「アザラシ幼稚園」が2週間以内に破産申請へ、市と州の支援撤退が理由
「アザラシ幼稚園」の運営団体が、2週間以内に破産を申請する見通しだと発表した。まだ申請はしていないが、資金の穴は280万ユーロある。
日本のXでライブ配信がバズり、猫ミームと並んでSNS流行語大賞2024に入ったあの施設だ。正式名はオランダの「ピーテルブーレン・アザラシセンター(Zeehondencentrum Pieterburen)」という。
公式が破産申請の見通しを発表
発表はセンターの公式サイトのニュースに、現地時間の10月12日付で出た。
冒頭には、財団の代表と監督理事会が「おそらく2週間以内に破産を申請する」と書かれている。断定ではなく「おそらく」が付いている点は押さえておきたい。
公式Xも、日本時間13日の2時36分に英語で同じ内容を投稿した。新しい出産シーズンが始まる直前に、保護活動が終わってしまうおそれがある、という書き方だ。
日本で最初に広まったのは、オランダ在住の @Seallover_Emily さんの投稿だった。アザラシ幼稚園から帰る途中に、センターからのメールが届いたという。
その英文メールを和訳して紹介したところ、5,000件を超えるいいねがついた。
市と州が支援しないと決めた
公式発表によると、理由は地元のヘット・ホーゲラント市とフローニンゲン州の支援が見込めなくなったことだ。
両者は10月8日、債権者との和解にも、追加の支援にも関わらないとセンターに伝えた。
代表のバス・ウェメンホーフェ氏は、施設は市や州と一緒に作ってきた共同のプロジェクトだったので、この決定は予想していなかったと話している。発表の中では「ショックで、悲しい」とも書いている。
地元局のOmroep Het Hogelandも、市と州に施設を救う意思はなく、最後の救済策が2週間で実らなければ破産申請になると伝えている。
新施設の開館後に想定外が重なった
アザラシ幼稚園は1971年、レニー・ト・ハートさんが始めた施設だ。ピーテルブーレン村の旧施設は老朽化が進み、2025年1月に閉めた。
そのあと港町ラウエルスオーフに新施設「WEC」を建て、2025年4月25日に開館した。日本のファンが今見ているライブ配信も、この新施設からのものだ。
ところが開館後に、お金の想定外が次々に出てきた。公式発表が挙げている原因はこうだ。
- 予想していなかった財務上の義務
- 外部業者のミスで生まれた大きな不足
- 追加工事の費用をめぐる争い
- 旧施設の売却の遅れ
- 来館者からの収入が見込みほど伸びなかった
センターは、債権者に債権のおよそ半分を受け取ってもらう和解案で立て直そうとしていた。2026年9月には市と州がPwCに将来のシナリオを調べさせ、PwCは「シナリオはある」と結論を出している。
その続きが、先週になって消えた。市と州が抜けたことで、和解で埋めるはずだった280万ユーロの穴が残った。利息や運営の赤字は、これとは別にある。
理事会は自分たちの非も認めている。来館者数の見通しや想定外への備えが楽観的すぎたかもしれないこと、外部の専門家を入れても大きな財務問題の全体が見えるのが遅すぎたことを挙げ、「それは私たちの責任だ」と書いた。
一方で、移転そのものは避けられなかったとも説明している。旧施設は保守が追いつかず先がなかったうえ、ラウエルスオーフへの建設は市の強い希望だったという。
閉鎖なら出産期の約70頭が危ない
いちばん重いのは、時期の悪さだ。ハイイロアザラシの出産シーズンは11月か12月上旬に始まるが、センターはその前に閉まる見込みだという。
公式発表には、この先数か月で70頭のアザラシが生き延びるチャンスを得られなくなると書かれている。そのうち半分は生まれたばかりの赤ちゃんだ。
ほかにも影響は出る。
- 40人のスタッフが職を失う
- WWFオランダやユトレヒト大学と進めている、ゼニガタアザラシの若い個体が減っている件の調査が止まる
ライブ配信は今も続いている
日本でバズったYouTubeのライブ配信は、この記事を書いている時点ではまだ続いている。配信しているのは公式チャンネルで、場所は新施設WECだ。
破産したあと配信がどうなるかは、公式からは何も出ていない。寄付の呼びかけも、今回の発表文には書かれていなかった。
まだ「見通し」の段階
ここまで書いてきたことは、全部が「申請する見通し」の話だ。破産が決まったわけではない。
センター自身も発表の中で、この金額を埋める奇跡に、まだわずかな望みはあると書いている。
オランダの報道(Hart van Nederland など)も動き始めたばかりだ。この2週間で何か動きがあれば、この記事に書き足していく。
アザラシのライブカメラが好きな人は、ペンギンのライブカメラでヒゲペンギンが大暴れした話もどうぞ。