「デアゴスティーニ商法」とは?意味・由来と「ディアゴスティーニ」が誤読な理由
「創刊号は特別価格、◯◯円!」。あのテレビCMのナレーションを、たぶん一度は耳にしたことがあるはずです。毎号ついてくるパーツを組み立てていくと、いつかフェラーリやロボットが完成する。あの売り方をネットの言葉にしたのが 「デアゴスティーニ商法」 です。
「デアゴスティーニ商法」とは?
デアゴスティーニ商法とは、ひとつの完成品を小分けにして少しずつ売り、買い続けさせる売り方を指すネットスラングです。もとは出版社デアゴスティーニ・ジャパンの分冊百科(パートワーク)そのものを指しますが、ネットではもっぱら比喩として使われます。
たとえばゲームの追加コンテンツが何度も小出しにされるとき、クレーンゲームの景品が全20種を超えるとき、シリーズものの特典が号ごとに散らばっているとき。「これデアゴスティーニ商法じゃん」というツッコミが飛びます。1回あたりの支払いは軽いのに、全部そろえた時点の合計額を計算するとギョッとする。この落差が語のキモです。
似た用法で「デアゴスティーニ方式」「これデアゴスティーニかよ」とも言います。
元ネタ・由来
大元のデアゴスティーニは、イタリアの地理学者ジョヴァンニ・デ・アゴスティーニが1901年に地図研究所として設立した会社です。1959年にマルコ・ポーロ『東方見聞録』のイタリア語訳を分冊で出したのが、パートワーク形式の第1号にあたります。日本へは1988年の「エア・クラフト」(全204号)で進出しました。
この売り方の心臓部が、創刊号だけ極端に安いという価格設定です。デアゴスティーニでは創刊号を第2号以降の半額程度に設定するのが基本で、シリーズによってはそれ以下になることもあります。創刊号の前後にCMや定期購読の特典を集中させるのも定番の流れです。まず軽い金額で1号目を手に取らせ、あとは「せっかくここまで集めたし」という気持ちが続きを買わせる。ネットでこの言葉が皮肉として使われるのは、その心理の動き方に自覚があるからでしょう。
号数の増減がわりと起きるのも語られがちなポイントです。『週刊鉄道データファイル』は当初100号予定が最終的に全300号まで伸びた一方、『隔週刊タクシー・オブ・ザ・ワールド』は30号予定が7号で、『週刊紫電改をつくる』は100号予定が6号で打ち切りになっています。2018年秋に創刊予定だった『週刊はやぶさ2をつくる』にいたっては、事前予約が目標の5000部に届かず商品化そのものが不成立になりました。完成まで走り切れるかどうかは、読者の側だけの問題でもないわけです。
現行のラインナップを見ると、公式サイトのパートワーク一覧には「マーベル・ムービー・ミュージアム」「太陽にほえろ! DVDコレクション」「フェラーリ330 P4をつくる」といったシリーズが並んでいます。『水曜どうでしょう』の30周年にあわせて2026年1月に創刊された「水曜どうでしょう DVDコレクション」は、全278エピソードを放送順に収める隔週刊で、全69号予定という規模です。
「ディアゴスティーニ」は誤読
ネットでこの語を打つとき、「ディアゴスティーニ」と書かれることがかなり多いのですが、正しくは「デアゴスティーニ」です。Wikipediaの記事にも「ディアゴスティーニと誤読される事が多い」とわざわざ書かれているほどで、Google検索のサジェストも両方の表記で出てきます。創業者の名前が De Agostini(デ・アゴスティーニ)なので、「デ」で始まるのが元の音、というわけです。
とはいえネットの実際の打鍵は「ディアゴスティーニ」が根強いので、検索するときは両方を試すのが早道です。
ネタとしての広まり
言い回しがネットの外にも通じるネタとして扱われた例が、お笑い芸人・陣内智則さんのコントです。2020年元日の『ドリーム東西ネタ合戦』(TBS系)で披露した「デアゴスティーニ 〜週刊フェラーリ編〜」がまさかの空気になり、翌2021年元日にはデアゴスティーニ全面協力のもと「〜週刊ロビ〜」でリベンジする、という流れがありました。本人のYouTubeチャンネルで公開されています。
コントとして成立するくらい「毎号パーツが届く」「最後まで買わないと完成しない」という共通認識が浸透している、という証拠でもあります。
使い方・例文
- 「全23種って多くない? 完全にデアゴスティーニ商法でしょ」
- 「本編買ったのに続きはDLC。デアゴスティーニ方式やめて」
- 「1個500円だから、と思って集めてたら総額2万円いってた。デアゴスティーニ商法の恐ろしさ」
グッズ集めの文脈でもよく出てきます。ヒロアカの1年A組23体そろえて1枚の絵になるフィギュアが発表されたときも、「ディアゴスティーニ集めてる気分になりそう」という声がXに上がっていました。全部そろって初めて完成する、という構造がそっくりだからです。
関連する言葉
小分けにして支払わせる、という点では課金やガチャと地続きの話です。集めきる前にやめられなくなる感覚は沼、買ったのに手つかずで積み上がる状態は積みゲーと、それぞれ言葉が用意されています。デアゴスティーニ商法という言い方には、財布へのツッコミと「でも完成したら格好いいんだよな」という未練が、だいたい半分ずつ混ざっています。