日までにいいね20万超えまで伸びた。
写真の下のほうには「Suica’s Penguin JUNKUDO」と刷られたアクリルキーホルダーが並んでいて、値札にはしっかり¥1,430と書いてある。コラでもファンアートでもなく、店頭に実在する売り物だ。
正体は丸善ジュンク堂書店のコラボグッズ。ジュンク堂書店の創業50周年と、今年25周年を迎えたSuicaを合わせた記念で、プレスリリースには「商品ラインナップは全7アイテム、合計12品。」と書かれている。ただ、これを見て「ポチろう」と思った人はそこで止まる。ネットストアに置いていないからだ。
書店員さんマスコットは2,706円、全7アイテムの値段
まず値段から。丸善ジュンク堂書店の特設ページに全品の税込価格が出ている。
バズった写真の主役、ぶら下がっているぬいぐるみが「Suicaのペンギン 書店員さんマスコット 各2,706円(税込)」。縦15センチなので、手のひらに乗るサイズよりひとまわり大きい。その下に並んでいたキーホルダーが1,430円というわけだ。
ここで「全7アイテム、合計12品」の数が合わないと思った人は鋭い。価格表記をよく見ると、マスコット・キーホルダー・クリアファイル・リングノートには「各」が付いている。これが丸善ver.とジュンク堂書店ver.の2種類ぶんという意味で、ましかくメモはピンクとクリームの2色。2+2+2+2+1+2+1でちょうど12品になる。アイテム数と品数が5つズレているのは、そういう仕組みだ。
丸善とジュンク堂でエプロンが違う
同じデザインを店名だけ差し替えたわけではない。特設ページはこだわりどころを「書店員として、本を片手にはたらくSuicaのペンギンを、丸善・ジュンク堂それぞれのエプロンを着用したバージョンを展開し、お馴染みのブックカバー模様を再現したデザインなど、細部にまでこだわりを詰め込みました。」と書いている。
バズった写真に写っているのはジュンク堂書店ver.の緑エプロン。丸善ver.はまた別の姿で、ブックカバーの模様まで再現されている。要するに、どちらか片方で満足できる人向けの設計になっていない。2,706円のマスコットを2体そろえると5,412円で、キーホルダーまで両方いくと8,272円になる計算だ。財布の紐を先に締めておいたほうがいい。
ネットストアでは売っていない、店頭だけ
そして最大の関門がこれ。プレスリリースの冒頭にはわざわざ「(※丸善ジュンク堂書店ネットストアでの販売はございません。)」と書かれていて、特設ページの販売店舗リストの末尾にも「※ネットストアでの取り扱いはございません。」と念押しがある。オンラインの受け皿はゼロで、買う手段は店頭に行くことだけだ。
とはいえ置いている店はそれなりに多い。特設ページの販売店舗リストには池袋本店、お茶の水店、メトロ・エム後楽園店、吉祥寺店、大泉学園店、横浜みなとみらい店、藤沢店、新静岡店、名古屋本店、プライムツリー赤池店、大阪本店、梅田店、近鉄あべのハルカス店、八尾アリオ店、西宮店、三宮駅前店、明石店、姫路店、さんすて岡山店、広島駅前店、博多店、札幌店、イオンモール旭川駅前店、仙台アエル店、大宮高島屋店、エミテラス所沢店、津田沼店、ユニモちはら台店などがずらりと並んでいて、丸善 広島店やMARUZEN福岡店、MARUZEN盛岡店といった丸善側の店も入っている。ただし特設ページには「商品の取り扱い状況は店舗により異なりますので、詳しくは各店舗までお問い合わせください。」「※取扱商品・販売開始日は店舗によって異なります。」という注記がある。全店に全品そろっているとは限らないので、目当てが決まっているなら電話で聞いてから出たほうが早い。
追加店舗の発売日については、特設ページが「追加店舗の発売日は9/18(金)頃を予定しております。」と案内している。
「ありがとうFAIR」は今も巡回している
