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ペンギンのライブカメラで小柄な1羽がオウサマペンギンに突撃、正体はヒゲペンギンとの指摘

2026年8月29日 ・ トレンド「ペンギン ライブカメラ ヒゲペンギン」より

8月27日の19時51分、@hajime_yu11 さんが26秒ほどの動画を1本あげた。添えられた文章は「ペンギンのライブカメラを観ていたら(趣味)なかなか衝撃だった」だけ。それでも中身が中身だったので、29日の夜には9万2,000件を超えるいいねがついていた。

ペンギンのライブカメラを日課で眺めている、という時点でもう良い趣味だと思うのだが、その日たまたま映っていたのが、体の小さいペンギン1羽の大暴れだった。

26秒の動画に映っていたのは、小柄な1羽の突撃

画面には岩場と水辺が広がっていて、耳のところがオレンジのオウサマペンギンが10羽前後。黄色い冠羽の個体や、目の上に白い模様のある小さめの個体も混じっている。動画の序盤から中盤にかけて、その中に体の小さい濃い色の1羽が入り込み、自分より明らかに大きいオウサマペンギンに体を寄せて突っかかっていく。周りのペンギンは避けたり首を伸ばしたりで、はっきりオロオロしている。

小さいほうがやられているのではなく、小さいほうが仕掛けている。これが動画の全部で、23秒あたりになると今度は白いアイパッチの小型個体2羽が岩場に上がってきて、何ごとかと覗き込むような形で終わる。

反応のなかには「どつき回して落っことしてる」と、水に落とされたと読んだ人もいた。ただ、こちらで動画のコマを抜いて確認した範囲では落下の瞬間までは見えていないので、そこは見た人の受け取りとして書いておく。

突っかかっていた小さいほうはヒゲペンギン、との指摘が付いた

翌28日の12時26分、@kouro03(酒倉 こうろ)さんが引用で種名を出した。この解説だけで1万6,000近いいいねがついている。

内容はこうだ。「どつき回してるのはヒゲペンギンという種類で、こいつとアデリーが気性荒くて大体オウサマとエンペラーがボコされてる(アデリーは縄張り意識が高いので近寄らなければ平気)」、そして「最後様子見に来た二羽はジェンツーでこの子は穏やかな方」。締めは「ペンギンはいいぞ」。

念のため書いておくと、これは映像を見た人の見立てで、施設が公式に「この個体はヒゲペンギンです」と発表したわけではない。ただ、後述するとおり施設にはヒゲペンギンもジェンツーペンギンもいるので、話としては筋が通っている。

ヒゲペンギンは最も攻撃的とされることもある種類

ここが気持ちいいところで、指摘された種の性格を調べると、動画の絵とちゃんと一致する。ヒゲペンギンは「ペンギンの中で最も攻撃的で気性の荒い種であるとされることもある」と書かれている種で、「攻撃的な性格のため、繁殖地が重なる他の種類のペンギンを押しのけることもある」ともある。分布は南極半島から南アメリカ南端部にかけて、南極圏が中心。

体のサイズは体長68〜76cm、体重3.2〜5.3kg。オウサマペンギンはこれよりひとまわり大きいので、動画の力関係は体格をそのまま逆にした形になる。小さいほうが強い、というより、種ごとに気性が違うという話だ。

名前の由来もはっきりしていて、横浜八景島のプレスリリースには「アゴの下にひげのような黒い模様が特徴で、帽子のアゴ紐に似ていることから、別名『アゴヒモペンギン』とも呼ばれています」とある。名古屋港水族館の紹介ページも、英名の Chinstrap Penguin をそのまま訳した「アゴ紐ペンギン」のほうがピッタリでは、という書き方をしている。ヘルメットのあご紐に見える線が首の下に1本入っている、あの顔だ。

ただ、飼育している側の見方は少し違う。同じ名古屋港水族館のページは「鳴き声はギャーギャーとうるさく、性格が悪そうに見えてしまいます(でもそんなことはないんですよ)」と、わざわざフォローを入れている。攻撃的という話が主に出てくるのは繁殖地で巣の場所を取り合う場面で、水槽の前でいつも暴れているという意味ではない。

