無印良品の「不揃いバウム」はなぜ不揃い?公式の答えは「揃っているバウムは存在しません」
「不揃い」と大きく書かれたパッケージが、棚にびっしり、行儀よく並んでいる。無印良品の売り場を撮ったこの写真が、2026年8月30日の午後2時36分の投稿から一晩で484万表示を超えた。投稿したのはぼて(@fujikenbotebote)さん。添えられた一言が「こんだけ不揃いが揃うともはや製造ラインの信頼性の問題なのではと言う気がしてくる」だった。8月31日朝の時点でいいね3.7万、リポスト約2,500、返信180件。
無印でバウムを買ったことがある人なら、レジに持っていきながら、じゃあ揃っているほうはどこで売っているんだ、と一瞬考えたことがあると思う。その答えは、実は無印良品の公式サイトにそのまま書いてある。
公式サイトの1行目が「揃っているバウムは存在しません」
無印良品のバウム特集ページには「無印良品のバウムは、なぜ「不揃い」?」という見出しがあり、その書き出しが「実は無印良品に「揃っているバウム」は存在しません。」。続けて「不揃いとは、無理にかたちを整えていない、ということなのです。」と説明されている。
つまり不揃いバウムは、きれいなバウムを作る過程ではじかれた品を集めて売っているものではない。最初から形を整える工程を持たない、というのが商品名の意味だった。揃ったバウムがどこかの棚にあるわけではないので、探しても見つからない。
両端のミミの切り落としが、約6cmから1.8cmになった
公式が挙げている「不揃い」の理由は2つある。ひとつは「一般的にはロスになってしまう焼き色のムラや変形も、おいしさは変わらないため、そのまま生かしました。」。
もうひとつがかなり具体的で、「昔は見た目を揃えるため両端のミミを約6cm切り落としていましたが、今は1.8cmに改良し生地の廃棄を減らしました。」と書かれている。そのため商品の中には、端が丸みを帯びたかたちのものが含まれる、というのが公式の説明だ。
6cmが1.8cmになったということは、ミミとして落としていた生地のうち4.2cmぶんが、捨てられずに商品のほうへ残った計算になる。棚で「これちょっと端が丸いな」と思う個体は、その詰めた4.2cmぶんというわけだ。
同じ疑問は2024年にも22万いいねを集めていた
この疑問がバズるのは今回が初めてではない。2024年7月にも、揃っているバウムはどこへ行ったのかという趣旨のXの投稿が22万件以上のいいねを集め、ラジオ関西のラジトピが良品計画に取材している。
そこで食品部の担当者は、「不揃いではないきれいな部分だけのバウムクーヘンが他にある」という意味ではない、と答えている。もともと廃棄していた焼き色のムラや形の崩れも品質は同じなので除かずに売ることにした結果、廃棄が減ってコストダウンにつながり、価格を抑えられた、という成り立ちも説明されていた。1999年発売の定番が税込180円で買えるのは、その延長線上にある。
この取材でもうひとつ答えが出ているのが、そもそもなぜ棚が揃って見えるのかという話だ。担当者は2024年の時点で、製造技術が上がって焼き目のムラや型崩れがほとんど出なくなっていると説明し、お客さんから「不揃いバウムなのに全然不揃いじゃない」と言われることがあるとも話している。ぼてさんが撮った棚は、その延長にある光景だった。
今回の投稿にはコミュニティノートも付いた
伸びた投稿には途中でコミュニティノートが付き、「無印良品の不揃いバウムシリーズは、通常のバウム製造にあたり不揃いになったものを販売しているのではなく、最初から形の正確性の基準を下げ、本来は弾かれていた部分を含めて販売している商品です。」という補足が添えられた。出典として引かれているのは、上の2024年のラジトピ記事だ。
棚をよく見ると「不揃い」が付かない商品も混ざっている
写真の値札を見ていくと、白桃バウムや甘夏バウム、はちみつバウムが180円で並ぶなかに、塩パン風バウムだけ250円で置かれている。そして「不揃い」が付かない鉄分がとれるバウム チョコ&オレンジも同じ棚にいる。公式サイトでもこの系統は「栄養・成分がとれるバウム」というくくりで、商品名に「不揃い」の3文字が入っていない。よく見ると、棚は全部が全部「不揃い」ではなかった。
素朴な疑問の裏に企業側の事情がある話としては、「ポテチの袋、透明でよくない?」に専門家が回答した記事もどうぞ。捨てる量を減らす工夫という点では、ミルメークが名古屋の給食で解禁された経緯も同じ手ざわりがある。
次に無印に寄ったら、端が丸くなっている一枚を探してみてほしい。それが6cmを1.8cmまで詰めた跡だ。