「絶叫するビーバー」の元ネタ、正体はマーモットで叫び声は人間の声
雪山を背にした柵の上で、茶色い動物が後ろ足で立ち上がり、口を開けて「あああああ!」と叫ぶ。TikTokやショートで一度は見たことがあるはずの「絶叫するビーバー」です。
ただ、この動物はビーバーではありません。そしてあの叫び声も、本人の声ではありません。
「絶叫するビーバー」とは?
大自然の中で動物が人間そっくりの声で絶叫する、短い動画素材のことです。英語圏では「Screaming Marmot(叫ぶマーモット)」と呼ばれています。
使われ方はリアクション素材がほとんどです。理不尽な目にあった瞬間や、テンションが振り切れた場面に差し込んで「叫びたい気持ち」を代わりにやってもらいます。GIFや音声だけの素材としても出回っていて、「絶叫するビーバー 素材」で探す人がかなりいます。
元ネタ・由来
元の動画は、2015年7月14日にInstagramへ投稿されたものです。投稿したのはカナダの石けん屋さん Lone Goat Soap Co.(@lonegoatsoap)。場所はブリティッシュコロンビア州ウィスラーのブラッコム山で、柵の上に立つマーモットを撮っています。
同じ投稿者が7月25日にYouTubeへ上げたのが下の動画です。Know Your Memeによると4か月で130万再生に達し、2026年9月時点では1,000万再生を超えています。
聞いてみると分かるとおり、元の声は「ピーッ」という甲高い音です。人間の絶叫とはまったく違います。
叫び声は後から差し替えられた
ミームになったのは、この鳴き声を男性の絶叫に差し替えた版のほうでした。2015年8月10日に、元の投稿者とは別の人がYouTubeに上げたものです(Know Your Memeによると投稿者は tooloudchannel)。これが「Screaming Marmot」として2015年から2016年にかけて広まりました。
そこからVineやYouTubeでリミックスが量産されます。2015年10月15日には、Death Gripsの曲「Guillotine」に合わせた版も出ています。
tooloudchannel の元動画はいま見つからず、削除された可能性があります。
「誰の声?」の答え
検索候補に出てくる「絶叫するビーバー 誰の声」ですが、差し替えに使われた男性の声の主は、Know Your Memeにもニコニコ大百科にも書かれていません。確定的な記録は残っていない、というのが今のところの答えです。
少なくとも、マーモットの声でないことだけは確かです。
なぜ「ビーバー」になったのか
日本での呼び名が「ビーバー」になったのは、ニコニコ動画に転載された差し替え版の多くで「ビーバー」とされていたからです(ニコニコ大百科)。なぜビーバーになったのかは、大百科にも「なぜか」としか書かれていません。
マーモットはリス科、ビーバーはビーバー科で、実は別の動物です。
マーモットの本当の鳴き声
マーモットは危険を感じると、仲間に知らせるために高い声で鳴きます。元動画の「ピーッ」がその警戒音です。
おもしろいのは、撮影地のウィスラーという地名そのものがこの声から来ていることです。カナディアン百科事典などによると、この一帯に住むマーモットの鋭い警戒音が「whistle(口笛)」のように聞こえることから、1960年代に Whistler という名前が正式になりました。先住民スコーミッシュの言葉での山の名前(Sk̲wik̲w)も「マーモット」を意味するそうです。
「マーモット 叫び声 本物」で調べる人がいるのも納得で、本物はむしろ口笛に近い音です。
日本のCMにもなった
ニコニコ大百科によると、2020年には日清焼そばU.F.O.「濃い濃いラー油マヨ」のCMの一部にもこの映像が使われたそうです。
2026年2月2日には、大阪ガス(Daigasグループ)がインターネットサービス「さすガねっと」の関西ローカルのテレビCM「マーモットの叫び」篇を始めました。映像はあの柵の上のマーモットで、叫び声の部分を宣伝のフレーズに差し替えた作りです。
2月16日には続編のWeb動画「クイズ」篇も公開されています。ミームを知っている人には「あのビーバーだ」と一発で分かる作りですが、ニコニコ大百科によると反応は賛否両論で、冷ややかな声も少なくなかったようです。
使い方・例文
叫びたい瞬間に、自分の代わりに叫んでもらう使い方が基本です。
- 「月曜の朝6時のアラーム、脳内で絶叫するビーバー」
- 「バイト代の明細見た瞬間の顔、完全に絶叫するビーバー」
- 「推しの新規ビジュ解禁で絶叫するビーバーになってた」
動画編集では、オチの直前に1秒だけ差し込む使い方が定番です。音声素材だけを借りて、別の動物や人物の映像に乗せることもよくあります。
関連する言葉
鳴いているだけの動物に、あとから別の声が乗って広まった点でははぁ猫とまったく同じ生まれ方です。叫び声そのものが素材として一人歩きしたものならfahhhが近く、海外の動物映像がそのまま日本のタイムラインに流れ着いた例としてはニヒリストペンギンもあります。