舞台はテキサスの Moody Gardens、ペンギンは100羽超

撮影元は投稿者本人が2分後の投稿で明かしている。「アメリカ・テキサス州のテーマパーク、Moody Gardensのライブカメラです」。日本語だとムーディー・ガーデンズと表記される、ガルベストンにある施設だ。

公式ブログによると、ここは2つの habitat に100羽を超えるペンギンを飼育していて、そのうち South Atlantic Penguin Habitat にいるのが King(オウサマ)、Gentoo(ジェンツー)、Chinstrap(ヒゲ)、Rockhopper(イワトビ)、Macaroni(マカロニ)の寒冷地の5種。つまり、あの動画の顔ぶれがそっくり揃っている展示ということになる。ペンギンが入っている Aquarium Pyramid 自体が1990年から動いている建物で、水量150万ガロン、生きものは1万匹以上。アメリカでキタイワトビペンギンが見られるのはここだけ、というのが施設の自慢らしい。

そしてこのライブカメラ、今も公式チャンネルで24時間配信されている。

配信が一時的に止まっていると上の埋め込みは真っ黒になるので、そのときは公式のペンギンウェブカメラのページから見に行ってほしい。公式サイトがいちばん人気のウェブカメラとして案内しているのがこれで、YouTube 側のページを直接ブックマークしておいてもいい。深夜に開くと寝ているペンギンしか映らないが、テキサスと日本の時差を考えると、日本の夜は向こうの朝なので動いている確率は高い。

日本でヒゲペンギンに会えるのは4館だけ

実物を見たくなった人向けの話も書いておく。ヒゲペンギンを飼育している国内の施設は、名古屋港水族館、アドベンチャーワールド、長崎ペンギン水族館、横浜・八景島シーパラダイスの4館とされる。数はかなり少ない。

いちばん新しいのが八景島で、プレスリリースには「日本国内における『ヒゲペンギン』の展示は、当施設が4館目となり、東日本では唯一の展示となります」とある。展示開始は2024年11月9日で、来たのは「『アドベンチャーワールド』からやってくる4羽」。しかも同じ「氷の海にくらす動物たち」のエリアには、アデリーペンギン、ジェンツーペンギン、オウサマペンギンが揃っている。今回の動画に出てきた面々が、そのまま横浜にもいるわけだ。

送り出した側のアドベンチャーワールドは、オウサマペンギンを国内最多の約100羽の群れで飼育している園でもある。突っかかられる側と突っかかる側の両方を持っている、と考えるとなかなか味わい深い。ペンギンの種差でいうと、体長40cm級の世界最小種フェアリーペンギンの卵をオーストラリアから空輸した葛西臨海水族園の話もあって、同じ「ペンギン」でくくるのが雑に思えてくる。

ペンギン界の舞の海、と例えた人がいた

反応で目立ったのは、小柄なのに大きい相手へ向かっていく姿への例えだった。「ペンギン界の舞の海。」と書いた人がいて、相撲の小兵力士や池乃めだかにたとえる声もあった。個々の投稿についているいいねは二桁いくかどうかで、大きく伸びたのは元の動画と種名の解説の2つだけだが、たとえの方向はだいたい揃っている。

種名がわかったうえで見返す人も出ていて、「ヒゲペンギンはキングペンギンの何が気に入らなかったの笑。最後ジェンツーペンギンが覗き込みに行ってて可愛い。ライブカメラブクマした✨」という投稿もあった。最後に上がってきた2羽が穏やかなジェンツーだと知ってから見ると、あの覗き込みの意味が変わってくる。

ヒゲペンギンが何に怒っていたのかは、結局わからないままだ。気になったらライブカメラを開いて、自分でしばらく張り込んでみてほしい。何も起きない時間のほうが長いけれど、それはそれで悪くない。

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