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中尊寺のカフェの「寺ミス」はティラミス、ドリンクの名前は「神社エール」

世界遺産の境内でティラミスを頼んだら、皿にココアパウダーで「寺」と書かれて出てきた。商品名は「寺ミス」。9月22日の昼に上がったこの写真が、いいね8万件まで伸びている。

投稿したのはパンプキンπ(@Panpkin_pie2022)さん。「これで商品名寺ミスですよ。このカフェ全てのネーミングが死ぬほどやかましい」という一文だけが添えられている。場所は岩手県平泉町、中尊寺の境内にある食事処「かんざん亭」だ。

皿の上に「寺」、切ったティラミスは普通にちゃんとしている

写真を見ると、正方形の白い皿に四角く切り出したティラミスが1つ載っている。上面はココアパウダーがびっしり、断面はクリームとスポンジの層がきれいに分かれていて、見た目はごく真っ当なティラミスだ。やかましいのは皿の余白のほうで、そこに同じココアパウダーで「寺」の一文字が太く書かれている。トレイは木枠と黒天板の和風のやつ、添えてあるのはスプーンと紙ナプキン。つまり本体は何もふざけていない。

中尊寺の観光情報をまとめているヒライズミーツは、この店を「世界遺産平泉中尊寺境内、絶好のロケーションとスロージャズが流れるお休み処です」と紹介している。おすすめメニューの欄も「自然薯そば」「自然薯ざるそば」に続けて「ピザ、ティラミス他」と並ぶだけで、寺ミスという呼び方は出てこない。名前で笑わせにくる割に、品書きの側はいたって真面目だ。

21分前に上がっていた黒板の写真には「神社エール」600円

実はこの投稿、いきなり出てきたものではない。同じ人が21分前に店頭の黒板を撮って「クソやかましくて好き」と上げていて、寺ミスの写真はそれを自分で引用する形で投稿されている。先に来ていたのはこっちだ。

黒板には緑のチョークで「かんざん亭クラフトジュース」、その下に白で「神社エール」、さらに下に「¥600」。横には実物の写真が貼ってあって、背の高いグラスに氷とオレンジがかったピンクの液体が入っている。置いてある台は、寺ミスの写真に写っていたのと同じ市松模様の木枠だ。奥には山並みと青空が広がっている。

念のため書いておくと、この黒板の上半分には普通に「アイスカフェラテ Iced」と書かれている。店のメニューが全部ダジャレになっているわけではなく、時々こういうのが混ざってくるという構成らしい。中身のほうは、この投稿に返信した人が答えている。elevaraspa(@elevaraspa)さんは自分で撮った寺ミスと神社エールの写真を添えて「これが寺ミスと神社エールを合わせた神仏習合セットです 神社エールはショウガがたっぷり入ってて美味しかったw」と書いていた。名前は神社でも、飲むと生姜が来るジンジャーエール寄りの一杯らしい。

店は中尊寺の境内、公式サイトの「境内のご案内」に載っている

かんざん亭は観光地の門前にある土産物屋ではなく、中尊寺の境内そのものにある。中尊寺公式サイトの境内のご案内にも施設として載っていて、説明はこうだ。「かんざん亭1階では、平泉でとれた自然薯や季節物の山菜を使ったそば、うどん、そして甘味やコーヒーなどご用意してみなさまをお待ちしております。なお、天気が良ければ秋田県境の焼石岳も展望できます」。

そば屋としての看板メニューは平泉産の自然薯を使った自然薯そばで、るるぶ&more.のスポット紹介でも「人気は平泉産の自然薯をたっぷり使った自然薯そば」と書かれたうえで、「寺ミスなどの軽食もある」と続く。旅行情報サイト側にもう寺ミスの名前が載っている時点で、この呼び方はネットでウケた一発ネタではなく店の正式な商品名だとわかる。

営業時間については、ヒライズミーツ側には10時〜16時・時間変更ありと書かれている。季節と天候で動くようなので、行く前に確認したほうが早そうだ。

「神仏習合してんじゃねぇか」というツッコミは、だいたい合っている

この話をまとめたTogetterは、タイトルを「神仏習合してんじゃねぇか」で締めている。返信欄にもVOLTA the YAS-SON(@83VOLTA)さんの「神仏習合してるやん」があった。寺の中のカフェなのに神社エールを売っている、という指摘だ。

ところがこれ、冗談抜きで筋が通っている。かんざん亭が建っているのは中尊寺の最奥、白山神社の西隣だ。そして白山神社は中尊寺の鎮守にあたる。中尊寺公式の説明では「中尊寺の北方を鎮守(ちんじゅ)するため、850年に中尊寺を開いた慈覚大師円仁(じかくだいしえんにん)がこの地に勧請(かんじょう)したと伝えられています」とある。寺を開いた本人が、同じ年に神社も呼んできている。神社エールは、窓の外にある本物の神社の名前を借りた商品というわけだ。

中尊寺の山号は「関山(かんざん)」

もうひとつ。店名の「かんざん亭」だが、中尊寺公式サイトの各ページのヘッダーには、寺の名乗りとして「関山 中尊寺[岩手県平泉 天台宗東北大本山]」と出ている。関山と書いて「かんざん」。これは中尊寺の山号、つまり寺の正式なフルネームの前半部分にあたる。

店名の由来が関山だと公式が明言しているページは見つからなかったので、そこは断定しない。ただ、寺の山号が「かんざん」で、その境内にある店の名前が「かんざん亭」という並びではある。だとすると、この店でいちばん先にやかましかったのは寺の名前のほうだったことになる。ついでに寺の側も850年創建、開山は円仁(慈覚大師)という、ダジャレとは無縁の年季の入り方をしている。

「寺か神社どっちかにせえ」

元の投稿に付いた返信や引用は、素直に笑っている人が多かった(以下はTogetter のまとめに収録されているもの)。「一瞬、意味が分からなくて固まっていましたw。そういうことか。」と皿の写真で一拍おいてから理解した人、「やかましいわ って声に出したのは初めてかもしれません」と本当に声が出た人、「ティラミス本体の方が追いやられている…」と皿の構図のほうに目が行った人。Ryojin Sasaki(@ryojin_s)さんの「どうせ神社エールの店だろって思ったらそうだった。寺か神社どっちかにせえ。」は、黒板のほうを先に見ていた人の反応だ。

惜しがる方向のツッコミも出てきた。「上から読ませるなら寺が上に来ないといけないのにミスってるのが加点ポイント」「誤字ってればもっとよかった」と、寺ミスの「ミス」を実際にやってほしかったらしい。「カス寺とかありそう」と架空のカステラを考え出す人もいて、こっちはさすがに実在しない。

行ったことがある人も出てきている。いろは*(@iroha_sesu)さんは「寺ミス出してるとこ知ってるな。寺界隈的にはよくある寺ジョークなのかな……って思ったら全然知ってるとこだった。ここのネーミング大好き」、別の人は「ここ入ったのに至って普通のピザトースト(おいしい)しか食べなかった」と、寺ミスを通り過ぎていたことに今さら気づいている。

中尊寺は月見坂という参道をそこそこ登る。金色堂まで見て回ると普通に足にくるので、白山神社まで行き着いたところで窓の広いそば屋が待っているのは、ダジャレを抜きにしても位置がうまい。岩手ネタでは雨雲レーダーにカタカナの「ド」が出た話や遠野のカッパ捕獲許可証も書いたが、平泉まで行くなら寺ミスは見つけやすいほうの名物だと思う。

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