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小島秀夫『PHYSINT』の新パートナーはXbox、SIEは6月中旬に中止を通達していた

2026年9月10日 ・ トレンド「PHYSINT 小島秀夫 SIE キャンセル 中止 Xbox コジマプロダクション OD 諜報アクション 2026」より

2026年9月10日の午前11時半すぎ、ゲーム好きのタイムラインが一気にざわついた。小島秀夫監督の新作『PHYSINT』をめぐって、PlayStation公式、XBOX公式、そして小島監督本人が、10分足らずのあいだに次々と投稿を出したからだ。

先に結論を書いておく。『PHYSINT』は中止になっていない。降りたのはSIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)側で、作品はXboxを新しいパブリッシャーとして制作が続いている。順番に追っていくと、けっこうな三か月があった。

6月中旬にSIEから届いていたのは、プロジェクトをキャンセルするという通達

小島監督本人のポストが、この日いちばん情報量が多かった。投稿は9月10日の午前11時38分。書かれていたのは、こういう経緯だ。

「先ほどコジプロの公式からリリースがありましたが、今年の6月中旬に、”制作中の「PHYSINT」のプロジェクトをキャンセルする”という通達が、突然、SIEより届きました。」

つまり3か月前の6月中旬に、SIEからキャンセルの通達が来ていた。発表があったのは9月10日なので、この話は夏のあいだずっと表に出ていなかったことになる。理由については、本人のポストにも公式リリースにも書かれていない。

このポストは9月10日13時半の時点でいいね2万2000件超、返信320件まで伸びていた。

3か月かけて探した新しいパートナーが、ふたたびXboxだった

続きが本題だ。小島監督はこう書いている。

「僕にとっても、コジプロにとっても、「PHYSINT」は、大切なプロジェクトであり、なんとしても継続するため、”新しいパートナー”を、この3ヶ月間ずっと模索してきました。多方面の人たちに意見を聞きながら、交渉を進めてきた中で、”未来のビジョン”を互いに共有できる相手として、XBOXと再びタッグを組むことになりました。」

締めは「次世代の“諜報アクション”である「PHYSINT」は、制作を継続していますので、心配しないでください。」。心配しないでくださいと本人が書くくらいなので、発表の並び方だけ見て中止だと思った人もいたのだろう。

コジマプロダクションの公式リリースにも同じ内容が載っている。「2026年9月10日(木)、コジマプロダクションはXBOXとの連携を拡大しました。私たちはアーシャ・シャルマ CEOとクリエイティブビジョンを共有し、今後『OD』の枠を超え、新世代の”アクション・エスピオナージ・ゲーム” 『PHYSINT』の実現に向け、引き続き尽力して参ります。」という書き方で、英語版のページは見出しがそのまま “XBOX CONFIRMED AS NEW PARTNER FOR PHYSINT” になっている。

Xbox側の発表記事(Xbox Wire、米国時間9月9日付)には、XBOX CEOのアーシャ・シャルマのコメントが載っている。“Creators have choices about where and how they bring their ideas to life. We’re honored that Kojima-san has chosen XBOX to work with KOJIMA PRODUCTIONS on PHYSINT.” で、作り手には場所と方法を選ぶ自由があるという言い方をしている。小島監督のコメントも併記されていて、“This expands our relationship with XBOX beyond OD.” と、『OD』の先へ関係が広がったという位置づけだ。

SIE側も同じ日に声明を出していて、難しい決断だったと説明している

ここが今回おもしろいところで、PlayStation公式アカウントも同じ日の午前11時30分に声明を投稿している。小島監督のポストより8分早い。

原文は “An update from PlayStation Studios: After careful consideration, we have made the difficult decision to step away from collaborating with KOJIMA PRODUCTIONS on its project PHYSINT. We continue to have great admiration for Hideo Kojima’s vision for the game.” から始まる。慎重に検討した結果、『PHYSINT』でのコジマプロダクションとの協業から手を引くという難しい決断を下した、という説明だ。

2段落目では30年にわたる協力関係に触れていて、“Our relationship remains strong after three decades of industry-leading, genre-defining creative cooperation, and we look forward to continued close collaboration with Hideo Kojima and his award-winning independent studio in the future.” と書いている。関係は今も強固で、今後も緊密な協業を続けることを楽しみにしている、という締め方になっている。

この投稿は表示590万件、いいね2.6万、返信8,039件まで伸びた。なぜキャンセルしたのかという具体的な理由は、この声明にも書かれていない。

そもそも『PHYSINT』はPlayStationの番組で発表された新作だった

時計を2年7か月ぶん戻す。『PHYSINT』が世に出たのは2024年2月1日、SIEの配信番組「State of Play」の中だった(ファミ通)。小島監督にとってコジプロ設立後3つ目の完全新規IPで、ジャンルは「アクション・エスピオナージ(諜報)」。本格的な開発は『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』の後に始まると当時説明されていた。

