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エビフライのしっぽ食べる派へ「ゴキブリと同じ成分」説の正体はキチン

しっぽが付いたまま揚げられたエビフライ5本とタルタルソース
画像: 皿に盛られたエビフライ(CC0 / Ocdp, via Wikimedia Commons)

エビのしっぽとゴキブリが「同じ成分」という説は、半分当たっている。どちらも外骨格の土台がキチンだからだ。

ただしエビの殻にはカルシウムが沈着していて、まるごと同じとまでは言えない。発端は、しっぽを食べてフラれた人の自虐ツイートだった。

しっぽを食べてフラれた話

9月26日、豆乳さん(@mamenitounyu)がこんな投稿をした。エビフライのしっぽを食べたら「貧乏くさい」と言われ、フラれたことがあるという。

添えられた写真は、皿にエビフライが1本だけ。しっぽがいちばん目立つ角度で写っている。

しっぽを食べるか残すかは、家でも店でも分かれる話だ。カリッと揚がっていればおいしいという人もいれば、口に刺さるから外す人もいる。どっちが正解というルールはない。

翌日のツッコミが10万いいね

翌27日、本人がこの投稿を引用して続けた。「しっぽはゴキブリの羽とほぼ同じ成分」と言う人への返しとして、自分と橋本環奈もほぼ同じ成分だと言い切っている。

いいねは約10.2万、返信は347件。成分が近いことと、それを食べていいかどうかは別の話でしょ、という切り返しが刺さった形だ。

人間同士なら成分がほぼ同じなのは当たり前で、それでも見た目も中身も別物になる。理屈としてもわりと筋が通っている。

共通点は外骨格のキチン

では元の説はどこまで本当なのか。平凡社の世界大百科事典の「外骨格」の項は、甲殻類や昆虫類の外骨格を次のように説明している。

甲殻類,昆虫類,多足類,コケムシ類,ヒドロ虫類の外骨格はキチン質あるいはそれが石灰化したものでできている。

(コトバンク「外骨格」より)

エビもゴキブリも、体の外側をキチンという多糖類の殻で覆っている仲間だ。土台の素材が同じという意味では、説は外れていない。

エビの殻は石灰で硬い

違うのはその先だ。金沢大学がクルマエビの殻を調べた研究では、殻の層がキチンとタンパク質の複合体になっていて、そこに炭酸カルシウムが沈着して硬くなると説明している。

この複合体に,炭酸カルシウムが沈着・石灰化することで外骨格は硬くなります。

(金沢大学「クルマエビの殻において カルシウム沈着(石灰化)のメカニズムを解明!」より)

百科事典の説明にある「それが石灰化したもの」が、エビの側にあたる。キチンにカルシウムが加わっているぶん、昆虫の外骨格と「ほぼ同じ」と言い切るのは言いすぎになる。

アレルギーは本当に共通点あり

成分の話よりも実用的なのがアレルギーだ。食品安全委員会のファクトシートによると、甲殻類アレルギーの主な原因はトロポミオシンという筋肉のタンパク質だという。

このトロポミオシンは、ダニやゴキブリのものと似ている。ファクトシートにはこう書かれている。

一方で、環境中におけるアレルゲンとして節足動物であるダニやゴキブリなどのトロポミオシンが同定されており、これらは甲殻類のトロポミオシンと交差抗原性を示すと報告されています。

(食品安全委員会「甲殻類アレルギー(えび・かに)」ファクトシートより)

同じ資料には、トロポミオシンの配列がえび同士で95%以上、えびとかにで85〜95%似ているとある。えびアレルギーの人がかにでも症状が出る割合は約65%だ。

コオロギなどの昆虫食についても、交差反応でアレルギーが出る可能性が示唆されているという。殻の硬さではなく、身のタンパク質のほうでエビと虫はつながっていた。

食べるかどうかは好みでいい

まとめると、「エビのしっぽはゴキブリの羽とほぼ同じ成分」説は、キチンが土台という点では当たり、カルシウムの有無で言いすぎになる。

成分が近いから食べるのはおかしい、という理屈は、豆乳さんのツッコミどおりちょっと無理がある。甲殻類アレルギーがある人は、しっぽに限らずエビそのものに気をつけたほうがいい、というのが実際に役立つほうの結論だ。

次にエビフライを頼んだら、しっぽをどうするかは自分で決めていい。少なくとも「ゴキブリと同じ」を理由に残す必要はない。

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