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神奈川県民の通勤は生涯で約8.3年分、最短の山形・宮崎とは1.8倍差、学研グループが試算

2026年9月5日 ・ トレンド「神奈川県 通勤時間 生涯 8.3年分 都道府県 ランキング 山形 宮崎 社会生活基本調査 通勤時間の生涯コスト 2026」より

9月5日の朝、Yahoo!ニュースのトピックスに神奈川県民の生涯通勤が労働8年分にあたるという見出しが並びました。Xでもすぐ広まって、自分の通勤時間を電卓に打ち込む人が出てきています。

元になっているのは、学研ホールディングスのグループ会社である株式会社ベンドが運営するWEBメディア「スキルアップ研究所」の試算レポートです。レポート本体は7月16日公開で、7月30日にプレスリリースが出ています。見出しは「通勤だけで年間51営業日、生涯では約8.3年分」。数字の出どころは総務省統計局の令和3年社会生活基本調査で、勝手なアンケートではなく公的統計がベースです。

神奈川は1日100分で全国最長、山形と宮崎は56分

プレスリリースの見出しがそのまま結論になっていて、「通勤時間は住む場所で約1.8倍の差がある」。

平日に通勤または通学をした人の時間は、全国平均で1日79分です。都道府県別で一番長いのが神奈川県の100分。次が千葉県と東京都の95分、埼玉県が94分と、上位を首都圏の1都3県が独占しています。逆に一番短いのが山形県と宮崎県の56分で、神奈川と比べると約1.8倍の開きになります。

1日あたり44分の差というと小さく見えますが、これが毎日積み上がるところがこの試算の肝です。

年間408時間は、8時間労働の51日分

神奈川県の100分に、年間出社245日を掛けます。すると年間約408時間。これを1日8時間の労働日に置き換えると約51日分です。1か月の労働日を20日とすれば、だいたい2か月半にあたります。

全国平均でも年間約323時間で、約40.3日分。首都圏に住んでいるかどうかに関係なく、1年のうち1か月半から2か月半ぶんの労働日に相当する時間を移動に使っている計算になります。

ちなみに年間245日というのは、365日から年間休日120日を引いた数字です。有給も在宅勤務も引いていないので、実際にフル出社している人の上限に近い前提だと思っておくといいです。

40年で約16,300時間、働いた時間の2割が移動

25歳から65歳まで40年間このペースだと、神奈川県の生涯通勤時間は約16,300時間になります。8時間労働の日数にすると約2,042日、労働年に直すと約8.3年分です。全国平均でも約12,900時間で、約6.6労働年分。

もう一段わかりやすいのが、労働時間との比率です。同じ前提で40年ぶんの総労働時間を出すと、245日×8時間×40年で78,400時間。神奈川の約16,300時間はこの20.8%にあたります。全国平均でも16.5%。働いた時間の2割前後を、働いていない移動が別枠で持っていくわけです。

なおこの比率は通勤時間を労働時間で割っただけの数字で、通勤が労働時間に含まれるという意味ではありません。レポートにもわざわざ注記が入っています。

片道50分という数字は、実は割り算で出している

数字が独り歩きしやすいところなので、前提も書いておきます。

まず元データは通勤時間ではなく「通勤・通学時間」で、通学者も混ざっています。レポートはこれを会社員の通勤時間の参考値として使うと明記したうえで試算しています。そして片道50分という値も、総務省が発表した片道平均ではなく、1日100分を単純に2で割った参考値です。

さらに在宅勤務、有給休暇、転職、転居、休業も考慮されていません。だから「神奈川県民は全員8.3年ぶん通勤する」という話ではなく、平均値に一定の条件を掛けたらこの規模になるという可視化です。レポート自身が概算値だと言っているので、そこは素直に受け取っておくのが良さそうです。

なおリリースには「バーチャルオフィス『MetaLife』が通勤ゼロの働き方を提案」というサブタイトルが付いていて、後半はそのサービスの紹介になっています。数字そのものは公的統計をもとにした試算ですが、発表の文脈もセットで見ておくといいです。

それでも数字の桁は変わりません。週1で在宅にして出社を8割に落としても、生涯で約6.7年分は残ります。

自分の数字を当てはめる人が並んだ

Xの反応は、批判よりも「うちは何分だ」の答え合わせに寄っていました。徒歩や自転車で往復数分という人が今の環境のありがたさを書いていたり、過去に片道100分を経験した人が当時の生活を振り返っていたり。都内で家賃を上げて職場に近づけるか、郊外で広い部屋に住んで移動時間を払うかという、そもそもの選択の話にも広がっています。

どっちが得かは通勤時間の使い方でも変わります。レポートがこの試算をやった動機は、リスキリングを扱うメディアらしく可処分時間の話でした。学び直しが進まない理由として学習時間を確保できないことが挙がってきた、年間40〜51日ぶんが通勤に消えているならそこは無視できない、という筋道です。ただし同じ節で、通勤中に読書や学習をすることもできるので通勤時間のすべてが直ちに不利益になるとは限らない、とも書いています。座れる路線かどうかで体感がまるで違う、という話でもあります。移動時間を削るのが正解という結論に、レポート自体は踏み込んでいません。

通勤まわりの数字が気になる人は、タイパという言葉が定着した背景としても読めます。エスカレーターの立ち位置ひとつでざわつく長崎の片側空けをしない案内みたいな話も、突き詰めればこの毎日100分の中の出来事です。連休明けに打首獄門同好会が投下する「はたらきたくない」が毎回伸びるのも、たぶん半分くらいは通勤のせいだと思います。

自分の1日の通勤時間に245を掛けて、さらに40を掛けて、8で割ってみてください。だいたいの労働年が出ます。出た数字を見て引っ越しを考えるかどうかは、まあ、人それぞれで。

出典: 通勤時間の生涯コストに関する試算レポートスキルアップ研究所調べ) / 学研ホールディングスのプレスリリース / Business Insider Japan

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