「さよならララ」最終話の題名はいきものがかりの主題歌と同じになっていた
9月20日の深夜に第12話が流れて、オリジナルTVアニメ『さよならララ』が終わった。日付が変わった9月21日の1時11分、公式Xがオープニング主題歌「さよならララ」を使ったメモリアルムービーを投げている。
投稿には「”最終話までのネタバレ”が含まれますので、最終話ご視聴後にご覧くださいませ。」と注意書きが付いている。公式が自分でネタバレ警告を出すくらいなので、まだ見ていない人はここで一度ブラウザを閉じたほうがいい。
最終話は第12話で、サブタイトルは作品名と同じ「さよならララ」
公式サイトのStoryが読み込んでいるエピソード一覧のデータを見ると、第12話のサブタイトルは「さよならララ」。作品タイトルそのままだ。全12話で、最後の1話だけが作品名を背負う形になっている。
同じ日、公式Xはキャラクターデザインの谷紫織さんによるエンドカードも出していて、そこにも第12話「さよならララ」と書かれている。
面白いのは、そこに至るまでの並びのほうだ。公式サイトのエピソード一覧から終盤を抜き出すとこうなる。
- 第9話「本当の愛」
- 第10話「刃を持ったプリンセス」
- 第11話「魔女グレイス」
- 第12話「さよならララ」
第1話は「人魚姫ララ」だった。人魚姫として始まって、最後は名前だけが残って別れの言葉が付く。しかも第9話の「本当の愛」は、そもそもララが飲んだ薬の条件そのものだ。公式サイトのイントロダクションに「しかしそれは、“本当の愛”を見つけなければ、泡となって消えてしまう禁忌の薬でした。」とあって、その言葉が終盤で話数タイトルとして回収されている。
第12話のあらすじも公式サイトに出ている。「ララが家族を救う唯一の方法、それは「愛する者を殺す」こと。ララの脳裏に思い浮かぶのは他でもない、茉里だった。琵琶湖での異常気象が行く手を阻むなか、茉里はララに会いにいく。」。脚本は川原杏奈さん、絵コンテと演出は監督の小出卓史さん、作画監督は谷紫織さんが担当している。
OP「さよならララ」はいきものがかりの新曲、詞と曲が水野良樹で編曲が亀田誠治
作品名と最終話のサブタイトルが一致するもう一つの理由が、オープニング主題歌だ。曲名も「さよならララ」で、歌うのはいきものがかり。
発表は2026年4月17日。いきものがかりの公式サイトの告知に楽曲概要が載っていて、作詞と作曲がどちらも水野良樹、編曲が亀田誠治。曲そのものは「爽やかなミディアムナンバーに仕上がっています。」と説明されている。
同じページに載っている本人コメントが、終わってから読むと重い。「自分の物語を、自分で選び、生きることは本当に難しいことです。出会いに飛び込み、おのれの言葉をみつけ、運命と向き合い、そして別れさえも選んでいく。」という書き出しで、最後は「『さよならララ』という作品との出会いのなかで、今、自分たちに書けるものを書きました。」と結ばれている。放送前に出たコメントなのに、第12話を見たあとだと読み方が変わる。
このOP映像には作り方の仕掛けもある。Wikipediaの記述では、オープニングアニメーションの一部で実際にセル画が使われた(出典はコミックナタリー)。本編自体が1990年代以前を思わせるセルアニメ調の画面で通っているので、その延長で本当にセルを使ったという話だ。
エンディングテーマは別で、Hana Hopeの「Hearts Glow」。作詞はHana Hopeと小西裕子、作曲はHana HopeとKEI_HAYASHIが手がけている。
アニメのタイアップで曲名が作品名と完全に一致する形は、アオのハコ Season2の主題歌のようにアーティスト側の世界観で付ける型に比べると珍しい。劇場版「虎に翼」のオープニングのように曲のほうが有名になるケースもあるので、曲名と作品名が同じだと検索する側が少し迷うのは仕方ない。
原作は『人魚姫』、泡になって消えたララが200年後の琵琶湖に蘇る
そもそもこの作品は何だったのか、をここで整理しておく。アンデルセンの『人魚姫』が下敷きで、公式サイトのイントロダクションはこう始まる。人魚のプリンセスであるララが地上の王子に恋をして、魔女グレイスからもらった薬で人間になる。けれど願いは叶わず、泡になって海へ消える。
