ミルメーク、名古屋発祥なのに名古屋の給食では出なかった→“牛乳の大量廃棄”を機に解禁された話
給食でおなじみの「ミルメーク」。牛乳に溶かすと、コーヒー牛乳やいちごミルクのような味に変わる、あの粉末(や液体)です。世代や地域によっては「懐かしい!」と声が出る、思い出の味かもしれません。ところが、その発祥の地をめぐる意外な事実が注目を集めました。
「名古屋発祥なのに、名古屋市民だけが知らない給食『ミルメーク』」。そう、ミルメークを製造するのは、名古屋市守山区にある大島食品工業。1967年の誕生以来、全国の小学校などの給食に広まっていきました。にもかかわらず、地元・名古屋市の給食では、長く提供されてこなかったのです。
「牛乳は白いまま飲むもの」
なぜ、お膝元で出なかったのか。理由は、名古屋市教育委員会の方針にありました。「牛乳は白いまま飲むもの」という考えのもと、ミルメークを採用してこなかったのです。その結果、なんと愛知県内では、名古屋市だけが唯一、給食にミルメークを出さない自治体だったといいます。地元で作られ、全国の子どもたちに親しまれているのに、肝心の地元の子は知らない。なんとも不思議な“ねじれ”が、長年続いていたわけです。
転機は「牛乳の大量廃棄」
しかし、状況は変わりました。名古屋市は2018年12月、市内全261校の公立小学校の給食で、ミルメークを試験的に提供したのです。
きっかけは、切実な数字でした。2017年度、市内の小学校では、推定で約84万本・金額にして約4300万円分もの牛乳が、飲まれずに廃棄されていたのです。「牛乳をどうにか残さず飲んでもらえないか」。その対策として白羽の矢が立ったのが、ほかでもない地元生まれのミルメークでした。半世紀をへて、ようやく“里帰り”を果たしたかたちです。
「牛乳は白いまま」という方針と、「残さず飲んでほしい」という現実。その狭間で、地元のロングセラーがついに給食デビューを果たした、ちょっといい話でした。今では名古屋の子どもたちも、あの甘い魔法の粉を楽しめるようになっています。