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筋肉がつきやすいネアンデルタール由来の遺伝子が見つかる 持っている人は東・南アジアに多く、一部集団で最大24%

2026年8月15日 ・ トレンド「ネアンデルタール 遺伝子 筋肉 成長ホルモン受容体 GHR 研究」より
ドイツ・ネアンデル谷に立つネアンデルタール人の石像
画像: ネアンデル谷のネアンデルタール人像(1928年制作/CC BY-SA 3.0 / Uniesert, via Wikimedia Commons)

同じように食べて同じように動いているのに、筋肉のつき方に差が出る。ジムに通ったことがある人なら一度は思い当たる話だと思います。その差の一部に、4万7000年前のネアンデルタール人が関わっているかもしれないという研究が出ました。

効いていたのは「ホルモンを受け取る側」

成長ホルモンという言葉は聞いたことがあると思います。体の成長や、筋肉と脂肪のバランスに関わるホルモンです。ただ今回の主役は、そのホルモンそのものではありません。ホルモンを受け取るアンテナのほう、成長ホルモン受容体(GHR)という遺伝子です。

カロリンスカ研究所のHugo Zeberg氏らのチームが調べたところ、現代人の一部が持つGHRには、ネアンデルタール人に固有の変化が2つ入った型があることが分かりました。この型を持つ細胞を培養して成長ホルモンを与えると、現生人類の型より40%多く増えました。同じ量のホルモンが来ても、受け取る側の反応が強い、という状態です。

効果は「体重プラス285g」

では実際の体つきにどう出るのか。チームは成人110万人以上と、6000人以上の子どもの記録を解析しました。

出てきた数字は、この型を持つ大人は体重が平均285g重い、というもの。しかもその増加分は、ほぼ全部が筋肉量でした。285gと聞くとがっかりするかもしれませんが、脂肪ではなく除脂肪の側だけが増えているという内訳のほうが重要です。

面白いのは、11歳以下の子どもでは差が見つからなかった点です。思春期に成長ホルモンの分泌が増えるタイミングで、受け取る側の性能差が表に出てくる、という筋書きになります。

もうひとつ、体つきとは別の場所にも痕跡がありました。この型を持つ人は歯根がやや短く、顎の形にもわずかな違いが見られたそうです。成長ホルモンは骨の成長にも関わるので、影響が顔まわりまで及んでいたことになります。

東アジアに多い、という部分

保有率が高いのは南アジアと東アジアで、地域によっては最大24%が持っています。ヨーロッパの集団ではほとんど見られません。ネアンデルタール人由来の遺伝子というと欧州のイメージが強いので、ここは意外に感じるところです。

受け継いだのは約4万7000年前とされています。人類がアフリカを出てネアンデルタール人と交わった時期にあたり、その後どの集団で広がるかは、移動先の環境や偶然に左右されました。結果として、この型はアジア側で残ったことになります。

ただし、日本人にどれくらいの割合で存在するかまでは、今回の発表では示されていません。「東アジアに多い」ところまでが今わかっている範囲です。

285gを言い訳にはできない

「筋肉がつきにくいのは遺伝のせい」と言いたくなる話ではあるのですが、数字を見ると285gです。トレーニングと食事で動く幅に比べたら、誤差に近い。研究チーム自身も「この遺伝子は体の成長や形に関わる多くの要因のひとつにすぎない」と釘を刺しています。

そもそも筋肉が自然につく上限には統計的な目安があり、そこに骨格や年齢、トレーニング歴といった個人差が乗ってきます(ナチュラルでどこまで筋肉はつく?)。ネアンデルタール由来の型は、その個人差の一項目に加わったという位置づけです。

とはいえ、4万7000年前に別の人類から受け取ったアンテナが、いまのベンチプレスの重量にちょっとだけ効いているかもしれない。そう考えると、ジムの鏡の前でだいぶ壮大な気持ちになれます。