「ギガチャド」とは?GigaChadミームの意味・元ネタと、モデルは実在するのか論争
白い背景に、あごのラインが彫刻みたいにくっきりした筋肉質の男がモノクロで写っている。海外のSNSでやたら貼られるあの一枚が 「ギガチャド(GigaChad)」 です。最上級の褒め言葉として使われる一方で、実はかなり茶化しが混ざっている。しかも長いあいだ「この人は本当に実在するのか」で議論が続いてきました。
「ギガチャド」とは?
前提として、英語のネットスラングの 「Chad(チャド)」 は、ハンサムで筋肉質、背が高くて堂々としている、いわゆるモテる男を指す言葉です。もともとはよくある男性名で、それが「そういうタイプの代表格」の呼び名として定着しました。
ギガチャドはその最上級です。ギガ(10億倍)を頭に付けて、「絶対に間違えない究極のアルファ」を体現する存在という扱い。何をやっても様になり、動揺せず、細かいことを気にしない。そういう理想像をひとつの顔写真に押し込めたのがこのミームです。
ただ、実際の使われ方は100%の称賛ではありません。むしろちょっと落ち着いた振る舞いを大げさに持ち上げるのが主流です。友達が「先に行っててよ」と言っただけで「ギガチャドかよ」と返す、みたいなノリ。本気の憧れ半分、からかい半分で成立している言葉なので、真顔で使うとかえって滑ります。
日本語圏には、意味の解説よりも画像が先に入ってきました。海外のショート動画やゲーム実況の切り抜きで「あの白黒のマッチョ」として認識され、あとから名前と意味が追いついた形です。そのぶん、日本での使われ方も「かっこいい」より「かっこよすぎて逆に笑える」寄りに振れています。
元ネタ・由来
写真そのものはネタ画像として作られたものではありません。ロシアを拠点とする写真家 Krista Sudmalis によるアートプロジェクト「Sleek’N’Tears」で撮影されたモノクロ作品で、被写体としてクレジットされているのが 「Ernest Khalimov(アーネスト・カリモフ)」 名義の人物です。もとは作品集の一枚だったわけです。
写真は2016年10月ごろにはプロジェクトのFacebookページに上がっていたとされ、転機になったのが2017年10月15日。Reddit のボディビル系コミュニティにアカウントが紹介され、495ポイント超・支持率92%を集めてまとまった数の人の目に触れました。翌16日には匿名掲示板の4chanに写真が投稿され、そこで Gigachad と呼ばれたのが名前の始まり とされています(Know Your Meme もこの語の発祥を4chanとしている)。名前が付いてしまえば早く、2018年に入るとRedditへの投稿が続き、コラ画像が量産されていきました。
さらに広げたのが、2021年2月7日に投稿された 「Average Fan vs. Average Enjoyer」 という比較テンプレです。何かを「ちょっと好きなだけの人」と「本気で楽しんでいる人」を左右に並べ、後者の側にギガチャドの写真を置く。作者は Socialism Done Left というクリエイターで、この動画が1か月でYouTube19万再生超・Twitter13.4万再生を記録しました。対象を差し替えるだけで無限に作れることから、一気に定番化します。
流行った理由は、だいたい3つに整理できます。まず「Chad」という既存スラングに最上級が用意されていなかったところへ、語としてきれいにハマったこと。次に白黒で彫刻っぽい写真が、話題を選ばず何にでも貼れる万能素材だったこと。そして比較テンプレという拡散しやすい形に乗ったことです。画像が先にあって言葉が後から来た、という順序も日本での広まり方に効いています。
「Chad」という語そのものの背景を英語で追うなら、Wikipedia の Chad (slang) が経緯をまとめています。
使い方・例文
日本語では「ギガチャド」「ギガチャドすぎる」の形で、名詞としても形容としても使われます。褒めているようで少しふざけている、という温度感が基本です。
- 「並んでたラーメン、後ろの人に順番譲ってた。ギガチャドかよ」
- 「筋トレ3年続けてる先輩、見た目がもうギガチャド」
- 「Average ファン vs Average 勢、の勢の側で草」
注意したいのは、これが見た目をネタにする言葉だという点です。持ち上げる側に使うぶんには軽口で済みますが、比較テンプレはもう片方を貶す形になりやすい。身内のノリの外で使うと、単なる外見いじりに見えます。
関連する言葉
同じ「かっこよさを茶化す」系統では シグマ がいちばん近い並びです。群れずに我が道を行くタイプを指す言葉で、ギガチャドとセットで使われることも多い。モテる魅力そのものを指す リズ や、信念を貫く姿勢をたたえる based も、褒め言葉として同じ棚に置かれます。逆に、頑張っていないフリでかっこよさを稼ぐ オーラファーミング は、ギガチャドが体現している「涼しい顔」の部分だけを取り出した言葉と言えます。
見た目を磨く行為そのものを指す ルックスマクシング や、その代表格として広まった ミューイング は、ギガチャドの顎ラインに憧れる文脈でよく一緒に出てきます。
現実側の話をすると、ボディビルの世界では横川尚隆選手がプロデビュー戦でいきなり優勝し、ミスター・オリンピアへの出場権を取っています。ネタ画像の完璧な体は加工疑惑が晴れないままですが、こちらは疑いようがありません。ついでに言うと、筋肉がつきやすいネアンデルタール由来の遺伝子が見つかったという研究もあって、生まれつきの差が実在するのは確からしい。ギガチャドになれるかどうかは、また別の話ですが。