オルセー美術館展の「星月夜」、正解はローヌ川の方で16年ぶり来日
オルセー美術館展に来るゴッホの《星月夜》は、あの渦巻きの絵ではありません。ローヌ川の夜景を描いた、もう1枚の《星月夜》です。
公式が出したのは前売とアンバサダー
9月28日の朝4時、展覧会の公式Xが「【速報】」と題して2つのお知らせを出しました。アンバサダーに香取慎吾さんが就任したことと、前売券をその日の10時から売り出すことです。
展覧会の正式名は「東京都美術館開館100周年記念 オルセー美術館所蔵 いまを生きる歓び」。会場は上野の東京都美術館で、2026年11月14日から2027年3月28日まで開かれます。
並ぶのは絵画・彫刻・工芸・写真など約110点。その中で目玉として名前が挙がっているのが、ゴッホの《星月夜》です。
その「星月夜」は渦巻きの方じゃない
「星月夜」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、夜空がぐるぐる渦を巻き、手前に黒い糸杉が炎みたいに伸びているあの絵だと思います。
あれはゴッホが1889年6月、南仏サン=レミの修道院にあった療養所に入っていた時期に描いたものです。1941年からはニューヨーク近代美術館(MoMA)の永久コレクションに入っていて、今回の展覧会とは関係ありません。
今回来るのはその前年、1888年9月にアルルで描かれた1枚です。日本では「ローヌ川の星月夜」と呼び分けられていますが、フランス語の原題はどちらも同じ La Nuit étoilée。英語でも Starry Night Over the Rhône と川の名前を足して区別しています。
つまり「ゴッホの星月夜が来る」と聞いてMoMAの絵を想像すると、会場でちょっと驚くことになります。
見分けるならガス灯と恋人たち
2枚を並べると、違いは一目で分かります。
- ローヌ川の方(1888年・オルセー): 横長の画面の半分が川。対岸の街のガス灯が黄色い帯になって水面に映り、手前の岸をふたりの人物が歩いている
- 有名な方(1889年・MoMA): 空いっぱいに渦と月。手前に大きな糸杉、下に小さな村
展覧会の公式サイトの作品解説によると、ローヌ川の方は「彼が住んでいた街外れから、ローヌ川越しに南西の夜空と市街地を臨む景色」です。
同じ解説によると、ゴッホは弟テオへの手紙で夜は昼間よりも色彩が豊かだと書き送っていて、この絵でも街のガス灯と大熊座の星が色で描き分けられています。空に並ぶ星の中には北斗七星が入っています。
手前のふたりは、ゴッホ自身が手紙で「恋人たち」と呼んでいます。渦巻きの方には人が1人も出てこないので、ここを見れば取り違えることはありません。
来日は16年ぶり、落穂拾いは23年ぶり
公式サイトは《星月夜》を「16年ぶりの来日」と紹介しています。同じ展覧会には、ミレーの《落穂拾い》(23年ぶり)とゴーガンの《アレアレア》(16年ぶり)も来ます。教科書で見た絵が上野にまとめて集まる格好です。
《星月夜》が置かれるのは最後の章、エピローグの「それでも世界は美しい」。つらい出来事があっても芸術家は世界の美しさを描き続けた、というテーマの部屋で、ゴーガンの《アレアレア》やシニャック、ルノワールの作品と並びます。
ほかにもル・グレイの写真《帆船、通称「月明かりの帆船」》やボナールの《室内》など、展示作は公式サイトの作品紹介で章ごとに見られます。
前売券と星月夜グッズ付きの券
前売券は11月13日(金)まで売られています。当日券より200円安い計算です。
休室日は月曜のほかに11月24日、12月22日〜1月3日、1月12日、3月23日もあります。年末年始に行こうとしている人は気をつけてください。
《星月夜》の柄が入ったグッズの引換券が付いたチケットもあります。
- 「FEILER」のハンカチ(《星月夜》柄・チケット限定の縁取りカラー)付き券 5,500円
- 「Rollbahn」ロルバーンのポケット付メモ L(《星月夜》柄)付き券 3,740円
どちらも数量限定で1人1枚まで、グッズは会場の特設ショップで引き換えます。使えるのは会期前半の2027年1月29日までです。
会期前半にはほかにも、一般2枚で4,000円の限定ペア券や、平日16時以降に入れる2,100円の券が出ています。詳しくは公式のチケットページで確認できます。
香取慎吾のポスターも公開
新しい地図の公式アカウントも同じ日の朝、香取慎吾さんのアンバサダー就任を告知し、展覧会のポスターを載せています。
展覧会公式の速報は2,000いいねを超え、新しい地図の投稿も1,500いいねを超えています(9月28日朝の時点)。発表の中心は香取さんと前売券ですが、会場で実物の前に立つのは渦巻きではなくローヌ川の方です。
行く前に2枚を見比べておく
「星月夜が来るなら見に行こう」という人は、先にWikipediaの星月夜とローヌ川の方を見比べておくと、会場で「思ってたのと違う」とならずに済みます。
美術館の歩き方で迷ったら、「大怪盗ならどれを盗む?」と考えながら見る方法も使えます。ローヌ川の絵なら、盗むときに川面のガス灯までちゃんと持ち帰れるかが気になるところです。
展覧会の全体像は公式サイトにまとまっています。