イチゴ・メロン・ブルーハワイ…かき氷シロップは“ぜんぶ同じ味”だった。違いは色と香りで、味わっているのは脳の錯覚
かき氷の屋台で、赤いイチゴ、緑のメロン、黄色いレモン、青いブルーハワイ。ずらりと並んだシロップから「今日はメロンにしよう」なんて選ぶ、夏のお決まりの光景。ところが、その選択、じつはあまり意味がないかもしれません。かき氷のシロップは、味のもとがどれもほとんど同じ。そんな衝撃の事実があるのです。
タネ明かし:ベースは全部、同じ“甘い液”
かき氷シロップの正体は、「果糖ぶどう糖液糖」という共通の甘い液体。イチゴもメロンもレモンも、この同じベースからできています。実際、あるメーカーのシロップでは、添加物を除いた原材料が4種類ぜんぶ同じだった、という話も。
では、あの鮮やかな“味の違い”はどこから来るのか。答えは、加えている「香料(香り)」と「着色料(色)」だけ。同じ甘い液に、イチゴっぽい香りと赤い色を足せばイチゴシロップに、メロンっぽい香りと緑の色を足せばメロンシロップになる、というわけです。ベースの“味そのもの”は、ほぼ変わっていません(※メーカーや商品によって酸味などに多少の差はあります)。
なぜ、違う味に感じてしまうのか
「いやいや、ちゃんと違う味がするよ」と思いますよね。でも、それこそが人間の感覚の面白いところ。人は、味を“舌”だけで感じているわけではないのです。
私たちが「味」だと思っているものは、舌の味蕾(みらい)がとらえる甘い・すっぱいといった情報に、目で見た「色」と、鼻で感じる「香り」の情報が合わさって、脳が総合的に判断した結果。これは「クロスモダリティ効果」と呼ばれる現象です。赤いシロップを見た瞬間、脳は「これはイチゴだ」と先に決めつけ、イチゴの香りがそれを後押しする。こうして、同じ甘い液が“イチゴ味”として立ち上がってくるのです。しかも、味の判断には 香りの影響がとりわけ大きいとされています。
その証拠に、ロケットニュース24の検証では、目隠しをして、さらに鼻をつまんでシロップを口にすると、本当に何味か分からなくなったとのこと。視覚と嗅覚という“ヒント”を奪われると、脳は途端にお手上げになるわけです。実際に「利きかき氷シロップ」に挑戦するとどうなるか、こちらの検証動画がわかりやすいです。
ちなみに「ブルーハワイ」って、何味?
ここで気になるのが、あの青い「ブルーハワイ」。イチゴやメロンと違って、「ブルーハワイ」という果物は存在しません。もともとブルーハワイとは、ハワイの海と空をイメージした青いカクテルのこと。かき氷のブルーハワイ味は、共通の甘いベースに、パイナップルやバナナといった南国フルーツ系の香料と、青い着色料を合わせたものとされています。
「何味か言われると困るけど、なんとなくトロピカル」。あの正体は、まさに“色と香りが作り出した南国のイメージ”そのものだったのです。
今年の夏は、自分の脳をだましてみる
とはいえ、「同じ味なんだ」と分かっても、かき氷の楽しさは少しも減りません。むしろ、色と香りだけで、私たちの脳はこんなにも豊かに“味”を描き出せる。そう考えると、あの一杯がちょっとした感覚の実験に思えてきます。夏のスイーツつながりでいえば、名前の由来が“シロクマの顔”だった「白くま」の話も、かき氷の奥深さを感じさせてくれます。
次にかき氷を選ぶときは、ぜひ一度、目をつぶって鼻をつまんで食べてみてください。いつものイチゴが、ただの“甘い氷”に化ける不思議を、自分の舌で確かめられるはずです。
※原材料はメーカー・商品により異なります。味の感じ方には個人差があります。