「パモさん構文」とは?意味・元ネタ(ジャック・オ・蘭たん×ポケモンSV)を解説
「Oh! パモさん床の隙間の汚れWatch……カワイイカワイイね」。ポケモンの実況動画で、なぜか床をじっと見つめているねずみポケモンに向けて出た一言が、そのまま型として定着しました。これが 「パモさん構文」 です。
「パモさん構文」とは?
パモさん構文は、「Oh! 〇〇さん、〇〇をWatch……カワイイカワイイね」の形で、対象が何かを見ている様子を英単語まじりに実況する言い回しです。
動きは単純で、Oh! で入り、相手を「〇〇さん」とさん付けし、見ているものを言ってから Watch で締める。最後に「カワイイカワイイね」を足す。ここまでが1セットです。英語と日本語が中途半端に混ざったルー語の調子なうえに、褒めている中身が「床の隙間の汚れを見ている」という地味きわまりない行動なのが笑いどころになっています。
型さえ守れば対象は何でも入るので、身の回りの人やペットに丸ごと流用できます。「Oh! 猫さん、洗濯機の回るのをWatch……カワイイカワイイね」のように、写真1枚あればすぐ作れる手軽さが量産につながりました。
ちなみに英語の watch は動いているものを目で追うときの語なので、止まっているものをじっと見ている場面なら本来は look のほうが近い、という指摘がニコニコ大百科に載っています。細かい話ではあるものの、そのズレも含めて味になっています。
元ネタ・由来
出どころは、ゲーム実況者ジャック・オ・蘭たんさんの『ポケットモンスター バイオレット』実況シリーズです。2023年1月5日に公開された第26回「ホゲータもらっちゃいました|ポケモン バイオレット #26」の、20分17秒あたり。
この回で蘭たんさんが演じていたのは、ゲーム内に登場する言語学の教師セイジです。一人称が「ワシ」、二人称が「オヌシ」で、そこに他の言語がぽんぽん混ざる独特の喋り方をするキャラクター。蘭たんさんはこのセイジに憑依した状態でプレイしていて、パモはそのセイジが面倒を見ているねずみポケモンにあたります。絆を深めるイベントの最中に、下を向いているパモを見つけてあの一言が飛び出しました。元動画の再生数は2026年8月25日時点で109万9,587回です。
動画が出てから3週間ほどかけて、この場面がXでじわじわ広まります。パモのぬいぐるみを床に置いて撮った写真やファンアートが並び、ゲーム本編でセイジが本当にそう喋ったのだと勘違いする人まで出てきました。1月27日には「Oh! パモさん」がTwitterのトレンドに入っています。
同じ27日、蘭たん本人がニコ生でこの流行に触れています。当時はセイジに憑依した状態で喋っていたので、「自分でも言ったことはあまり覚えてない」「あれを言ったのは俺じゃなくてセイジ」。そのうえで「一個の定型文みたいになったら嬉しいけど、すぐに忘れられると思う」とも話していました。
予想は外れます。2月に入ると海外にも波及し、「最近パモのミームをよく見るんだけど、何が元ネタなんだろう」「言語の壁のせいで、日本語のこのミームがどういう意味なのか分からない!」という反応が海外ユーザーから出てきたと報じられています。ルー語のおかしさは日本語話者向けの調味料なので、翻訳のしようがない部分です。
さらに同年12月、ニコニコ大百科とピクシブ百科事典が主催する「ネット流行語100」の2023年版で14位に入りました。1位が【推しの子】、13位がソラ・ハレワタール、15位が夕凪ツバサという並びの中です。実況動画のワンシーンから出た言葉が、年間の上位に食い込んだことになります。
なぜ床を見ていたのか
ここがこの構文の一番おいしいところで、そもそもパモは床を見ていたわけではないとされています。
ニコニコ大百科の記述によると、この場面はゲームの不具合とみられています。パモの真横や後ろから話しかけると、パモが顔を上げないまま会話が始まってしまう。プレイヤーの立ち位置によっては、それが「うつむいて床をじっと見ている」ように見えるわけです。正面から話しかければ、普通に顔を上げた笑顔が拝めます。
つまり蘭たんさんは、たまたま横から話しかけたせいで起きた表示のズレに気づかないまま、そこに「床の隙間の汚れを見ている」という解釈をとっさに足したことになります。バグと即興のアドリブが噛み合って生まれた一言です。
ただしこれは大百科に書かれている説明で、公式が不具合として発表したものではありません。その後のアップデートで挙動が変わったかどうかもこちらでは確認できていないので、「そういう話になっている」くらいの受け取り方が安全です。
使い方・例文
- 「Oh! 田中さん、自販機の下をWatch……カワイイカワイイね」
- 「Oh! 後輩さん、シフト表をWatch……カワイイカワイイね」
- 「Oh! 弟さん、冷蔵庫の中をWatch……カワイイカワイイね」
- 「Oh! 上司さん、印刷の待ち時間をWatch……カワイイカワイイね」
コツは、Watch の対象をなるべくどうでもいいものにすることです。「夕日をWatch」だと普通にいい話で終わってしまうので、床の隙間・自販機の下・排水口くらいの解像度まで落とすと元ネタに近づきます。
もう1つ、「カワイイカワイイね」はカタカナのまま2回繰り返します。「かわいいね」と平仮名で1回にすると、ただの感想になって型が消えます。Watch も英語表記のまま置いたほうが、あのたどたどしい響きが出ます。
写真と一緒に投稿する使い方が多く、ペットや推しのぬいぐるみが下を向いている一枚に添えるのが定番です。元ネタを知らない相手でも、褒めているらしいことだけはだいたい伝わります。
元ネタどおりにやるなら、必要なのはパモのぬいぐるみ1体だけです。床に置いて上から撮れば、あとは構文を添えるだけで成立します。
関連する言葉
キャラクターや配信者の喋りグセをそのまま型にして遊ぶという意味では、リオセスリ構文 や けんた構文 と同じ棚に並びます。ただしその2つが本人やキャラの口調をそのままなぞるのに対して、パモさん構文は「実況者が演じているキャラの口調」という一段ややこしい出どころを持っているのが違いです。
この手の言葉が生まれる現場は、たいていゲーム実況です。何時間も回している中でふと出た一言が拾われるので、本人にも狙って作れません。蘭たんさんが「自分でも言ったことはあまり覚えてない」と話しているのがその典型でしょう。そこから場面だけを取り出して広げるのが切り抜きで、元動画を見ていない層にまでフレーズが届きます。
蘭たんさんは4人組「ナポリの男たち」としても活動していて、マイクラ肝試し2026 には9月23日の出演が決まっています。
なお、パモも、元動画のタイトルにあるホゲータも、同じパルデア地方のポケモンです。ホゲータのほうはマクドナルドのハッピーセット「ポケモン」第2弾でニャオハ・クワッスとそろい、「モンスターボールシールケース」になっていました。