西日本初のガンプラ工場は大阪・堺、名前は「バンダイホビーセンター大阪」
ガンプラが作られている場所といえば静岡、というのはファンの間では常識に近い。その前提が少しだけ変わる。BANDAI SPIRITSが9月16日、プラモデルの生産工場「バンダイホビーセンター大阪」を大阪府堺市に新設すると発表した。稼働開始は2026年11月で、同社が西日本エリアにプラモデルの生産工場を置くのはこれが初めてになる。
自前の建屋ではなく、物流施設の1区画に入る
住所をよく見ると、新工場が入るのは三井不動産ロジスティクスパーク堺の1階B区画。更地に工場を建てるのではなく、すでにある大型物流施設の一角を生産拠点にする形だ。延床面積は約3,360.85平方メートルで、坪に直すとおよそ1,000坪。設備は多色成形機7台と発表されている。
地名も「築港八幡町」で、堺市の港湾エリアにあたる。作った箱をそのまま運び出せる場所を選んだ、という色がかなり濃い。
大阪に置く理由は、西日本の輸出港
リリースにはこう書かれている。「より安定的な生産体制の構築に加え、西日本の輸出港などを活用した物流の効率化を図るため、輸送の利便性に優れる大阪に新設します」。
ガンプラは国内向けだけの商品ではなく、アジアを中心に海外でもよく売れている。これまでは静岡で作ったものを運び出していたわけで、西日本側に生産拠点があれば、そこから近い港に積める。ファン目線では「新工場=増産」に目が行くけれど、今回の発表はどちらかというと物流の話が主役になっている。
告知の投稿は32万回以上表示され、いいねは4,000件を超えた(9月16日時点)。工場の新設という地味なリリースとしては、かなり数字が動いている部類だと思う。
本家の静岡は成形機23台、規模はまだ別格
比べてみると、静岡の存在感がよく分かる。
静岡のバンダイホビーセンターがあるのは静岡市葵区長沼。壁にガンダムが描かれている、あの建物だ。竣工は2006年。1つの金型に4つの色と4つの異なる素材を同時に流し込める自社オリジナルの「4色射出成形機」を使っていて、ランナーの時点で色が分かれているガンプラはここから生まれている。成形機の台数は多色成形機23台。
さらに2025年、この本館に近接する敷地に「BHCPDII(バンダイ ホビーセンター プラモ デザイン インダストリアル インスティチュート)」が建った。こちらは2026年8月に本格稼働を始めたばかりで、多色成形機10台に単色成形機84台という構成になっている。
大阪の7台は、この数字の横に並べるとまだ小さい。ただ、2024年11月に静岡の新工場を発表したときBANDAI SPIRITSは「2026年度の新工場本格稼働時には全体で2023年度比約35%の増産が可能になる見込み」と説明していて、静岡の増強が一段落したタイミングで西日本に足を伸ばしたことになる。新作の「XARX-ZERO」のような話題のキットが店頭に並びやすくなるのかどうかは、ここから先の話になる。
ガンプラの工場見学ができるのは「BHCPDII」のほう
「工場が増えるなら見学に行きたい」と考えた人向けに、現状を整理しておく。
バンダイホビーセンターの公式サイトには、既存工場のバンダイホビーセンターは現在工場見学を募集していないと明記されている。長沼の本館に行っても中は見られない。
見学できるのは、2025年にオープンしたBHCPDII MUSEUMのほうだ。稼働中の工場の見学に加えて、プラモデルの企画開発体験まで用意されている。2024年11月の発表時点では「工場内にはプラモデルを通してものづくりなどを学ぶことができる見学コースを新たに設置します」という説明だったので、その予告どおりのものができあがった形になる。
大阪の新工場については、今回のリリースに見学の案内は出ていない。まずは生産と物流のための拠点、という位置づけだろう。
関西のガンプラ好きにとっては、自分の街の近くでランナーが成形されるようになるというだけで少し嬉しい話だと思う。稼働は11月から。堺の港のそばで、あの4色のランナーが出てくる日がもうすぐ来る。