← 一覧へ エンタメ

ファンが勝手に作ったMMO「スピキ育成」に本家が“サーバー用PC”を寄贈、非公式のまま公認された

2026年8月21日 ・ トレンド「スピキ育成 公認」より

二次創作のゲームが人気になりすぎてサーバーが悲鳴を上げたとき、普通なら権利元から届くのは警告です。ところが『スピキ育成』に届いたのは、サーバー用のパソコンでした。

「チョワヨ〜」のスピキがMMOになっていた

もとになっているのは、韓国発のスマホRPG『トリッカル・もちもちほっぺ大作戦』に出てくるキャラクター「スピッキー」。その韓国語ボイス「좋아요(チョワヨ=いいね)」の響きが中毒性を持ってミーム化し、日本でも「スピキ」としてMAD動画が量産されたのは記憶に新しいところです。

そのスピキ自身になって遊べるブラウザMMORPGを、韓国の個人開発者・단특さんが8月6日に公開しました。プレイヤーは全員スピキ。フィールドの敵を倒してレベルを上げ、装備を集め、ホバギ(カボチャ)畑を耕し、時間限定の祭壇ボスにみんなで挑む。チャットとエモートもあり、日本語にも対応しています。

要するに「画面いっぱいのスピキが一斉にチョワヨと鳴きながら狩りをしている」という絵面で、これが刺さらないわけがありませんでした。

サーバーが持たなくなった

人が集まりすぎて、まず限界が来たのがサーバーです。AUTOMATONによると同時接続の上限は当初120人。それを300人×4チャンネルの計1200人まで増やしても、一時は900人前後が張り付く状態になっていました。

無料で公開している個人の二次創作ゲームにとって、サーバー代は容赦なく効いてきます。プレイヤーからも「アクティブが増えた分だけ費用がかかるわけで、公式の補助がないと破産しかねない」という心配の声が出ていました。

そこに動いたのが、原作の開発元であるEPID Gamesでした。

「モナティウムから盗んできたコンピュータ」

8月21日、단특さん本人のチャンネルに上がった動画で、サーバー用コンピュータの贈呈が明らかになりました。動画の説明文にはひとこと「에피드게임즈에서 서버 컴퓨터를 지원해주셨습니다! 사랑해요 에피드(EPID Gamesがサーバーコンピュータを支援してくれました! 愛してるよEPID)」。

贈呈式の映像がまた真面目にふざけていて、スピキのお面をかぶった開発側と、EPID Gamesの代表・한종현(ハン・ジョンヒョン)さんが、韓国語の目録プレートを並んで持っています。そこに書かれていたのが「モナティウムから盗んできたコンピュータ」。モナティウムは『トリッカル』に登場する街の名前で、つまり「作中から持ってきた設定」ということにしてある贈り物でした。

面白いのは、支援を受けたあとも作品の表記が変わっていないところです。説明文には今も「공식 아님(公式ではない)」「원저작권 에피드게임즈(原著作権はEPID Games)」と書かれたまま。非公式の自由さを保ったまま、本家からお墨付きだけもらった、という妙な立ち位置に落ち着きました。

スマホ対応で、また混んだ

同じ8月21日の16時、『スピキ育成』はiOSとAndroidのブラウザでも遊べるようになりました。当然というべきか、PCを持っていなくて指をくわえていた層が一気に流入し、「めっちゃ混雑してる」という報告がすぐ上がっています。せっかくもらったサーバーが初日から働かされている形です。

日本のXでは「スピキ育成が公認ゲームになってて草」「EPID社の行動力は凄えな」「二次創作に寛容な公式はオタク心をくすぐる」といった反応が並びました。ミームとして広がったキャラを公式が拒まず取り込んできたのがトリッカル運営のやり方で、今回のPC寄贈もその延長線上にあります。

権利元が本気でノーと言えば一瞬で消えていたはずのゲームに、権利元がパソコンを持ってくる。ここまで来ると、二次創作との付き合い方の見本のような話です。