そこから先がオリジナルだ。「それから200年。長い時を経て、人魚姫ララは琵琶湖に蘇る。今度こそ“本当の愛”を見つけるために」と続く。海で消えた人魚が、次に目を覚ますのは日本最大の淡水湖である琵琶湖。この設定の飛び方が、この作品の入口になっている。
制作は『メイドインアビス』『わたしの幸せな結婚』『盾の勇者の成り上がり』などを手がけてきたキネマシトラスで、本作はスタジオの設立15周年記念作品として発表された。
配信は7月5日24時30分から順次で、dアニメストア、ABEMA、U-NEXT、ニコニコ動画、Prime Video、TVerなど、公式サイトのOn Airページに並ぶ数がかなり多い。最終話まで一気に追いかけるなら、いまから見ても間に合う本数ではある。
舞台の滋賀は監督の地元で、茉里役は滋賀県民限定オーディションで決まった
なぜ琵琶湖なのかにも答えがある。Wikipediaがまとめている京都新聞のインタビューによると、人魚姫という世界的に有名なモチーフに対して、ごくローカルでパーソナルなものを繋げたいという発想があり、監督の小出卓史さんの出身地である滋賀県大津市が舞台に設定された。
徹底しているのがキャスティングで、ララと一緒に暮らすことになる大津茉里の役は、極めて異例の「滋賀県民限定オーディション」で選ばれている(出典は滋賀県知事公室広報課の「滋賀プラスワン」)。茉里を演じた川石奈奈さんは、関西弁が大阪寄りにならないよう「いい意味での田舎っぽさ」を意識して演じたという。方言を現地の人間から選んで撮るところまでやっている作品は、そう多くない。
第7話のサブタイトルが「土曜の10時、びわ湖テラスで」、第2話が「滋賀を走る」なのも、この地元感の表れだ。
反応は「最後に題名を言ってほしかった」でざわついた
そして最終話の感想で大きく伸びていたのが、そのサブタイトルまわりのツッコミだった。
会月紗衣さん(@ezuki3401)の投稿は、監督も脚本も演出も構成も作監も製作も全員が「さよならララって言え」と要求しているのに、茉莉が「言わん」と突っぱねる、という体裁のネタ。2,000件を超える「いいね」が付いて、表示は5万を超えている。話数タイトルが「さよならララ」なのに劇中でその台詞が来なかった、というところに反応が集まった形だ。
同じ点に触れた投稿は他にもあった。ひらりんさん(@hirarira617)は作品への物足りなさを並べたうえで「せめてさよならララって言えよ」と書き、えーすさん(@enixjm11)も「あのカットなら最後くらいタイトル読み上げてやれば良かったのに」と書いている。作品の評価自体は割れていて、11話まで最高に良かったのに最終回が、という声もあれば、着地に納得した声もある。
青ちょびれさん(@aochobire03)は「なんと平等なさよならをすることで「本当の愛は要らない。ただ私が在ることを選ぶ」という滋賀卒業endでした……まりのほうが寂しい!と泣いてくれて良かった。」と書いている。滋賀卒業endという言い方は、舞台が大津だからこそ出てくる表現だ。
細かいところを見ている人もいて、ぺあさん(@Zt1Mb)は「ララはいつもラインを使う時、音声入力していたが今回のラスト音声入力で無くなり手で入力している。」と指摘している。人魚が人間の生活に馴染んでいく過程を、LINEの入力方法で見せていたという読み方だ。
見るならOPから、曲名と話数タイトルが同じ意味を持ってくる
第12話のWEB予告は公式のKADOKAWAanimeチャンネルに上がっている。放送日が書いてあるとおり9月20日のぶんなので、これから見る人は本編を先にどうぞ。
Blu-rayは上巻が9月25日発売予定で第1話から第6話、下巻が10月28日予定で第7話から第12話。1話から追い直すと、毎週流れていたいきものがかりのOPが、最終話のサブタイトルとして戻ってくる仕掛けに気づけるはずだ。曲名と作品名と最終話の題名、3つが同じ「さよならララ」で揃っている。