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影が液体みたいにくっつく現象の名前は「シャドウブリスター効果」

丸い板と四角い板の影が近づき、触れる手前で影のふちがふくらんでいる比較写真。左は丸い板が、右は四角い板がスクリーンに近い
画像: 太陽光の下で2つの影が近づき、くっつく様子(CC BY-SA 4.0 / فرهاد وداد, via Wikimedia Commons)。当サイトで縮小・切り抜きをしています。改変後の画像も同じ CC BY-SA 4.0 で提供します

影どうしが触れる直前に片方が伸びてくっつく現象には、「シャドウブリスター効果」という名前があります。光源に近い物体が、もう一方の影のふちに届く光を遮ることで起きるとされています。

12万いいねの「なんていう現象」

発端は10月21日の10時18分、@simodasketch が投稿した約11秒の動画です。

本文は「影同士が触れ合う瞬間の動きが液体みたい。」で、いいねは3.4万に達しました。

この動画を、同じ日の14時19分に引用したのが上のポストです。「これ結構真面目に小さい頃からメカニズムを知りたい。なんていう現象なんだろう」と問いかけて、いいねは12万を超えました。返信は185件、表示は742.5万まで伸びています。

投稿主にとっては、小さい頃からの疑問だったそうです。

元の動画が本人の撮影なのか転載なのかは、確認できていません。

名前はシャドウブリスター効果

答えは英語版Wikipediaに載っていました。Shadow blister effect の冒頭は、ある影が別の影に近づくときにふくらむ(bulges, or blisters)視覚現象、という定義です。

blister は水ぶくれのことです。定義でも bulges(ふくらむ)と並べて書かれていて、影が水ぶくれのようにぷくっとふくらむ様子を指しています。

光源に近い側が光をさえぎる

仕組みも同じ記事に書かれています。要点は次の表のとおりです。

本影は光がまったく当たらない内側で、半影は光が部分的に届くふちの部分です。

太陽のように大きさのある光源だと、影のふちはぼやけて半影ができます。ふちがぼやける理由は、腕の影が「アニメ塗り」になった写真の記事でも扱いました。

2つの影が近づくと、光源に近い物体が、光源から遠い側の影の半影に届く光を削っていきます。遠い側は薄暗かったふちまで真っ暗になるので、そこだけ影が伸びて見えます。

冒頭の写真は、丸い板と四角い板の高さを入れ替えて影を比べたものです。写真内の英文は「丸い板のほうがスクリーンに近い」「四角い板のほうがスクリーンに近い」という意味です。

返信は回折と半影に割れた

「なんていう現象なんだろう」のポストの返信欄では、説明が割れていました。

  • 返信欄の先頭に出ていたのは「回折現象よ。」で、いいねは約2.4万
  • 「本影と半影ですね。」という返信にも約2,000いいね
  • 同じスレッドに「回折は関係ないです。」という指摘もあった

英語版Wikipediaは、「2つの半影が合わさって見える錯覚」という説明をよくある誤解としています。誤解の説明の中で挙げられている要因には、回折も入っています。

問いかけた内海さん(@1mustUsan)は、回折の返信を受けて「なるほど……!もうちょい調べてみます」と返していました。

「本影と半影」の返信は、でんじろう先生の動画で知ったという内容でした。公式チャンネルの動画も、そのまま見られます。

「でんじろう先生のはぴエネ!【公式】」の動画で、概要欄には、2本の指の影をスクリーンに映して近づけると、くっつく瞬間に影が伸びる、と紹介されています。

2019年に高校生がCDで実験

この現象を実験で調べた高校生もいました。兵庫県立加古川東高校の課題研究で、2019年に京都大学のリポジトリに載っています。「物体間での影の伸縮のメカニズム解明」という題です。

動機には、影が伸びてくっつく現象について「なぜ起こるのかは判明していない」と分かったので調べた、という趣旨が書かれていました。

使ったのは2枚のCDとスマートフォンのライトで、分かったことは次の3つです。

  • 2枚を同じ高さで近づけても、影は伸びなかった
  • 高低差が1cm・5cm・10cmでは伸び、15cmでは伸びなかった
  • 伸びたのは、スクリーンに近いほうのCDの影だった

高さの違う物体が2つ要るところは、Wikipediaの説明と合っています。どちらの影が伸びるかについては、研究は「光源から遠い方のCDではなく、スクリーンに近い方のCD」と書き分けていて、Wikipediaの「遠い側の本影が広がる」とは言い方が違います。生徒の研究がWikipediaと同じ結論を出したとまでは言えません。

手で試すなら

高さを変えた2つの物体で再現できるなら、晴れた日に両手を使っても起こせるはずです。手を床や壁に向けて高さをずらし、影を近づけていく形です。

ただし、手での再現は筆者は試していません。

関連項目には、金星が太陽の前を横切るときに見えるブラックドロップ現象も挙がっています。Black drop effect の記事です。同じ仕組みとは書かれていないので、ここでは別の現象として置いておきます。

同じ返信欄には「なんとなく豆知識が一個増える」という感想もありました。名前が分かったので、次に影がくっつくのを見たら、どっちの物体が光源に近いか確かめてみてください。

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