ゲームデザイナーズ大賞が2026年で終了、桜井政博が16年続けた賞の歴代受賞作
『星のカービィ』や『大乱闘スマッシュブラザーズ』を作ってきた桜井政博さんが、9月8日の19時すぎにXでこう書いた。
「16年続けたゲームデザイナーズ大賞ですが、今年で終わりにさせていただきます。最後に受賞する作品はなにかな…?」
読点と句点が半角なのは投稿の原文どおり。この2行が一晩で約5万いいねまで伸びた。
ゲームデザイナーズ大賞は、日本ゲーム大賞の中にある賞のひとつだ。桜井さんが2010年に新しく作り、審査員長として続けてきた。ゲームを遊ぶ側からすると、毎年よくわからないゲームが1本だけ選ばれる枠、くらいの認識の人も多いと思う。その1本が、今年で最後になる。
終わるのは賞ひとつで、日本ゲーム大賞そのものは続く
まずここを間違えると全部ひっくり返るので先に書いておく。なくなるのはゲームデザイナーズ大賞であって、日本ゲーム大賞という賞そのものではない。年間作品部門もフューチャー部門も例年どおり実施される。
告知はCESAが9月8日に出した日本ゲーム大賞2026のプレスリリースに入っていて、「16回目を迎える今年度の「日本ゲーム大賞2026」での発表を最後に、その役割を終えることになりました。」と書かれている。桜井さん本人の投稿と同じ日だ。
終了の理由は、公式リリースにも本人の投稿にも一言も書かれていない。新作の開発が忙しいのでは、といった憶測は出ているが、裏の取れる話は今のところ無い。
ちなみに数え方は微妙にそろっていない。CESAは今年を16回目としていて、桜井さんは16年続けたと書いている。同じリリースの中で日本ゲーム大賞そのものは今年で30回目とされているので、この16回目はゲームデザイナーズ大賞のほうの数だ。一方で歴代の受賞作の一覧は2010年から2025年まで並ぶ。どこを起点に数えるかで見え方が変わるので、公式の表記のまま受け取っておくのが無難だ。
2010年に何のために作られた賞なのか
この賞が生まれた背景は、当時の審査方式への不満に近い。従来のやり方だと販売本数の多いゲームが有利になりやすく、選ばれる顔ぶれが売上ランキングとあまり変わらなくなる。そこを踏まえて、独創性と斬新性を軸に1本だけ選ぶ枠として立ち上げられたのがゲームデザイナーズ大賞だった。
CESAのリリースにも、ゲーム業界を代表するトップクリエイターがプロの視点で「創造性」や「斬新性」を基準に評価し、最も優れた作品を1つ表彰してきた賞、と書かれている。売れたかどうかは評価軸に入っていない。
もうひとつ変わっているのが授賞式で、受賞作を会場で実際にプレイして見せるのが恒例になっている。賞状を渡して終わりではなく、その場で遊んでどこが変わっているのかを見せる。作った人が選んで、作った人が遊ぶ賞だった。
歴代の受賞作を並べると、売れたゲームがほとんど入っていない
言葉で説明するより一覧を見たほうが早い。2010年から2025年までの受賞作はこの並びだ。
- 2010年『HEAVY RAIN -心の軋むとき-』
- 2011年『ヒラメキパズル マックスウェルの不思議なノート』
- 2012年『風ノ旅ビト』
- 2013年『The Unfinished Swan』
- 2014年『ブラザーズ 2人の息子の物語』
- 2015年『Ingress』
- 2016年『Life Is Strange』
- 2017年『INSIDE』
- 2018年『Gorogoa』
- 2019年『ASTRO BOT: RESCUE MISSION』
- 2020年『Baba Is You』
- 2021年『マリオカート ライブ ホームサーキット』
- 2022年『Inscryption』
- 2023年『RPGタイム!〜ライトの伝説〜』
- 2024年『Viewfinder』
- 2025年『INDIKA』
その年いちばん売れたタイトルの名前が、見事なまでに出てこない。『Baba Is You』『Gorogoa』『Inscryption』『Viewfinder』のような仕掛け系のパズルが軸にあって、そこに『マリオカート ライブ ホームサーキット』のような物理的な変化球が混ざる。売上ランキングと大差ない顔ぶれになるのを避けたい、という設立の動機がそのまま16年ぶんの一覧になっている。
だから毎年この発表だけは、名前を初めて聞くゲームが出てくる枠として機能していた。「ゲームデザイナーズ大賞は、自発的に選ばないようなゲームを選ぶきっかけになってた。」と書いている人がいて、これがいちばん賞の役割を言い当てていると思う。ふだんの自分の検索では絶対にたどり着かない1本を、毎年1本だけ手渡してくる装置だった。
「ゲームデザイナーズ大賞が終わるのは残念だが、逆に考えればこれ以上増えないから全作コンプできるようになった」と書いている人もいた。たしかに数は確定した。ただ、この並びを全部遊ぶのはそれはそれで骨が折れそうではある。
ラストイヤーの審査員は8人から11人に増えた
終わる年なのに、審査員は減るどころか増えている。ラストイヤーの顔ぶれは五十音順で11名だ。
- 飯田和敏
- イシイジロウ
- 上田文人
- 神谷英樹
- 小高和剛
- 桜井政博
- 須田剛一
- トビー・フォックス
- 外山圭一郎
- 三上真司
- ヨコオタロウ
ファミ通の記事によると昨年は8人体制で、そこに上田文人さん、須田剛一さん、三上真司さんの3人が加わった形になる。『Undertale』のトビー・フォックスさんが日本の賞の審査員に名を連ねているのも、あらためて見るとなかなかの並びだ。最後だから声をかけたのか、たまたま今年そろったのかは書かれていないが、締めくくりとしては豪華になった。
なお桜井さんは、2006年の非売品DS Liteの話題に反応していたときのように、こういう業界の記録っぽい話にわりと自分から乗ってくる人でもある。
最後の1本は9月15日18時に決まる
発表は来週。年間作品部門の授賞式が9月15日18時からで、ここでゲームデザイナーズ大賞の最後の受賞作が出る。事前登録なしで見られる無料のライブ配信もある。
ラストの1本を予想する投稿もぽつぽつ出ていて、「ゲームデザイナーズ大賞、めっちゃカメレオンだろうな」という声もあった。6月に出たかくれんぼ系のマルチプレイゲームで、夏コミのコスプレ会場にも真っ白な姿で現れていたあれだ。独創性と斬新性で選ぶ賞という条件だけ見ると、たしかに筋は通っている。
一方で、そもそも終わることに納得がいっていない人もいる。「ゲームデザイナーズ大賞のおかげでOuter Wildsの面白さを信じてミリしらプレイを完走することができたので、本当に終わらないでほしかった なんなら終わりがくると思ってもみなかった それもこんな唐突に、当たり前のように」という投稿もあった。16年も続くと、無くなる想像をしなくなる。
フューチャー部門のほうは東京ゲームショウ2026の会場ステージで9月20日にやる。ゲームデザイナーズ大賞の結末が気になる人は、15日18時の配信を空けておくといい。16年ぶんの最後の1本が何になるのか、ここだけは当日まで誰にもわからない。