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ニホンリスは毒キノコのベニテングタケを平気で食べる、長野で撮られた写真が神戸大の論文になった

2026年8月29日 ・ トレンド「ニホンリス ベニテングタケ」より

8月29日、Xで「毒キノコ」がトレンドに入っていた。きっかけは科学ニュースメディアの記事だが、その大元をたどると2021年に神戸大学が出した1ページの論文にぶつかる。中身は「ニホンリスがベニテングタケを普通に食べていた」という、写真つきの観察報告だった。

投稿しているのは論文の著者、神戸大学の末次健司さん。ラン科植物やキノコと生きものの関係を研究している人で、2021年当時は准教授、2022年10月から教授になっている。写真は長野県のアマチュア写真家、五味孝一さんが撮ったものだ。

同じリスが、数日にわたって食べ続けていた

ベニテングタケは赤い傘に白いイボが散った、絵本やゲームでおなじみのキノコだ。見た目のとおり毒があって、イボテン酸やムッシモールという成分を含む。人が食べると20〜30分ほどで腹痛や吐き気が来て、そのあと発汗や心拍数の上昇、幻覚といった神経系の症状が出る。

そのキノコを、長野県のニホンリスは前歯でかじって食べていた。しかも一度きりではない。論文には同じ個体が数日間にわたってテングタケ属の子実体を食べ続けていたと書かれている。食べていたのはベニテングタケだけでなく、テングタケ、コガネテングタケの3種。どれも人にとっては毒キノコの部類に入る。

リスやシカがキノコをかじること自体は前から知られていた。ただ、どの種のキノコをどう食べたのかが分かる写真つきの観察例は世界的にも数が少なく、そこがこの短い報告の価値になっている。

なぜ平気なのかは、まだ分かっていない

いちばん気になるところが、実はまだ空欄のままだ。ニホンリスが毒を分解しているのか、そもそも効きにくい体なのか、仕組みは未解明とされている。分かっているのは「同じリスが何日も食べ続けても平気そうだった」という観察事実までで、そこから先は今後の研究になる。

そのうえで論文が投げかけているのが、キノコ側の事情だ。キノコの毒は「食べられないため」に進化したと考えられてきたけれど、食べた動物の糞から胞子が生きたまま出てくるなら、話は逆になる。動物に運んでもらって分布を広げられるからだ。リスの糞から生きた胞子が見つかるかどうかは、これからの宿題として書かれている。

秋の森で、キノコをくわえたリスがいたら

ベニテングタケが出るのは夏から秋にかけて。シラカンバなどカバノキの仲間の樹下に多い、中部地方から北で見かけるキノコだ。ちょうどこれからの季節が本番になる。

論文になった写真は、研究者ではなく地元の写真家が根気よく撮り続けた1枚だった。散歩や登山の途中でリスが何かをくわえていたら、少し立ち止まって何を食べているのか見てみるといい。まだ誰も報告していない食事風景かもしれない。

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