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大雨の船に流れていた曲の正体は「名探偵コナン メインテーマ」

大雨の夜、船の中で撮られた短い動画に30万件を超えるいいねが付いている。投稿したのはQuizKnockの山森彩加さん(@ayac__)で、添えた一文が「大雨の船に乗ったらこの曲が流れていて終わりかと思った」。

映っているのは、窓の外が真っ暗なラウンジと、金色の手すりのついた階段だ。人の姿はほとんどなく、カメラはゆっくり下へ降りていく。そこにBGMが流れている。

音を聞く前に「タイタニックだ」と身構えた人が並んだ

リプライで最初に目立ったのは、再生する前の予想のほうだった。「再生する前、タイタニックかと思った」(@sakiota48)という反応には2万件以上のいいねが付いている。

もっと具体的に書いている人もいて、「タイタニックの沈没する時に演奏家の人達が弾いてた曲かと思いました。」(@mg3ar11)。1912年に沈んだタイタニック号では、楽団が最後まで演奏を続けたという生存者の証言が残っていて、そのとき弾かれたとされるのが賛美歌「主よ、みもとに近づかん(Nearer, My God, to Thee)」だ。大雨・船・静かなBGMの三点セットで、まずそこを疑うのはかなり自然な反応だと思う。

ところが実際に流れていたのは、まったく別の曲だった。

正体は「名探偵コナン」メイン・テーマ

聞けば一発でわかる、あのイントロである。公式の表記は中黒の入った「名探偵コナン」メイン・テーマで、作曲は大野克夫さん。1996年のテレビアニメ開始から音楽を手がけていて、劇場版シリーズの音楽も担当している。ザ・スパイダースのメンバーで、沢田研二の「勝手にしやがれ」を書いた人、と言ったほうが通じる世代もいるはずだ。

大事なのは、この曲が作品の中でどういう場面にかかる曲かということだ。アニメを見てきた人間には、これは「今から何か起きます」の合図として刷り込まれている。だから大雨の夜の船内で不意に鳴らされると、景色のほうが一気に意味を変えてしまう。タイタニックだと思って身構えていた人たちが、曲がわかった途端に笑い出したのはそこだ。沈むだけでは済まないぞ、というほうへツッコミが切り替わった。

ちなみにこの曲、演奏する側の人口もかなり多い。ミュージックエイトからは小学校の器楽合奏向けに、リコーダーと鍵盤ハーモニカ、木琴、鉄琴まで入った編成の楽譜が出ていて、しかも「ドレミ階名付き」版まである。検索でも「名探偵コナン メインテーマ 吹奏楽」はよく打たれる組み合わせで、このイントロを自分で吹いたことがある人がそれだけいるということでもある。

リプ欄はコナンの船回ネタ大会になった

曲がわかった瞬間、リプライの中身が一斉に切り替わった。多かったのは少年探偵団ネタで、「『すっげー!』って叫んでる子供がいないか注意しないとですね……」(@shA8tKGkKJnSA8q)には1万2千件のいいねが付いている。

これに「でも一番の生存ルートは、その子らについて行くことなんよなぁ……」(@SDResq)と返す人がいるのがコナン読者らしいところで、たしかに一番安全なのはコナンの半径5メートル以内だったりする。「元太「でっけー船!!!」」(@musenbu1010)と、キャラの第一声だけで場面を成立させている人もいた。

そこから先は各自の想像が走り出していて、「多分、船は、鈴木財閥所有だと思われるw」(@Eren_s_n)、「かくれんぼしちゃだめですね…」(@CM75i16QYpfTslt)、「すげーといいながら走り回ってる男の子や、日本有数の金持ちのご令嬢、怪盗の予告状が届いてるなどしてる場合は今すぐに下船することをおすすめいたしますw」(@P1xIt44f4IbQYHZ)といった具合。船の持ち主から下船のタイミングまで、勝手に設定が埋まっていく。ホラー映画の定番セリフをそのまま持ち込んで「こんなところにいられるか! 俺は自分の部屋に戻らせてもらう!」(@Pero_Ft)と書いている人もいて、こちらは真っ先に退場する役どころである。

コナンと豪華客船は、本当に相性が悪い

ネタで盛り上がるだけの根拠はちゃんとあって、コナンは船に乗るとだいたい事件に巻き込まれる。原作にもアニメにも、貸し切りの豪華客船に乗せてもらったところで大変なことになる客船の回がある。

劇場版にも、船が丸ごと舞台の作品がある。2005年公開の『水平線上の陰謀(ストラテジー)』で、太平洋を行く豪華客船アフロディーテ号の処女航海に招待される話だ。エンディングテーマはZARDの「夏を待つセイル(帆)のように」。リプ欄にはこの作品のポスターを1枚貼って「詰んだ」(@YuuyaHayashi)とだけ書いた人がいて、2千件を超えるいいねが付いている。

この2つを両方ふまえたうえで、「水平線上の陰謀…で、下船する時にはZARDの夏を待つセイル(帆)のようにが流れるわけか…」(@taxi_fumifumi)と書いている人がいたのには笑ってしまった。曲がかかった時点で作品を特定し、下船時のBGMまで手配している。

つまり大雨の船内にこのメインテーマが流れるという状況は、コナンを知っている側からすると偶然の重なりではなく、条件がきれいに揃ってしまった状態に見える。山森さんの「終わりかと思った」は、けっこう誠実な感想だったわけだ。

同じコナンでも、USJの25周年でコナンと阿笠博士がバック・トゥ・ザ・フューチャー側に寄せられたコラボみたいに平和な方向へ転ぶこともあるし、郵便局限定グッズのように穏やかな展開もある。アニメのほうは「茜色の千秋楽」が3週連続で放送されるところだ。

もし旅先でこのイントロが聞こえてきたら、周りに騒いでいる小学生がいないかだけ確認しておくといいと思う。

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