Cygamesが凱旋門賞のプレミアムパートナーに、ウマ娘のオルフェーヴルとゴールドシップの等身大フィギュアをパリロンシャンに展示
Cygamesが9月9日、フランス中央競馬の統括機関であるフランスギャロとスポンサーシップ契約を結んだと公式サイトで発表した。10月4日にパリで行われる「カタール凱旋門賞」のプレミアムパートナーに、日本企業として初めて就任する。
ここまでなら真面目なスポンサーの話で終わるのだが、Xがざわついたのは契約の中身ではなかった。会場のパリロンシャン競馬場に、『ウマ娘 プリティーダービー』のオルフェーヴルとゴールドシップの等身大フィギュアが並ぶ。
ウマ娘プロジェクト公式アカウントが同日17時半に出した告知で、フランスギャロ公式(@francegalop)の英語ポストを引用する形になっている。英語側の書き出しは「France Galop is delighted to announce that Cygames is becoming a Premium Partner of the Qatar Prix de l’Arc de Triomphe!」だった。
なぜオルフェーヴルとゴールドシップなのか
人気投票で決まった2人ではない。プレスリリースの一文が、選ばれた条件をそのまま書いている。
会場では凱旋門賞に挑戦した名馬をモチーフにした『ウマ娘 プリティーダービー』のキャラクターであるオルフェーヴルとゴールドシップの等身大フィギュアを展示します。
条件は「凱旋門賞に挑戦した名馬」。この2人のモデルになった馬は、どちらも本当にこのレースを走っている。
オルフェーヴルは2012年(第91回)と2013年(第92回)に2年続けて遠征した。2012年はソレミアに差されて2着、2013年もキズナと一緒に挑んでオルフェーヴルが2着、キズナが4着。勝ったトレヴとは5馬身差がついていた。あと一歩どころか、2回とも2着で終わっている。
ゴールドシップが行ったのは2014年(第93回)。この年は日本からジャスタウェイ、ハープスター、ゴールドシップの3頭が遠征していて、当時としては史上最多の頭数だった。勝ったのは前年に続いて連覇を決めたトレヴで、日本調教馬の最高着順はハープスターの6着。ゴールドシップもここでは勝てていない。
つまり、パリロンシャンに置かれる2人は勝った馬がモデルではない。届かなかった側の馬をモチーフにしたキャラが、届かなかったレースの会場に等身大で立つ。ゲームで2人を育てたことがある人ほど、この人選の意味が刺さると思う。
Cygamesがフランス競馬に金を出すのは今回が初めてではない
いきなり最高峰のレースに現れたように見えるが、下地はあった。プレスリリースに載っているフランスギャロ会長ギョーム・ド・サンセーヌ氏のコメントに、そのまま書かれている。
サイゲームスには過去2年間、「CYGAMES GRAND PRIX DE PARIS」のタイトルスポンサーを務めていただいており、今回の新たなパートナーシップを通じて、フランス競馬へのコミットメントをさらに強化していただくこととなりました。
レース名の頭に社名が乗っている状態が、すでに2年続いていたわけだ。フランスギャロ側の英語ポストにも、Cygamesはすでに Cygames Grand Prix de Paris のパートナーで、年間最大のイベントに向けて関係を強めている、という趣旨の一文が入っている。今回はそこから一段上がって、レースプログラムやトラックボードにサイゲームスのロゴが出る。
Cygames代表取締役社長の渡邊耕一さんのコメントはこう始まる。
長年、日本の競走馬が頂点を目指して挑戦してきた「凱旋門賞」は、競馬ファンのみならず、世界中の多くの人々の心を揺さぶり、夢や感動を与えてきた歴史あるレースです。
頂点を「目指して挑戦してきた」であって、獲ったとは書いていない。この温度が、展示される2人の人選とそろっている。
ゲームの中にも急に凱旋門賞が生えてきた
同じ9月9日、ウマ娘プロジェクト公式はもう1本告知を出している。プレミアムパートナー就任を記念して、9月29日12時からレースイベント「チャンピオンズミーティング CLASSIC」を特別開催する、という内容だ。
いいねはこちらのほうが伸びていて、9日19時半の時点で約9,000。フィギュアの告知(約4,400)の2倍以上ある。理由はリプライを読むと分かる。チャンピオンズミーティングは対人のレースイベントで、出るには育成の下準備がいる。
- 「ウマ娘のお知らせ見たけどちょっとまって、今月チャンミ2回あるって事??🤔」
- 「実際の凱旋門賞に合わせる形での凱旋門賞チャンミ発表は普通に嬉しいしアツいんだけど、ウマ娘というゲームは準備が9割ってことを運営忘れてないかい…?」
祝いのニュースが、そのまま今月の作業量の追加として降ってきた形になる。イベントの詳細はゲーム内のお知らせに出ている。
「等身大パネル」じゃないところに反応が集まった
Xで多かったのは、展示の物量に対する驚きだった。
- 「「等身大パネル」じゃなくて「等身大フィギュア」なの、気合が入りすぎている…。」
- 「え???マジで???オルフェとゴルシの等身大フィギュアを凱旋門賞のときに展示するの???しかもお馬さんの方じゃなくてウマ娘の方を???」
後者の投稿は、このあと「行きたい」が18回続いていた。ちなみにウマ娘は8月にもローソンの店頭にのぼりを141種類立てているので、物量で殴る出し方自体は前からではある。
驚く方向がそろっているのも面白い。「凱旋門賞って、あの凱旋門賞?」と書いている人もいた。日本のスマホゲームのキャラが、ヨーロッパでいちばん賞金の高いレースの会場に等身大で置かれる。距離感がつかめないのも分かる。
500いいねを超えていたのは、素直に喜んでいる投稿だった。「「カタール凱旋門賞」のプレミアムパートナーなんて!すごい!!」と書いたあとに、「憧れの気持ちは変わらないけれど、身近な存在に感じさせてくれる素敵なお知らせですね!」と続けている。「ウマ娘衰退論者には申し訳ないけど、本当に衰退しているコンテンツが凱旋門賞のプレミアパートナーになって等身大オルフェとゴルシのフィギュアを会場に飾るなんて暴挙ができる訳ないのでこれにて論戦は終結です」という勝利宣言みたいな投稿もあった。
全部が歓迎というわけでもなくて、「一応ウマ娘に関わる物だけどゲームのコンテンツ充実や改善よりそっちを優先するんだなって気分になる。」という声も出ている。海外のレースに社名を出す話と、ゲームの中身の話を、別々に見ている人もいる。
レースは10月4日
凱旋門賞は1920年に創設されたフランスの国際競走で、賞金総額500万ユーロはヨーロッパで開催されるレースの中で最高額になる。ウィークエンドは10月3日と4日の2日間。当日の様子は凱旋門賞ウィークエンドの公式サイトでも追える。
現地まで行ける人はそう多くないと思うので、実際にどう置かれたのかは当日にXへ流れてくる写真待ちになる。勝てずに帰ってきた2頭をモチーフにしたキャラが、10年以上たってから同じ場所に等身大で立つ。会場に立たせるキャラとしてこの2人を選んだところが、今回いちばん効いている。