世界最小のペンギンの卵を、飛行機でオーストラリアから。葛西臨海水族園、国内初の“有精卵輸送”でヒナがふ化
ペンギンを増やしたいなら、ペンギンを連れてくればいいと思いきや、葛西臨海水族園(東京都江戸川区)が選んだのは、少し違うアプローチだった。海外から運んできたのは、生きた成鳥ではなく「有精卵」。オーストラリアから卵を飛行機で輸送し、園内でふ化させるという、日本では初めての試みだ。2026年7月14日、東京都はこの卵から無事にヒナがふ化し、順調に成育していると発表した。
なぜ「親」ではなく「卵」を運ぶのか
対象となったのは、世界最小のペンギン「フェアリーペンギン(コガタペンギン)」。国内の飼育個体は数が限られ、繁殖を重ねるうちに血縁が近くなってしまう。いわゆる遺伝的多様性の低下が課題になっていた。そこで、海外から新しい血を迎え入れる必要があったのだが、ここで“生きたペンギン”を運ぶのはハードルが高い。
理由は主に2つ。ひとつは、高病原性鳥インフルエンザなどの感染症のリスク。もうひとつは、長時間の輸送が動物に与える大きなストレスだ。その点、卵ならば感染症のリスクを抑えられ、成鳥ほどの輸送ストレスもかからない。「殖やすために、あえて卵の状態で運んでふ化させる」という発想は、動物福祉と繁殖の両立を考えた末の工夫なのだ。
体長40cmほど、手のひらサイズの“世界最小”
フェアリーペンギンは、その名のとおり妖精のように小さなペンギン。体長は40cmほど、体重も1kg前後しかなく、数あるペンギンの中で世界最小として知られる。オーストラリアやニュージーランドの沿岸にすみ、青みがかった羽の色から「リトルブルーペンギン」とも呼ばれる。
その世界最小ペンギンが、卵の状態で海を越え、東京でふ化した。小さな体で懸命に育つヒナたちが、この先どんなふうに大きくなっていくのか。見守りたくなる取り組みだ。詳しい内容は東京都の報道発表で確認できる。