カネテツの「ほぼタコ」はタコどころか魚も入っていない、主原料は食物繊維
「ほぼカニ」でおなじみのカネテツデリカフーズが、8月17日に「ほぼタコ®」を発表しました。タコを使わずにタコの食感と見た目を再現した業務用の冷凍食品です。
公式アカウントの告知はひとこと。長い説明はなくてもだいたい伝わる、というのがこのシリーズの強さでもあります。
「ほぼカニ」とは作りがまるで違う
ここがいちばんの見どころです。ほぼシリーズはもともと魚のすり身から作る練り製品で、ほぼカニもほぼホタテも土台は魚でした。ところがほぼタコは、商品ページの原材料表示を見ると先頭が「食物繊維(ポーランド製造)」。以下、食塩、酒、増粘多糖類、pH調整剤、調味料、L-アルギニン、加工でん粉、着色料(クチナシ、カロチノイド)と続いて、動物性の原料が一つも出てきません。
タコが入っていないのは名前から想像がつくとして、魚まで入っていないのは想像の外だと思います。あのむっちりした噛みごたえを、増粘多糖類とでん粉の配合だけで作っているわけです。色も、クチナシとカロチノイドという植物由来の色素であの赤紫っぽい皮の感じを出しています。
栄養成分は100gあたり78kcal、たんぱく質4.9g、脂質0.2g、炭水化物14.1g。脂質がほぼゼロなのは、原料に油を持つ素材がいないからです。カネテツはプレスリリースで、創業100年の練り製品メーカーとして培った加工技術で食感を再現したと説明しています。
明石のタコが10年で5分の1になっている
なぜタコなのか、という話のほうが実は重たいです。プレスリリースによると、兵庫県明石市など主要産地の漁獲量は過去10年で約5分の1まで減少。卸売価格は1kgあたり3,000円前後で推移していて、業界内では「本マグロに迫る」と言われる水準になっています。
たこ焼きが値上がりしている、中のタコが小さくなった、という体感の裏側にはこの数字があります。タコは日本国内だけの話でもなく、モロッコやモーリタニアからの輸入に頼る部分も大きい食材で、海外の相場や為替の影響もそのまま乗ってきます。
その状況で出てきたのが、通年で価格が読めて、冷凍で1年6か月もつ「ほぼタコ」です。用途としてカネテツが挙げているのはたこ焼きのほか、チャーハン、唐揚げ。飲食店や惣菜、冷凍食品向けということで、まずは家庭の食卓ではなくお店の皿に登場する順番になります。
「一般販売して」と「本物が食べたい」で割れている
反応で圧倒的に多いのは、業務用だけなのか、というものでした。「いずれ一般用も販売するのかな、絶対買う」「一般販売してほしい」「関西のスーパー行ってくる」と、店頭に並ぶ前提で話が進んでいる人がかなりいます。現時点で家庭用の発売時期は発表されていません。
大阪の人からは「これで『ほぼタコ焼き』が主流になりそう」という軽口も出ていました。一方で「小さいタコに文句を付けながら食べるくらいなら、ほぼタコで6個100円の時代に戻ってくれてもいい」という割り切った意見もあれば、たこ焼きは本物のタコで食べたいという声もあって、そこは静かに割れています。
食べたことのない商品なので味の評価はまだ誰にもできませんが、ほぼカニが2020年の「芸能人格付けチェック」で最高級のカニと取り違えられ、誤答者が続出したという前科を知っている人ほど、期待値が上がっているようです。
ほぼタコは8月19日から21日まで東京ビッグサイトで開かれている第28回ジャパンインターナショナルシーフードショーで展示されています。しばらくは、たこ焼き屋や居酒屋のメニューのどこかで、気づかないうちに出会うことになるかもしれません。