グッズはフェアの形で店を渡り歩いてきた。正式名称は『Suicaのペンギン×丸善ジュンク堂書店 Suicaのペンギン、ありがとうFAIR』。先行販売は丸善 丸の内本店の4階文具売場で7月29日から8月19日まで。その会期が終わるより前に巡回のほうも動き出していて、丸善 名古屋本店(8月11日〜9月10日)、丸善 ラゾーナ川崎店(8月17日〜9月9日)と回り、この2つはすでに会期を終えている。バズった当日が名古屋の最終日だったのは、なかなか意地悪なタイミングだった。
いま開催中なのは次の3つ。
- 丸善 京都本店 … 8月21日〜9月27日(好評につき追加開催が決まったぶん)
- 丸善 日本橋店 … 8月28日〜9月27日
- ジュンク堂書店 三宮店 … 9月2日〜10月7日
加えて、ジュンク堂書店 池袋本店は8月8日から1階のPOP UPスペースで販売中。店舗公式アカウントの @junkudo_ike が「ジュンク堂書店 池袋本店での販売は9月23日(水祝)まで」と告知している。
「転職」ではなく、卒業に向けた記念グッズだった
ここまで読んでうっすら気づいた人もいるはず。なぜ25周年のタイミングで、キャラクターにわざわざ他社のエプロンを着せるのか。プレスリリースはその理由を隠していなくて、「「Suicaのペンギン」の節目となる25周年、そして卒業に向けた記念アイテムとして数量限定でオリジナルグッズをご用意しました。」と書いている。
Suicaのペンギンは後任にバトンを渡すことが決まっていて、JR東日本の新キャラクター投票ページでは「2026年9月8日(火)~2026年9月23日(水)23:59」の日程で後継3案の投票が進行中だ。結果は「11月18日(水)キャラクターお披露目式にて発表」で、ページ内のタイムラインには「2027.03 愛称発表・バトンタッチ式」と置かれている。3案の中身についてはSuica新キャラクターの投票が9月23日まで、C案の主役はモグラでなく「オレンジの子」のほうと、Suica新キャラ候補B案の紫うさぎ、Xでついた呼び名は「毒うさぎ」だったで詳しく書いた。ペンギン柄のカードのほうも「Suicaのペンギン」柄のSuicaが在庫限りで販売終了、次に買えるカードは無地になるという話になっている。
つまりネットで飛び交った「転職」は読者側が付けた言い回しで、会社が転職させたわけではない。送別会の記念品として作られたグッズの中で、当の本人が涼しい顔で本を売っている。ややこしい状況ではある。
引用欄は転職ネタの大喜利になった
写真が伸びたあと、引用には設定を盛る投稿が並んだ。とくに伸びたのが @miwakiti726 さんの1万2千いいね超えで、ペンギンは大勢の顧客を背後に控えさせた実力者だからジュンク堂だけでなく丸善からもヘッドハンティングが来ていて、どちらの書店に就職するかまだ決めかねている、という筋書き。丸善ver.とジュンク堂ver.の2種展開を、律儀に内定2社の話として処理している。
@shibatajun さんも「ああ、転職してしまったのか… じゃあ暫く戻ってこれないね。 ビズリーチでヘッドハンティングするしかないね。」と乗っかっていた。@nocotter_ さんの「ペンギン先輩ほどのキャリアがあれば、転職するにも引っ張りだこだろうなあ…うらやまし🐧」や、@FramResurrected さんの「正味こいつなら何処にでも転職出来ると思う」も同じ方向で、キャラクターの引退話というより職場の先輩の身の振り方として受け取られていた。25年ぶんのキャリアは伊達ではない。
買うなら会期をメモしてから
まとめると、丸善 京都本店と丸善 日本橋店は9月27日まで、ジュンク堂書店 三宮店は10月7日まで、ジュンク堂書店 池袋本店は9月23日まで。追加店舗は9月18日頃から並ぶ予定で、ネット販売はどこにも用意されていない。著作権表記は「©Chiharu Sakazaki/JR東日本/DENTSU」。
本屋に行く用事があるなら、レジ横やイベントスペースをのぞいてみてほしい。エプロン姿のペンギンが2,706円で吊るされているはずだ。