この初出のときには、映画会社コロンビア・ピクチャーズとタッグを組むことも同時に明かされていた。ここがちょっと引っかかるところで、コロンビア・ピクチャーズはソニーグループ傘下の会社だ。Game*Sparkも「当初の発表ではソニーグループ傘下であるコロンビア・ピクチャーズとタッグを組むことも明かされていましたが、今後の制作体制の変化にも注目が集まります。」と書いている。この点について9月10日の3者の発表には一言も触れられていない。

その後いちばん大きな動きがあったのは2025年9月、コジプロ10周年イベント「Beyond The Strand」でのキャスト発表だ。Game*Sparkの記事によると、公開されたのは「マッドマックス フュリオサ」のチャーリー・フレイザー、「新感染 ファイナル・エクスプレス」や『DEATH STRANDING 2』でも知られるマ・ドンソク、そして浜辺美波の3人。ポスターアートに映っている主人公はキャスティング済みだが、そこだけ伏せられた。

つまりPlayStationの看板番組でお披露目され、キャストまで出そろっていた新作が、パブリッシャーを入れ替えて作り続けられることになった。発表の場所と、これから出る場所が食い違う形になる。

プラットフォームの都合で行き先が変わる話は最近も書いていて、『ハロウィン ザ・ゲーム』はPS5版だけ日本で発売中止になり、Xbox・PC版は予定どおり出た。あちらは理由がCEROのレーティングだと明示されていたぶん、今回のほうが読めない。

これで小島作品は『OD』と『PHYSINT』の2本ともXboxと組むことになった

もう1本の新作『OD』のことを思い出すと、今回の並びが見えてくる。『OD』は2023年12月のThe Game Awards 2023で発表された、コジマプロダクションとXbox Game Studiosの共同開発ホラーで、映画監督のジョーダン・ピールが制作に参加している(4Gamer)。

だから『PHYSINT』が加わった結果、コジプロが現在進めているゲーム2本は、どちらもXboxと組む形になった。XBOX公式アカウントの投稿も、そこをそのまま言っている。

“We started with OD. Now, our partnership with KOJIMA PRODUCTIONS is expanding to PHYSINT. We’re just getting started.” という3行で、いいねは4万5000件を超えた。

Xbox Wireにはもう一段書いてあって、この提携はゲームの外にも広がる予定だという。“In addition to OD and PHYSINT, this relationship will also extend beyond games, with XBOX and KOJIMA PRODUCTIONS collaborating across film and television to bring new stories to broader audiences.” で、映画とテレビでも協業して、より幅広い層に新しい物語を届けるという書き方になっている。具体的な時期や作品名は出ていない。

ちなみにコジプロが8月31日に出した設立10周年展のプレスリリースでは、『DEATH STRANDING』シリーズの全世界累計プレイヤー数が2700万人を突破したと書かれている(PR TIMES)。そのシリーズを一緒に育てた相手と、新作では別のパートナーと組む、という絵になった。

反応でいちばん多かったのは、PS5で遊べるのかという疑問

発表直後のXで目立ったのは、プラットフォームの話だった。「まてよ、つまりODもPHYSINTもPS5では出ない可能性があるのか……?」という書き込みがあり、「Physintの話びっくりした!悲しい!」と騒いでいたら友人に「PCでできるから良いんじゃない?」と返され、「コンソールの壁無しゲーマー冷静すぎて笑ってしまった」という報告もあった。念のため書いておくと、対応機種については3者のどの発表にも一言も出ていない。PS5版が出るとも出ないとも、まだ誰も言っていない。

通達のしかたに反応した人もいる。「突然プロジェクトを打ち切り通達はいくらなんでもプロとして礼儀に欠けるのでは…」という声や、「今回のSIEの判断は失敗してると思う。」という声が並んだ。一方で「拾ってくれたxboxには感謝なんだけど」と書いたうえで「ODとPHYSINT2つ抱えて大丈夫?」と心配する人もいて、受け皿が1社に寄ったことへのざわつきも出ていた。

おもしろかったのが「ここでコナミがPHYSINT拾ったら熱かったのだけど」という一言で、『メタルギア』のことを思い出した人もいたようだ。覚悟を決めた人もいて、「ODとPHYSINTのためにXBOX買うのは小島秀夫への信仰心が試される……買うかぁ」と書いている人もいた。

とはいえ一番シンプルな感想は、たぶんこれだった。「何はともあれプロジェクトが継続してくれる事は嬉しいね」。

発売時期も価格も対応機種も、まだ何も出ていない。わかっているのは、パブリッシャーが入れ替わって開発は続いているということだけだ。続報が来たらまた追いかける。

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