「東海オンエア」の岡崎市への経済効果は10年で369.1億円
地元のYouTuberが街にどれくらい金を落としているのか、それを市が本気で計算した結果が出た。2026年9月17日の昼、UUUMが愛知県岡崎市との共同調査として発表した数字がこれだ。東海オンエアが岡崎市にもたらした経済波及効果は、2016年から2025年までの10年間で369.1億円。
369.1億円と言われてもスケールがつかみにくいので先に割っておくと、1年あたりおよそ36.9億円。1日あたりに直すと約1,000万円ずつ岡崎に落ちていた計算になる。
計算したのはJTB総合研究所
調査はUUUMと岡崎市の共同で、金額をはじいたのは株式会社JTB総合研究所。UUUMのプレスリリースには、算出方法はアンケート調査と岡崎市の統計データによる推計だと書かれている。YouTuber本人の申告でも、ファンの体感でもない。
対象になっている10年は、東海オンエアが初代の「岡崎観光伝道師」に任命された2016年が起点。グループ自体は2013年結成の6人組で、伝道師になってからは謎解きの周遊企画やマンホール巡りといった市との共同施策もやってきた。10年やって、ようやく総額が出たという流れになる。
369.1億円の内訳、95%はファンが岡崎で使った金
おもしろいのは総額よりも内訳のほうだ。
3つ足すとぴったり369.1億円になるが、比率で見ると市内観光消費の351.4億円が95.2%を持っていっている。グッズもふるさと納税も、合わせて17.7億円で全体の5%に届かない。
つまりこの数字の正体は、グッズがめちゃくちゃ売れた話ではない。ファンが実際に岡崎まで足を運んで、交通費と飯代と土産代と宿代を現地で落とした結果が9割超を占めている。動画に映った店や川や橋を見に行く聖地巡礼が、そのまま自治体の統計に乗るところまで積み上がったということだ。
グッズのほうも13.8億円で、ふるさと納税の3.5倍ある。関連商品はすでに中古市場にも回っていて、ブックオフに東海オンエアのコーナーができていたという報告をてつや本人が出したのは、この発表のわずか10日前だった。
土台になったアンケートは回答35,744人
推計の根拠になったアンケートは2種類ある。
ファン向けのほうは東海オンエア公式Xで実施されたもので、期間は2026年5月11日から5月29日、サンプル数はn=35,744。一方の一般生活者調査は、過去10年以内に岡崎市への旅行経験がある人が対象で、事前調査10,000人から本調査200人を抽出している(2026年4月3日〜7日)。
ファン側だけ桁が2つ違う。本調査の200人に対して178倍だ。ふつう観光の実態調査で3万人以上に直接答えてもらうのは骨が折れるはずで、そこを公式アカウントに1本投げるだけで集められるのがYouTuberの強みということになる。調査の母数まで含めて「東海オンエアだからできた調査」になっているのが、この発表のもう一段おもしろいところだと思う。
市長「移住や就職する若者まで現れる」
岡崎市の内田康宏市長のコメントも出ている。
「多くのファンが聖地巡礼で本市に訪れ、移住や就職する若者まで現れるなど、369.1億円という数字を見ても決して驚かないほど、本市への貢献度は素晴らしいものです」
369.1億円を見せられて「驚かない」と言い切っているのが強い。市長いわく、皆様の岡崎市を拠点とした活動はまちの景色を大きく変えてくれた、とのこと。観光客として来た人がそのまま住民や働き手になっているなら、369.1億円のほうがむしろ控えめな数字かもしれない。
岡崎市の観光公式も「衝撃の数値」
発表から39分後、岡崎市の観光公式アカウント「岡崎おでかけナビ」も反応していた。
「結果は10年間で369.1億円!」「衝撃の数値…」と、市の側もわりと素直に驚いている。
当の東海オンエアからは、リーダーのてつやがコメントを寄せている。
「この10年間、みなさんがたくさん岡崎に遊びに来てくれたおかげで生まれた経済波及効果は、なんと369.1億円!」
「つまりこれは、すごくすごい数字です!」
369.1億円を前にして語彙が「すごくすごい」に着地するのは、まあわかる。ちなみに今回の調査は岡崎市における経済波及効果報告書として別紙にまとまっていて、プレスリリースのページからダウンロードできる。発表そのものはUUUM公式サイトのお知らせにも載っている。岡崎に行ってみたくなった人は岡崎市の観光公式サイトからどうぞ。351.4億円のうちの数千円を上乗せしにいくだけの話だ。