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緊急地震速報の誤報、M9.9の原因は動かなかった「700km制限」

10月16日昼の緊急地震速報(警報)は、過大な推定による誤報だった。原因のひとつは、遠い観測点を計算から外す「700km制限」が動いていなかったことだ。

12時40分、北海道から中部地方に向けて警報が出た。画面に出た規模は「M9.9」。見た瞬間に「ん?」となった人が多かったようで、この投稿は15.5万いいねを集めた。

投稿したのは tsunacchi93 さん(@tsunacchi93)。「日本人、マグニチュードの数値に違和感を持って即座に誤報を疑えるの面白い」と書いている。

実際はM6.9、函館で震度1

誤報といっても、地震が無かったわけではない。気象庁の報道発表(第1報)によると、12時38分ごろにカムチャツカ半島付近でM6.9(速報値)の地震が起きている。この地震で、函館市は震度1を観測した。

つまり「あった地震を、とんでもなく大きく見積もった」というのが正しい向きだ。気象庁は警報の理由を「震源を千島列島に決定し、マグニチュードを 9.9 と過大に推定したことによるもの」と説明している。

警報に添えられた予測震度も大きかった。第1報の表では、根室地方などに「震度5弱から7程度」が出ている。

警報はそのあと取り消された。日テレNEWSなどは、約8分後の取り消しだったと伝えている。サイバー攻撃ではない、と気象庁が会見で説明したとも報じられた。

第2報で見えた2つのズレ

17時30分ごろの第2報では、まず計算の中身が説明された。

  • 日本から震源が非常に遠い地震に、国内用のマグニチュードを求める式を適用していた
  • Mの計算と震度の予測には、本来は同じ震源を使う必要がある。今回は別々だった

第2報の図には、M計算用の震源と震度予測用の震源、あとから確定した震源の3つが、別々の場所に描かれている。

第3報の原因は「700km」

夜の22時40分に出た第3報で、原因がもう一段はっきりした。

気象庁は、震源から遠い観測点をMの計算に使ったことで、規模をM9.9と過大に推定した、と説明している。これが過大な警報を出した「原因のひとつ」という書き方だ。

その遠い観測点を使わせないための仕組みが、今回は働いていなかった。

700km制限ができた理由

この機能は、2020年の誤報がきっかけだった。2020年7月30日の報道発表では、鳥島近海のM5.8(速報値)を、房総半島南方沖の震源でM7.3と過大に推定している。

そのときの改善策として、震源から700km以上遠い観測点をマグニチュードの計算に使わないことにした。第3報によると、今回の地震ではこの機能が「正常に動作していなかった」ことが判明したという。

気象庁は21時30分ごろに、機能が動くよう緊急的な対策を実施した。対策後は、今回の地震では緊急地震速報(警報)が出なくなることも確認している。

第3報には、お詫びも添えられていた。

  • 「国民の皆様には多大なご迷惑とご負担をおかけしたことについてお詫びいたします」

M9.9は東日本大震災の約22倍

そもそもM9.9とは、どのくらいの規模なのか。気象庁のFAQ「よくある質問(地震について)」では、Mが1大きくなるとエネルギーは約32倍、2大きくなると約1,000倍になる、と説明されている。

東日本大震災はM9.0なので、差は0.9。計算すると、M9.9のエネルギーはその約22倍になる。

こう書いた人もいた。「マグニチュード9.9と聞いてガチで焦った。ちょっと調べたところ、東日本大震災の約22倍の規模になるらしい」。検算してみたら、この数字は合っていた。

ここで言う規模はエネルギーの話で、揺れの強さを表す震度とは別物になる。Mは地震そのものの大きさ、震度はその場所ごとの揺れの強さだ。

過去の誤報と原因を比べる

緊急地震速報の誤報は、今回が初めてではない。気象庁の報道発表から、原因が分かるものを3つ拾った。

  • 2013年8月8日。和歌山県北部のM2.3の地震(無感)と同じタイミングで、三重県南東沖の海底地震計のノイズを揺れとして取り込んだ。近畿などの広域に警報が出たが、震度1以上は観測されなかった。気象庁の発表
  • 2018年1月5日。茨城県沖のM4.4と富山県西部のM3.9が同時刻に起き、気象庁は「2 つの地震を同一の地震として処理した」と説明している。気象庁のお知らせ
  • 2020年7月30日。鳥島近海のM5.8を、房総半島南方沖のM7.3と推定した。関東や東海、東北などに警報が出たが、震度1以上は観測されなかった。

原因はノイズ、地震の取り違え、震源の決め違いと、毎回ばらばらだ。今回は、遠い地震に国内用の式を当てたことに加えて、2020年の誤報を受けて入れた700km制限が動いていなかったことが重なった。

ドコモでは届かなかった

もうひとつ、別件の不具合も出ていた。NTTドコモの公式アカウントが「【お詫び】緊急地震速報(緊急速報「エリアメール」)が配信されなかった事象について」と投稿している。

配信されなかった範囲や原因の詳細は、元の投稿とドコモの案内で確認してほしい。原因はシステムの不具合と報じられていて、読売新聞は2012年からの不具合だったと伝えている。

11月5日に訓練がある

次の機会は近い。気象庁は令和8年11月5日に緊急地震速報の訓練を行うと発表している。

誤報の直後に訓練のお知らせが読まれる、というちょっと皮肉な並びになった。ちなみに、警報音を「地震の犯人」だと思い込んでスマホを殴りに行く猫もいた。気になる人は緊急地震速報の音でスマホを攻撃する猫の話もどうぞ。

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