「日本で一番海から遠い場所」は佐久市、海より宇宙のほうが近い
日本にも、海より宇宙のほうが近い場所がある。長野県佐久市の山の中で、海岸線までは114.853kmだ。
きっかけは、海外の地図アカウント Terrible Maps が9月28日の早朝(日本時間)に投稿した1枚の世界地図だった。
添えられた問いは「Are you closer to the sea or to outer space?」。海と宇宙、どっちが近いか。
地図は、海のほうが近い土地を赤、宇宙のほうが近い土地を紺で塗り分けている。五大湖だけは水色だ。いいねは約3.6万件ついた。
宇宙までは100km
「宇宙までの距離」には決まった線がある。国際航空連盟(FAI)が定めたカーマン・ラインで、海抜高度100kmより上を宇宙空間とする。
つまり地図の赤と紺の境目は「海岸線から100km」のラインになる。真上に100km行くのと、横に100km歩いて海に出るのと、どちらが先かという話だ。
世界を見ると内陸はだいたい宇宙
地図を見ると、ユーラシア大陸の奥やアフリカの内陸、北米・南米の真ん中はほぼ紺一色だ。海から100kmというのは、大陸の目で見るとかなり狭い帯でしかない。
日本語で反応が広がったのは、山吹オルカさんの引用ポストからだ。こちらは元の投稿を上回る約4.5万いいねを集めている。
投稿では「車で1-2時間も走れば海があるのが当たり前」という日本の感覚と比べて、こう書いている。
「世界を見るとそのほとんどが「海から100km以上離れた地域」なのか。それこそ宇宙の方が近いという。」
地図の日本は全部赤
では日本はどうか。世界地図の縮尺だと、日本列島は全体が赤で、紺の部分は見分けがつかない。
海に囲まれた国なんだから全部海の勝ちでしょ、と思いたくなる。ところが細かく測ると、そうでもない。
国土地理院は1996年(平成8年)に「日本で海岸線から一番遠い地点」を特定している。場所は長野県佐久市と群馬県南牧村の県境付近で、雨川ダムの南東約2,200mの尾根の近くだ。
佐久市の紹介ページによると、標高約1200mの山中にあり、海岸線までは約115km。100kmを超えているので、ここは宇宙のほうが近い。
4方向の海がほぼ等距離
面白いのは、この地点から4方向の海までの距離がほとんど同じことだ。長野県の「日本一」紹介ブログが、海岸線までの球面距離を載せている。
いちばん近い田子の浦港といちばん遠い梶屋敷の差は、わずか13m。太平洋と日本海のちょうど真ん中に立っているような場所だ。
海までの最短114.853kmから宇宙の100kmを引くと、宇宙のほうが約14.9km近い。
北海道にも宇宙の勝ちがある
同じ長野県のブログには、全国2位も載っている。北海道の石狩山地、美瑛岳の東約7kmの地点で、海までは108.2km。
こちらも100kmを8.2km上回っているので、宇宙のほうが近い。日本に「宇宙の勝ち」の場所は少なくとも2か所あることになる。
発端は筑波大生の質問
そもそもこの地点が見つかったのは、1996年に筑波大学の学生が国土地理院に、日本で海から一番遠いのはどこかを問い合わせたのがきっかけだ。
Wikipediaの解説によると、つくば市の「地図と測量の科学館」の夏休み相談会で出た質問だった。学生のふとした疑問が、そのまま地元の観光名所になったわけだ。
行くと認定証がもらえる
佐久市観光協会臼田支部では、この地点にたどり着いた人に到達認定証を出している。
申し込みは3通り。
- 臼田支所の窓口で現地の写真を見せる(1件5分程度)
- 郵送
- メール
ひとつ注意がある。令和8年度からは、架空の人物やキャラクターの名義では認定証を交付していない。推しキャラの名前で申し込むことは、もうできない。
標高約1200mの山中なので、ふらっと寄れる場所ではない。それでも、海より宇宙のほうが近い日本一の地点に立てる。行く人は装備と天気を確かめてからどうぞ。