パインアメと西武・栗山巧のコラボグッズが発売、15年前の「穴の開いた飴」から始まった縁
飴のメーカーが、ひとりの野球選手を15年ほど追いかけ続けた話です。8月24日、埼玉西武ライオンズの栗山巧選手とパインアメのコラボグッズが、球団オンラインストアで先行販売されました。今シーズン限りで引退する選手への、たぶん一番ねばり強かった贈り物です。
パッケージのロゴが「クリヤマタクミ パインアメ」になっている
商品画像を見ると、あの黄色い袋の赤いロゴがそのまま「クリヤマタクミ パインアメ」に置き換わっています。「甘酸っぱくてジューシー」のコピーはそのまま、下には「PR1DE」「KURIYAMA TAKUMI」「2026 FINAL SEASON」「THANK YOU FANS!!」。PRIDE の I が 1 になっているのは、栗山選手の背番号が1だからです。
ラインナップはパインアメ本体のほか、フェイスタオル、トートバッグ、巾着、キーホルダー。タオルにもパイナップル柄の上にでかでかと「クリヤマタクミ パインアメ」が乗っていて、球場で掲げる前提の潔さです。
発端は2010年、「穴の開いたパイナップル味の飴」
パイン株式会社が公式サイトに、この縁のいきさつを残しています。
同社がTwitterアカウントを開設したのが2010年8月。その2か月後、2010年11月の「LIONS THANKS FESTA 2010」で、栗山選手はファンからの「いつも食べている飴は何ですか?」という質問に「穴の開いたパイナップル味の飴」と答えました。商品名は出していません。それを球団公式のツイートで知った同社の中の人が、勝手に嬉しくなってパインアメの詰め合わせを送ったのが始まりです。
翌12月には栗山選手のサインが会社に届きました。同社にとって、Twitterで交流した著名人は栗山選手が第1号だったそうです。
そこから先は、本人が取材のたびに「パインアメが好き」と答え、会社が何度も飴を送る、という往復が10年以上続きます。同社の表現を借りると「細く長く」の交流です。
2000安打のときは「パインアメーター」を手作りしていた
いちばん形になったのが2021年でした。栗山選手が通算2000安打に近づいた8月、同社は残り本数を表示する手作りカウンターを作ってXに投稿しています。名前は「パインアメーター」。1994本目のときの投稿には「2◎◎◎安打まであと6本!」と書かれていて、パインアメの穴を0に見立てた表記になっていました。
9月4日に2000安打を達成すると、9月7日のメットライフドームでの試合で2000安打記念のパインアメが来場者全員に配布されます。さらに9月10日には、栗山選手本人に2000粒のパインアメを届けました。「2000個ですか…こんなにいただいてしまって良いんですか?」とニコニコしていた、と同社は書いています。
そして2026年、引退シーズン。ついにパッケージそのものが選手仕様になりました。
反応と、買うときの注意点
Xでは、球場で長くファンをやっている人たちの声が目立ちました。「今でこそハッピーターン配りおじさんしてるけど、その昔はパインアメ配ってました」「引退試合の日だけはまたパインアメ配ろうと思ってたら、さすがに球団も考えることは同じか」という投稿には、ファンのほうも同じ発想に至っていたことがにじんでいます。
一方で「栗様パインアメ10袋か」「球場でバラ売りはないのかなー」という戸惑いも出ていました。飴は10袋入り1ケース6,000円(税込)での販売で、1袋単位の設定がありません。配って回るぶんには申し分ないですが、自分用に1袋だけ、という買い方は今のところできない形です。
発表から数時間で巾着は在庫切れ、キーホルダーも残りわずかの表示に変わっていました。
引退試合は8月30日、ドームが背番号1に染まる
栗山選手は2002年に西武へ入団し、以来25年間ライオンズ一筋。2021年にプロ野球史上54人目の通算2000安打を達成し、球団生え抜きでは歴代最多となる安打数を積み上げてきました。NPB公式サイトに載る通算成績は2,151安打、2,322試合出場です。
引退試合は8月30日(日)のベルーナドーム、東北楽天ゴールデンイーグルス戦。試合後に引退セレモニーが行われ、当日は監督・コーチから1軍〜3軍の全選手までが、背番号1をあしらった限定の「PR1DEユニホーム」を着て試合に臨みます。NPBでは珍しい8月開催の引退試合です。
15年前、飴の名前を言わずに「穴の開いたパイナップル味の飴」と答えた選手と、それを見つけて飴を送った会社。最後の1週間に、袋のロゴが選手の名前になりました。当日のスタンドにあの黄色い袋がどれだけ並ぶのか、そこも見どころになりそうです。