「国産マッチでもバズりたい」日本最大のマッチメーカー日東社の願いが本当にバズる。姫路で灯を守る老舗に応援殺到
企業の公式SNSといえば、あの手この手で話題づくりに知恵をしぼるものですが、なかにはあまりにストレートな一手で人の心をつかむ会社もあります。日本最大のマッチメーカー・日東社(にっとうしゃ)の公式アカウントが「国産マッチでもバズりたい。バズらんかなぁ。」と、マッチ製造の動画を添えて投稿。その願いどおり、本当にバズってしまいました。
マッチが作られる様子が、なぜか美しい
動画に映るのは、無数のマッチが規則正しく並び、頭薬(とうやく=先端の赤い部分)をつけられながら仕上げられていく工場の光景。赤い頭がびっしりと並んださまは、どこか工芸品のようで、「ずっと見ていられる」「地味にすごい」「マッチってこうやって作るのか」と、その職人的な工程に見入る人が続出しました。
添えられた「バズりたい。バズらんかなぁ。」という肩の力の抜けたひと言も絶妙で、8万件を超えるいいねが集まる大反響に。かしこまった宣伝ではなく、素直に「注目してほしい」と伝えるその姿勢が、かえって多くの人の応援したい気持ちに火をつけました。
シェアの大半を握る“最後の砦”
日東社は、兵庫県姫路市に本社を置く、設立からおよそ100年の老舗。国内のマッチ市場で約7割ともいわれるシェアを持つ、まさに日本最大のマッチメーカーです。かつて姫路はマッチの一大産地として栄えましたが、ライターや電子式の着火器具の普及で需要は大きく減少。いまや原料調達から軸づくり、頭薬つけまでを一貫して手がける国産マッチメーカーは、国内でもごくわずかとされ、姫路でその生産を守るのは日東社だけとも言われています。
つまりこの「バズりたい」は、単なる宣伝ではなく、斜陽といわれる産業の灯を消すまいと奮闘する会社の、まっすぐな声でもあるのです。日東社はおしゃれなデザインの「BLUE LABEL」シリーズがSNSで「かわいい」と話題になるなど、近年は若い世代への発信にも力を入れており、今回のバズもその積み重ねの上にありました。マッチは今も、100円ショップやホームセンター、コンビニなどで手に入ります。
“国産◯◯でバズりたい”の輪が広がる
この投稿は、思わぬ連鎖も生みました。日東社の「国産マッチでもバズりたい」に乗っかる形で、長崎で国産バニラを育てる農業ベンチャーが「国産バニラもバズらないかな」と投稿し、こちらも注目を集めたのです。派手さはなくとも、日本各地でこつこつと“国産”のものづくりを続ける人たちが、SNSを通じて少しずつ光を当てられていく。そんな温かい流れの起点になった一本でした。
火をつけるだけの小さな道具に、これだけの手間と歴史が詰まっている。次にマッチを見かけたら、あの赤い頭の一本一本を、少しだけ愛おしく感じられそうです。日東社の取り組みは公式サイトや100年企業戦略オンラインの記事でも紹介されています。