富士山の初冠雪2026は平年より28日遅い、判定は「解析積雪深」
富士山の2026年の初冠雪は10月30日。今季から職員の目視をやめて、計算で出す「解析積雪深」で判定した最初の記録になった。
平年(10月2日)より28日遅く、去年(10月23日)よりも7日遅い。
10月30日で、平年より28日遅い
気象庁の「初冠雪の記録等」の表で、富士山の行は「2026年10月30日」になっている。数字を並べるとこうなる。
平年と去年の日付は、甲府地方気象台が公開している富士山・甲斐駒ヶ岳の初冠雪の表にある。
2019年から2025年までの記録を並べると、いちばん遅かったのは2024年の11月7日だ。甲府地方気象台の表では、この日が富士山の初冠雪の「最晩」、つまり記録が残る中でいちばん遅い日になっている。今年の10月30日は、2019年以降ではその次に遅い。
同じ表の説明では、10月30日時点で4日以内に初冠雪した山は20山ある。富士山のほか、岩手山・月山・白山・立山などが並ぶ。
写真が先に出て、発表は後から
発表の前から、SNSでは「富士山が白い」という空気になっていた。
30日の朝7時48分、ウェザーニュース(@wni_jp)はこう投稿している。
山頂が白くなった写真が続々届いている、と伝えたうえで、気象庁は今季から「解析積雪深」をもとに初冠雪を判断するので「今後の発表に注目です」と添えている。
この投稿で分かるのは、写真で白く見えていても、それだけでは初冠雪にならないということだ。判定する側のやり方が変わっている。
9時22分には、同じウェザーニュースが発表を伝えた。
「今日10月30日(金)、気象庁は富士山の初冠雪を発表しました」という書き出しで、続けて今シーズンは目視観測を取りやめて「解析積雪深」で初冠雪を記録していると説明している。
つまり、朝から写真で話題になっていた雪が、午前の発表で正式な記録になった。
目視をやめた、気象庁の変更
変更が発表されたのは7月31日。気象庁の「初冠雪に関する情報提供の改善について」という報道発表だ。
これまでは全国44の山を対象に、職員が目で見て初冠雪を観測していた。富士山と甲斐駒ヶ岳の担当は甲府地方気象台だった。
甲府地方気象台のページには、2026寒候年をもって職員による目視観測が終了し、2027寒候年からは「解析積雪深」を用いた方法に変わったと書かれている。
目視をやめる理由は、報道発表の文面が短く説明している。
これにより、山頂が雲で覆われている場合や夜間においても、山頂における積雪の情報の提供が可能となりました。
目視だと、雲で山頂が見えない日や夜は観測できない。新方式はそこをなくすためのものだ。詳しくは気象庁の報道発表資料(PDF)で読める。
解析積雪深は5km四方の推定値
「解析積雪深」は、気象庁の説明では次のようなものだ。
積雪の深さと降雪量の実況を1時間ごとに約5km四方の細かさで推定するものです。
つまり、山頂を誰かが見て決めるのではなく、5km四方のマス目ごとに計算した雪の深さが元になる。
作り方は、解析雨量やLFMの降水量・気温・日射量を積雪変質モデルに入れて雪の深さを計算し、アメダスの積雪計の観測値で補正する形だ。
仕組みの全体は気象庁の解析積雪深・解析降雪量の解説にある。今の積雪の分布は、気象庁の雪の情報のページから見られる。
報道発表によると、新方式では初冠雪の日付に加えて、山頂の現在の積雪の状況もあわせて知らせる。30日10時時点の表では、富士山のこの「最新の積雪状況」の欄は「積雪なし」と表示されていた。
去年や2024年とは比べにくい
「平年より28日遅い」という数字は、使い方に気をつけたほうがいい。
気象庁自身が、表のページにこう書いている。
2026寒候年までの目視による初冠雪の観測日とは手法が異なっており、単純比較できませんのでご注意ください。
平年や去年の日付は目視で出した記録で、今年は計算値で出した記録だ。同じ「初冠雪」という名前でも、測っているものが少し違う。
遅い・早いは目安として見て、今後の年の積み重ねを待つのがよさそうだ。過去の記録そのものは、気象庁の富士山の過去記録で見られる。
富士吉田側は山頂が雲の中
富士山の北側、山梨県側の様子は、富士五湖観光連盟(@fujigokokankou)が10時50分に投稿している。
「山頂は厚い雲に覆われていましたが、裾野まで広がる初雪です」と、撮影日が2026年10月30日の写真つきで伝えている。
富士吉田からは山頂が雲で見えなかった、ということだ。それでも気象庁の記録は出ている。
目視だったら、見えない日は判定が難しい。雲があっても記録を出せる、という新方式の狙いに近い場面だった。
札幌の初雪は2日前だった
30日の富士山の前、10月28日には札幌でも初雪があった。そちらは平年と同じ日で、札幌の初雪2026は平年と同じ日、去年より5日遅いにまとめている。
富士山は平年より28日遅く、札幌は平年どおり。同じ秋でも、場所によって雪の来かたはかなり違う。