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「Copium(コピウム)」とは?意味と元ネタ、Twitchチャットで飛び交う“現実逃避の吸入器”

Copium(コピウム)(こぴうむ) ・ 2026年9月3日 公開

推しのチームが大差で負けた。それでも配信のチャットには「まだ次がある」「今日は相性が悪かっただけ」という書き込みが流れ続ける。そこに英語のコメントが1語だけ挟まります。COPIUM。訳すなら「都合のいいこと言って自分をごまかしてるだけだろ」です。

「Copium(コピウム)」とは?

Copium(コピウム)は、cope(対処する・なんとかやり過ごす)と opium(アヘン)をくっつけたかばん語です。意味は、負け・失敗・期待外れを受け入れられず、理屈をねじ曲げて「むしろ良かった」と自分を慰めている状態。それを架空の吸入薬に見立てて、「You’re huffing copium(コピウムを吸ってるな)」のように相手へ投げます。

この語の面白いところは、指しているのが感情ではなく言い訳の中身だという点です。負けて不機嫌になっているのは salty、「環境のせいじゃなくてお前が下手なだけ」と切り返すのが skill issue。copium が名前を付けたのは、そのどちらでもない部分で、「この負けは実は良い負けだった」と結論を作り替える工程そのものを指します。だから使われるのはたいてい、怒っている人ではなく落ち着いて長文を書いている人に対してです。

日本でいつから使われはじめたかは、確定的な記録が残っていません。日本語での解説を探すと、配信者がゲームのミスを他責気味に言い訳しているときや、自分に都合のいい展開予測を並べているときに視聴者が使う、という説明が見つかる程度です(PC初心者wiki の用語解説)。日本語圏では意味を知らないまま英語のコメントとして見ている人のほうがまだ多い言葉だと思います。

元ネタ・由来

語としていちばん古い記録は、意外にも音楽です。2003年6月17日、アメリカのラッパー Keak da Sneak が『Copium』というタイトルのアルバムを出しています。Know Your Meme もこれを最古の使用例として載せていますが、現在のスラングがここから来たという道筋は確認できません。同じ綴りが先にあった、という話として読んでおくのが正確です。

ネット上で単語として書き込まれた記録は2018年3月30日、4chan の /int/ 板に匿名ユーザーが投稿したものが残っています。ただ、この時点ではまだ言葉が一人歩きできる形になっていません。決定的だったのは翌年で、2019年7月5日に4chanへ投稿された、カエルのキャラクターが「copium」と書かれたタンクからチューブで吸入している画像です。絵が付いたことで、説明なしに意味が伝わるようになりました。実質的な起点はここだと考えていいはずです。

広がったのは2020年です。6月26日に9GAGで初期の使用が記録され、8月6日にはRedditの /r/LoveForLandlords に投稿されたネタが1,200ポイント超を集めます。10月3日にはUrban Dictionaryへ定義が投稿されて135以上の賛成票が付き、意味が固定されました。画像と定義が揃うと、あとは文章を書かずに1語で済ませられるようになります。この流れは、同じ時期に同じ経路で広まった skill issue とほとんど同型です。

Twitchのチャットでどれだけ使われているか

この言葉が日常語になったのはTwitchのチャットです。Twitchのエモートは拡張機能で追加できて、FrankerFaceZ(FFZ)はその代表格。誰でも同じ名前のエモートを登録できるので、「COPIUM」という名前のエモートは何百枚も存在します。

ところが実際に使われているものを数えると、状況はかなり極端でした。

登録が2021年1月ということは、4chanの画像から1年半ほど遅れてTwitchに定着したことになります。この順番は覚えておくと便利で、「元ネタは掲示板の画像、生活の場はTwitchのチャット」という二段構えが、この語がゲームと配信の文脈でばかり使われる理由でもあります。

使い方・例文

投げる相手は基本的に「負けを認めていない人」です。かなり煽りの側に寄った言葉なので、身内以外に使うと普通に揉めます。

  • 「今日は調整不足だっただけで実力は上」「copium」
  • 「次のパッチで環境変わるからうちのキャラ最強になる」「吸ってる量がすごい」
  • 「4連敗したけど内容は良かったんだよ。完全に自分でコピウム吸ってる自覚ある」(自嘲)
  • 「実況が推しチームの負けを説明しはじめてチャットがCOPIUMで埋まった」

いちばん見かけるのは大きな大会の配信です。エントリー7,168人でギネス世界記録に認定された EVO Japan 2026 のストリートファイター6部門のような規模になると、応援しているプレイヤーが落ちた瞬間にチャットの空気が一斉に変わります。「今のは事故」「次は勝てる」が並びはじめたところに COPIUM が流れる、というのが定番の流れです。

注意したいのは、本当に根拠がある期待はコピウムではないことです。たとえば2026年10月28日にサービスを終了するFPS「AVA」のように、公式が後継作(AVA RE:BIRTH)を発表しているケースで「まだ終わりじゃない」と言うのは、単なる事実の確認です。願望と事実の線が引けているかどうかが、この語を使っていいかの目安になります。

関連する言葉

負けたあとの反応を表す英語スラングは意外と細かく分かれています。悔しさを引きずって不機嫌になるのが salty、「それは環境じゃなくてお前の腕の問題」と切り返すのが skill issue、感情が決壊して自暴自棄になるのが Crashout。コピウムはこの3つのどれとも重ならず、「敗北を都合よく解釈し直す言い訳」の位置にいます。

願望で現実を上書きするという意味では デルル が近い親戚です。ただしデルルは恋愛や推しに向かう妄想を、本人も自覚したうえで楽しんでいる語で、コピウムのように他人へ投げつける煽りにはあまりなりません。

反対側にあるのが Womp womp です。コピウムが「まだ負けを認めていない人」に向けた指摘なのに対して、Womp womp は「はい残念でした」と切り捨てて会話を終わらせる音。長い言い訳に対してどちらが返ってくるかで、相手の温度がだいたい分かります。

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