ETCカードを毎回抜くか、NEXCOの答えは「降りる際に抜き取ってください」
高速を降りて家に着いたあと、ETCカードを車載器から抜くか、挿したままにするか。9月22日の夕方に出たこの一言が、3万7千いいねを超えて伸びた。
「おらんやろ(真顔)」と念押しまでしているのに、リプライは400件を超え、そこに並んだのは抜く派の反論だった。同じ話題では「リプ欄見たら抜く派だらけなんだけど」と困惑している人もいて、どちらが多数派なのかも含めて意見が割れている。
NEXCO中日本の答えは「お車を降りる際に抜き取ってください」
まず、道路会社側の言い分ははっきりしている。NEXCO中日本のよくあるご質問「ETCはいつ抜き差しするのですか?」の回答はこうだ。
走行前に車載器に確実に差し込み、お車を降りる際に抜き取ってください。サービスエリア・パーキングエリアでお車から離れる際には抜き取って携行されることをお勧めします。
家に帰ったときだけでなく、SA・PAでトイレに立つ数分についても「抜き取って携行」を勧めている。かなり強めだ。
同じ回答には、走行を再開するときは同一のETCカードを挿すこと、入口で挿していたカードと違うカードを挿すと出口の開閉バーが開かないこと、走行中の抜き差しは危険なのでやめること、も書かれている。とくに料金所ゲートを通っている最中やその直前に抜き差しすると、データの消失でカードが使えなくなる場合があるという。ゲート手前で慌てて挿し直すのがいちばん危ない、ということになる。
ライフカードの規定には「車内に放置」の一文が前から入っている
今回ざわついた理由は、もう一段前にある。話題の投稿は、ライフカードが11月1日にカード会員保障制度規約とETCカード規定を改定する、というポイ探ニュースの記事を引用する形で投稿されていた。ETCカードを車載器に挿したまま、または車内に放置していた場合は、紛失・盗難について重大な過失があったものとみなすことが明記される、という内容だ。
ここで現在公開されているライフETCカード規定の第8条(紛失・盗難等)を開くと、すでにこう書いてある。
本カードの紛失、盗難などにより、他人に本カードを使用された場合、会員規約に定められたカード盗難保険制度またはカード会員保障制度のいずれかが適用されます。ただし、本カードを車内に放置していた場合は、紛失、盗難について重大な過失があったものとみなします。
つまり「車内に放置」のくだりは新しく足されるものではなく、今の規定にもう入っている。11月の改定で加わるのは、車載器に挿したままにしていた場合のほうだ。規定の中身はカード会社ごとに違うので、自分が使っているETCカードの規定を一度開いてみると早い。
道路会社が出しているETCカードのほうも条件は緩くない。NEXCO中日本の「ETCカードを紛失したり、盗難にあったりした場合はどうすればよいですか?」には、ETCパーソナルカードとETCコーポレートカードについて、利用規約・約款の第10条第2項に基づき「亡失のお届出の有無や亡失事由(紛失、盗難等)にかかわらず、カードの亡失により生じる一切の責任をお客さまに負っていただきます」とある。クレジット会社が出すETCカードは各社の規約に基づく対応になる。
抜かない派がいちばん恐れているのは挿し忘れ
とはいえ、抜かない側にも理屈がある。いちばん多かったのが挿し忘れへの恐怖で、「建前は毎回ETCカード抜くだけど、そんなことやっている方がいざ高速の入口でETCカード入れ忘れているという事故100倍ぐらい起こると思う。」という声や、「自分のETCカードが盗まれるリスクより差し忘れて料金所通過できないリスクのほうが遥かに可能性が高いので」という計算が並んだ。「わたしは入れ忘れる未来しか見えない」と書いている人もいる。
そもそも抜くという発想が無かった、という反応もかなりあった。「ETCカードを……抜く……………??????(未知の世界)」「ETCカードを抜くという発想がなかった。あんなん挿しっぱなし一択だろ。」あたりが典型で、元の投稿はこの層に向けて書かれていたことになる。
車載器への負担を挙げる人もいた。社用車で毎回抜き差ししていたら「ETC車載器が結構壊れてて、何度も入れて機嫌治らないと認知してくれなかった」という体験談で、これはこれで説得力がある。
抜く派の理由は複数台の乗り換えと防犯
一方、抜く派の理由はきれいに分かれた。まず複数台やバイクとの兼用で、「車を数台持ってたら普通に差し替えたりするもんで降りるたび抜きまっせ」というリプライが本人宛てに飛んでいる。二輪だとそもそも事情が違うという指摘もあった。「ETCカードがシート下で、降りるたびにカード抜くなら、降りるたびに毎回荷物を全部下ろしてシートを剥がさないといけなくなるので」。他人の車に乗せてもらったときに自分のカードを差せるよう、財布に入れておくという使い方も出ていた。
防犯側の動機で目を引いたのが、被害額そのものより車のダメージを気にする意見だ。「車内温度が心配、カード盗難も心配もあるけど、何より盗難が起こった時に車のガラス割られたり傷がつくのが1番嫌だから」。狙われる理由を車内に置かない、という考え方になる。
真夏の車内は57℃、ダッシュボードは79℃
抜く派がもうひとつ挙げていたのが熱だ。カードを高温の車内に置きっぱなしにするのが嫌、という話で、車内がどれくらい上がるかはJAFが実測している。
2012年8月22日と23日、埼玉県戸田市の彩湖・道満グリーンパーク駐車場で、気温35度の晴天下に正午から4時間駐車したテストの結果がこれ。対策なしの黒い車で車内最高57℃、車内平均51℃、ダッシュボード最高温度は79℃まで上がった。別のテストでは、ダッシュボードに置いたスマートフォンが高温に耐えられず一時的に使用不能になっている(JAFユーザーテスト)。
ただし、ETCカードそのものが夏の車内で変形したり壊れたりするという公的な検証データは見つけられなかった。「15年以上刺しっぱ派なんじゃが熱でイカレた事もないぞ」という人もいれば、壊れたという人もいる、というのが今のところの状況だ。
第三の道は「高速乗る日は差す」
リプライを読んでいると、そもそも二択ではないという立ち位置も出てくる。「何故か「年中差しっぱなし」か「降りる度に抜く」の2項対立になってるけど私は「高速乗る日は差す」って感じですね」という声がそれで、普段は財布、高速に乗ると決めた日だけ車載器、という運用になる。「車から下りる度に抜くどころか高速道路乗るときしか差さない」人もいた。
公式の推奨は抜く側、実際の面倒くささと挿し忘れは抜かない側。どちらの言い分も現物として存在していて、11月にはカード規定のほうが少し動く。あなたはどっち派だろう。