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友達の結婚・出産・昇進に針金で作ったネズミで対抗、「ハリガネズミ」が12万いいねで売り物になった

2026年8月16日 ・ トレンド「ハリガネズミ 針金 ネズミ ワイヤーアート ハリガネムシ」より

8月15日の夜、Xにこんな投稿が流れてきた。友達から次々に届く人生の報告が3行並んだあと、4行目で自分の番が来て、出てきたのが針金でできたネズミ1匹。写真は1枚だけで、そこに銀色のネズミが写っている。

針金だけで組まれた、まるっこいネズミ

写真をよく見ると、接着剤も溶接跡も見当たらない。細い針金を輪にしたものを何本も重ねて胴体の丸みを作り、交差するところで別の針金をぐるぐる巻きつけて固定してある。耳は大きめの輪が2つ。しっぽは1本の線が上に伸びて、先端でくるんと渦を巻いている。

線と線のすき間が多いので、骨組みだけなのに中身が詰まって見えるのが不思議なところだ。写真は暗めの木目の上で撮られていて、天板に反射してネズミがもう1匹いるように写っている。

元祖はもう手元にない

投稿は一晩で10万いいねを超えた。本人も「寝てる間に10万突破してて流石に笑う」と書いている。

翌16日、続きが出た。バズった写真のネズミは人にあげてしまっていて、手元に残っているのはプロトタイプが3匹だという。

3匹並ぶと個体差がわかる。胴の巻き数も、耳の大きさも、しっぽのカーブの角度も少しずつ違う。同じ型で抜いたものではなく、1匹ずつ手で曲げていることが見てとれる。

ハリガネムシとは何の関係もない

「ハリガネズミ」という響きでハリガネムシを思い出した人もいたようだが、こちらは針金のネズミで、あちらは実在の寄生虫だ。ついでなので触れておくと、ハリガネムシはカマキリやカマドウマの体内で育ち、最後に宿主を水へ向かわせることで知られている。

神戸大学などの研究チームは2021年、寄生された宿主が水面の反射に多く含まれる水平偏光に引き寄せられて入水することを報告した(神戸大学のニュースリリース)。しかもこれは虫だけの話では終わらない。川に落ちた宿主は渓流にすむイワナやヤマメの重要な餌になっていて、これらの魚が1年間に得るエネルギーの約6割を、秋の数か月に飛び込んでくる寄生された虫が占めていたという調査もある。字面が似ているだけで、生態系まで動かしているほうと、机の上で丸くなっているほうの差が激しい。

買いたいという声が来て、そのまま販売へ

反応で目立ったのは、報告合戦のほうではなくネズミを褒める声だった。「上の三つよりハリガネズミの価値の方が遥かに高いのがツイッター」「ポケモンに居そう」「ハリガネズミかっこいいぞ」といったリプが並び、作った本人よりネズミのほうが主役になっている。

そして買いたいというリプが複数届いたことから、本人はワイヤー作品の販売を始めたことを告知した。16日にはハリガネズミもメルカリに出品されていて、送料の都合で1匹だと割高になるため2匹セットでの販売になるという説明が付いていた。

なお、この上3行を並べて4行目で自分の近況を出す形は、この投稿より前からXにあるテンプレで、8月に入ってからも11日や13日に同じ型の投稿が流れている。この投稿が伸びたあと、その勢いはさらに増した。18日には沢で拾った石炭を4行目に置いた投稿が8万いいねを超えていて、いまでは型のほうが友達「結婚しました」構文として量産されている。

投稿から1日で、針金のネズミに値段が付いた。人生の報告合戦への返しとしては、なかなかの逆転だと思う。