くら寿司の最低価格が9月4日から110円に、でもサーモンなど33品目は120円に値上げ
くら寿司が9月4日から寿司メニューの価格を改定します。8月19日付で出たくら寿司のプレスリリースによるもので、いちばん目立つのは1皿の最低価格が115円から110円に下がること。ところが同じお知らせの中に、これまで最低価格の115円で出していたサーモンなど33品目を120円に上げる、とも書いてあります。
値下げのニュースなのか値上げのニュースなのか、見出しだけだと一瞬わからなくなる。Xでもそこがざわつきました。
下がるのは37品目、上がるのは33品目
110円になるのは、熟成びんちょうまぐろ、ねぎまぐろ、たまご焼き、ハンバーグ、コーンあたり。全部で37品目、寿司メニューのおよそ4割がこの価格帯に入ります。
一方で120円に上がるのが、サーモン、ゆず塩かつおたたき、生えび、大葉松いか、赤貝など33品目。看板の熟成まぐろは120円のまま据え置きです。
下がる皿と上がる皿の数がほぼ同じ、というのがこの改定の分かりにくさの正体だと思います。37と33で、動く幅もどちらも5円。日本経済新聞の取材に対して同社取締役は「ファミリー層に人気の商品を値下げし来客数を増やす」のが狙いだと話していて、たまご焼きやコーンが下がってサーモンが上がるという並びを見ると、たしかにそういう設計になっています。
値段の帯が店舗ごとに違う点も改定の対象で、120円店舗は115円、130円店舗は125円、150円店舗は145円と、それぞれ5円ずつ引かれます。
110円の皿を増やすための「相盛り」
面白いのが、110円のラインナップを埋めるために新しく入る「相盛り」です。1皿にサーモンとえび、サーモンと熟成びんちょうまぐろ、サーモンとたまご焼きといった具合に、2種類のネタを1貫ずつ乗せて110円で出す。
つまり単品では120円になったサーモンが、相盛りなら110円の皿の中に残る。ネタを丸ごと外すのでも値段を上げるのでもなく、組み合わせで価格帯に収めにきた形です。「相盛り」という言葉自体、回転寿司のメニュー名としてはあまり見ないので、9月以降しばらく検索される気がします。
110円は、はま寿司と同じ土俵
回転寿司の最低価格を横に並べると、はま寿司は公式メニューを見るかぎり今も税込110円の皿を主力に置いています。かっぱ巻や納豆、枝豆あたりが110円。スシローは120円からの価格帯です。
くら寿司の115円は、この3社の中では真ん中の位置でした。それが110円に下りるということは、最低価格の表示としては、はま寿司と同じ数字に並ぶことになります。値下げの理由を「ファミリー層の来客数」と説明していることと合わせて読むと、110円という数字自体を取りにいった改定に見えます。
「安くなったのか高くなったのか」
Xでは、価格改定のニュースを引用する形でこんな声が並びました。
- 「値下げわーいと思ったら俺のサーモンは値上げしてた」
- 「37品目を5円値下げ、33品目を5円値上げ。ニュースかこれは」
- 「安くなったのか、高くなったのか、一瞬わからなくなる価格改定」
- 「完全な値下げじゃなくて、価格の再設計」
いちばん多かったのは、サーモンを名指しにした反応でした。回転寿司でよく食べるネタを聞いたUmios(旧マルハニチロ)の調査では、サーモンが47.7%で15年連続の1位。支持の理由に「コスパがよい」が挙がるネタでもあります。つまり、いちばん多くの人が毎回取る皿が、今回上がる側に入った。全体では37品目下がっていても、サーモンばかり食べる人にとっては値上げでしかない、という話です。
逆に、子どもがたまご焼きとコーンとハンバーグしか食べない家庭にとっては、素直に安くなる改定でもあります。同じ1枚のプレスリリースが、テーブルの誰の話をするかで正反対に読める。
改定は9月4日から。次にくら寿司へ行くとき、自分がいつも取っている皿がどっちの33品目に入っているかは、一応確かめておいてもいいかもしれません。
追記:くら寿司は「創業価格110円復活」と打ち出してきた
8月21日、くら寿司の公式Xが予告のポスターを出しました。書いてある文字は「創業価格復活!」、そして大きく「100円(税込110円)」。上には「〜50年分の感謝と四大添加物無添加の安心品質はそのままに〜」と添えられています。
同じ改定でも、19日のプレスリリースが「価格改定のお知らせ」だったのに対して、こちらは値下げの側だけを正面に出した見せ方です。ポスターに並んでいるのは超熟成まぐろ、いか、ねぎまぐろ、それにサーモンとたまご焼き・えびの相盛り。33品目の値上げのほうは、この一枚には出てきません。
「創業価格」という呼び方にも根拠があります。くら寿司の創業は1977年5月、大阪・堺市。2022年に115円へ上げたときの発表を「創業以来初となるお寿司商品の基本価格の全面改定」と説明していたので、税抜100円はそれまで一度も動かしていなかった数字ということになります。創業から数えて50年の節目が近いこのタイミングで、その数字をいったん戻す。値上げと同時に走らせる改定をどう見せるか、相当考えた結果に見えます。