セーラームーン初代「ムーンスティック」が復刻、新ブランド「Resparkle」第1弾。1992年の玩具そのものを再現
8月27日の朝、Yahoo!リアルタイム検索のトレンドに「ムーンスティック」が上がりました。『美少女戦士セーラームーン』の30周年プロジェクト公式アカウントが、1992年に発売された初代「ムーンスティック」の復刻を告知したためです。商品名は『ムーンスティック -Resparkle-(リスパークル)』。告知の投稿は数時間で1万いいねを超えました。
復刻されるのは「アニメの武器」ではなく「当時のおもちゃ」
この告知でいちばん面白いのは、何を復刻すると言っているかです。
公開されたビジュアルには「昔のおもちゃが時空を超えて、今 現代に甦ります」と書かれています。本体はピンクのプラスチックで、グリップには星のマークが並び、先端の三日月は金色。手に持ったサイズ感の写真も出ていて、要するに1992年に子どもが握っていた玩具そのものの見た目です。指輪パーツが2つ付属することも明記されています。
セーラームーンの変身アイテムには、すでにPROPLICA(プロップリカ)という大人向けの再現シリーズがあります。ムーンスティックも2014年に9,680円で発売され、2024年には色を調整した「-Brilliant Color Edition-」も出ました。こちらは作中のアイテムをできるだけ忠実に立体化する方向のブランドです。
対して「Resparkle」は、公式の説明によると「TVアニメ『美少女戦士セーラームーン』の歴代玩具をリスペクトして商品化する」ブランド。狙っているのは作中の魔法のステッキではなく、当時の売り場に並んでいたおもちゃのほうです。同じアイテムでも、再現する対象が一段ずれている。ここが今回の新しさになります。
コンセプトは「大人向けなりきり」。公式は「あの頃手にしていた方にも、今回初めて出会う方にも」と書いていて、当時の子どもが今30代後半から40代になっている計算です。
初代ムーンスティックは、紙ナプキンの走り書きから生まれた
復刻される1992年のムーンスティックには、そこそこ知られた誕生の逸話があります。
デザインを自分で描きたいと希望したのは、原作者の武内直子本人でした。ただ当時は連載の原稿スケジュールが逼迫していて、なかなか手が回らない。最後は「明日金型制作に入らなければ年末商戦に間に合わない」というところまで来てしまいます。
そこで深夜の喫茶店で武内が走り書きした紙ナプキンを、バンダイの担当者が朝一番の新幹線で大阪の業者に持ち込んで間に合わせた、と伝わっています。今回復刻される造形の元をたどると、〆切に追われた深夜の紙ナプキンにぶつかるわけです。
この玩具がヒットしなければ、アニメは1年で終わっていた
もうひとつ、この初代ムーンスティックには作品全体の運命がかかっていました。
テレビアニメ『美少女戦士セーラームーン』は1992年3月の放送開始直後、すぐに人気が出たわけではありません。東映動画の当時の社長は、視聴率が低めで関係者も心配し、打ち切りの話も出ていたと語っています。流れが変わったのは半年後、1992年の9月から10月ごろ。キャラクター商品の売れゆきに火が着いてから、視聴率も急上昇していきました。
その火付け役が、1年目の後半に登場したムーンスティックの玩具です。結果として「女の子向けアニメのグッズはある程度以上の売り上げを見込めない」という当時の業界のセオリーを覆したと評価されています。『なかよし』の発行部数は200万部を突破し、『りぼん』と肩を並べるところまで伸びました。
第2期以降の変身アイテムのデザインはバンダイ側が受け持つようになり、担当者には鉄道車両をデザインしていた元工業デザイナーが抜擢されています。ステッキ1本の成功が、その後のラインの体制まで変えた形です。
実物が見られるのは8月29日から
『ムーンスティック -Resparkle-』は、8月29日(土)と30日(日)に東京ビッグサイトで開かれるTOKYOおもちゃショー2026で初展示されます。場所はBANDAI SPIRITSコレクターズ事業部の「復活(おもちゃのたましい)」ブース。展示ブースの名前からして、今回の主旨がそのまま出ています。
一般公開はこの2日間で、会場では他社の新作も並びます。同じ日に仮面ライダーのCSMシリーズの新作なども展示されるので、大人向け復刻の棚を見に行く人にはまとめて回れる日程です。
発売日と価格は後日発表とだけ書かれていて、現時点では未定です。公式はムーンスティックを「記念すべき第一弾」と書いているので、続きがある前提のブランドということになります。歴代玩具をリスペクトする方針である以上、候補になる変身アイテムは30年ぶんたまっているわけです。